「結の会」をつらぬく思い〜結を訪ねて〜[最終回]
廻りだすエネルギー
様々な問題を抱える日本社会にむけて、東長寺が提案した現代の両墓制「結の会」。発足から8年を経て、たくさんの会員の方とご縁をいただく現在、明らかになってきた意義や、新たに見つけた思いをお伝えします。
[文由閣] 安心して過ごせる場所
交流が生まれるお参り
都会の納骨堂である文由閣。
誰でも集まりやすい空間を目指し、昨年から結の会事務局スタッフの常駐を開始し、その後リニューアル工事も行いました。お参りに見える方に1階で休憩いただくことも増えて「今月も来られたよ」「まだ、寂しくてね」などと、お声がけいただくひとときが自然と生まれています。何気ない時間のなかに、来訪の皆さまからは身近なお参りができる安心のお気持ちを、事務局のスタッフとしては人と人が交流できる納骨堂の意義を感じています。
[ペット共葬] 心配を安堵に
不安を無くす選択肢
今年に入ってから本格的に始まった「ペット共葬」。個人墓であり樹木葬である結の会だからこそ可能となった新たな取組みです。
さっそくお申し込みされた会員の方より、次のような言葉をいただきました。
「私は家族が居ないので、ペットの遺骨がどうなるのか心配していました。ペットは大切なパートナー。ずっと一緒にいたいと思っていたので、ほっとしました。」
ペット共葬がこのように皆さまの安心となり、いきいきと生きる力になってほしいと願っています。
[両墓制] 交流するよろこび
「終わり」ではなく、「始まり」の場所としてのお墓
初めて知る際に驚く方も少なくない結の会の「分骨」。
確かに、亡くなった方のお骨を収める場所は1箇所である、というのが一般的な考えかもしれません。実は東長寺の先代住職の遺骨は先代を慕ってくださった方々の求めがあったことから日本国内のみならず、海外にも分骨されています。フランスの禅寺「ジャンドロニエール(禅道尼苑)」に祀られたお骨をお参りするために、檀信徒参拝ツアーを開催したことも。
とある一人の死。それが様々な人を動かし交流を生み、交流は誰かの生きる力となって循環していく。死がいっさいの終わりではなく、未来に実を結ぶ糧となる。この循環は、とても奇跡的なことに見えますが、先代住職が特別ということではないのです。結の会のお墓は、同様のエネルギーの循環を目指しているからです。結の会では2つのお墓があることで、亡き人を中心にお参りする方はお墓を目指し、お墓を護る方や場所との交流が生まれます。つまりどなたでも結の会を選ぶということによって、循環の起点となるのです。
去る11月、結の会会員の方が気仙沼の清凉院へ訪問するツアーが初めて開催されました。御自分が選んだお墓のあるお寺に、生前から訪れて住職や地域とご縁を育み交流する。結の会の両墓制が目指す「エネルギーの循環」が実現する嬉しい2日間となりました。この「始まりの物語」は次号にて詳しくご報告いたします。
[結の会]
2つの生前墓ご訪問のススメ
結の会の特徴は、都会にある参り墓と、自然に包まれた樹林葬による祀り墓を組み合わせた「両墓制」にあります。当山では、皆様にこの2つの生前墓を積極的に行き来していただきたいと考えています。ぜひ実際に現地を訪れて、ご縁を育んでください。そこで生まれる環境への慈しみ、地域の活性化が個人の中に留まらないエネルギーになると信じています。
東長寺が地方寺とコラボする理由
「死後は自然に還りたい」という人々の思いを受け止めつつ、樹林葬によって地方寺院と人の交流が生まれることで周囲の山林や自然環境が保全・再生されていくことを理念にスタートしました。
『萬亀』No.144(2023年12月号)より
<お問い合わせ連絡先>
東長寺結の会事務局
電話:03-5315-4015(9:30~17:00)
メール:toiawase@tochoji.org