泣いてもいいんだよ
近所のスーパーに、食材を買いに行った帰り道のこと。
その日は運動がてら車ではなく、歩いていました。
いつもの帰り道に保育園があります。
3時過ぎ・・・
子供たちは園庭で自由に遊んでいました。
ところどころに先生が立って、子供たちを見守っています。
園庭にある低い鉄棒に飛び上がる子供を見ながら
私も昔、幼稚園の鉄棒から勢い余って落ちて腕を捻挫したっけ?
なんて懐かしく思い出しながら通り過ぎたその時
ゴン
鈍い音がしたのです。
その瞬間は見ていませんでしたが、どうやら鉄棒に顎を打ったようで・・・
痛かっただろうに・・・
想像しただけで、私も顔が歪みました。
でも泣き声は聞こえてきません。
ちょっと間を置いてから、わあって泣くだろう
だって相当痛いはずだもん
そう思いながらゆっくり歩いて、少し振り返ってそちらを見ると
背の高い若い男の先生が、
「今のは痛かったねえ、大丈夫?」
と顎をさすってあげながら話しかけています。
それでもその子は泣きません。
顔は見えなかったけれど、きっとぐっと我慢しているのでしょう。
そして、その先生はしゃがんで子供と同じ目線になって
言いました。
「いいんだよ、泣いても・・・」
はっきりその声が聞こえました。
なんて子供の気持ちに寄り添える先生なんだろう・・・
私までうるっときました。
その後は、かなり保育園から離れてしまったので
どうなったかわからないけれど、
我慢しないでいるといいなあって思いました。
昔からよく、転んで擦りむいたり注射をしたりする時も
「よく頑張ったねー!!泣かないで偉かったねー」
って言ったものです。
それはもちろん褒め言葉。
私も、なんの違和感なくその言葉を受け入れていました。
でも、今の世の中、違う意味で泣かないというか泣けないというか・・・
なかなか素直に感情を出しづらくなっていると思います。
あの痛さで、あの年齢の子が泣かないって・・・
泣いてはいけないと思わせる何かがあるのか
はたまた普段からそういう環境にいるのか
私の勝手な推測ですが、ちょっと切なくなってしまいました。
生きていく上で、毎日山あり谷ありです。
それは老若男女問わず・・・
でも、せめて小さい時は、泣いたり笑ったり
喜怒哀楽を自然に出していいと思う。
そんな環境を大人は作ってあげなきゃなって思いました。
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