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10Xで新しい組織を立ち上げたお話し

はじめに


ここから少し組織の話をしようと思います。
10Xに来るまでは、コンサルやAmazonと既に組織が存在していた中で働いた経験しかなく、スタートアップにきて初めて”Retail Strategty & Operations(RS&O)”という新しい組織をゼロから立ち上げる、ということを経験させてもらいました。

今回の記事では、この新しい組織の10Xにおける役割の紹介と、現在RS&Oで働いてくださっている方々の職掌やバックグラウンドの説明、そして現在どんなポジションを募集しているのかを書いてみました。
10XのRS&Oという組織に興味がある方への説明となれば幸いです。

また、恐らくスタートアップ界隈の方々は、この”新しい組織を立ち上げる”ということに直面する方々も多いかと思います。
この1年でとても貴重な経験をさせてもらったので、このタイミングで振り返って、どのようなことを考えて組織を組成したのかを言語化しておきます。

拙い経験ながらも、少しでもみなさんの参考になれば幸いです。

小売パートナーの事業成長を10xさせるための組織をつくる


先日の記事で説明したStailerの”Flywheel”は、非常に抽象度の高い概念の集合体だと思います。
それぞれの概念が歯車のようにガチッと噛み合い、初めて成長のための弾み車(Flywheel)がグルグルと回り始めるのです。
その為には、その一つ一つの概念の解像度を上げ続けることが必要不可欠。

加えて、我々が相対する小売パートナーは小売というフィールドで何年、何十年と闘っている方ばかりです。
そんな方々の”パートナー”として共に事業成長を目指す為には、10Xもテクノロジーやプロダクトを提供するだけでは信用を得られませんし、そもそも事業がうまくいきません。

我々自身も小売の解像度を高め、多種多様な小売パートナーのフェーズに応じて適切な提案をしていくことが重要となります。

この小売の解像度をひたすらに高め続け、小売パートナーに適切な提案を実施する目的で組成したのがRetail Strategy & Operations(RS&O)です。
その名の通り、我々の小売パートナーがネットスーパービジネスを構築するために必要な小売事業戦略構築とオペレーション構築のエキスパートが集まり、それぞれの知見をもとにパートナービジネスに伴走することがミッションとしています。

10Xのビジネスモデルは小売パートナーのネットスーパーの売上に対するテイクレートをいただいているので、ネットスーパーの事業が拡大しなければ10Xの事業成長も見込めないし、事業成長がなければ最悪パートナーがネットスーパー事業から撤退してしまうリスクもあります。

だからこそ、10Xは「我々はシステムベンダーでもコンサルタントでもなく、同じ船に乗ってリスクを分け合いながら事業成長を推進するパートナーです」と事業の大小関わらず同じトーンでお伝えするようにしています。

ご契約いただいた小売パートナーの事業成長に対し、様々な知見や機能を提供しながら、経営陣及び担当者の方々と共に全力コミットしています。

小売のエキスパートたちが集まってきた


上記を実現するためには、小売のドメイン知識が非常に重要となります。
より的確に小売パートナーのペインポイントを把握し、具体的な解決策を提供すこと。時に彼らもまだ気がついていない課題や潜在的なニーズを汲み取ったり、継続的に改善提案をして事業を成長させていくこと。これらを実現していくための各分野のエキスパートを探さなければなりませんでした。

この組織体制について、僕自身が昨年2021年9月のトライアルプレゼンの最後に含めていたのがこちらです。

エモい、エモすぎる。。。ここから既に1年が経ったなんて。。。

トライアルのお題は確か「StailerにとってのSCMイシューとその重要度の定義をお願いします。また、それを抽象度高く解決していくための組織構成と、栃内さんご自身のロールの定義をしてください。」的なものをCEOの矢本から渡された記憶しています。

上記を実現させるために、僕がこれまでのキャリアで出会った方々へお声がけしたり、JDに直接応募くださった方々などが集まってきてくださり、今年の6月時点でこの当時思い描いていた組織体制のベースが出来上がりました。

今ではRS&Oの組織体制は正社員・業務委託含めこんな感じになっています。
(10Xではフリーランスの方や、本業で活躍されている方の知見をお借りするために、多くの方に業務委託で関わっていただいている)

[RS&Oの組織体制 as of 2022/10]

RS&Oが関わるエリア


10Xは小売パートナーの成長のために機能価値・提供サービス含め幅広く提供しながら小売パートナーの事業成長に伴走させていただいています。

ここから、上記の機能価値や提供サービスを実現するために

  • それぞれの部門がどのようなミッションを担っていて

  • どのようなポジションがあって、

  • どのような業務を行い、

  • どのようなバックグラウンドの方々が活躍されていてるのか、

を説明させてください。

リテールストラテジーについて


ネットスーパーでは、リアル店舗よりも構造化したデータが蓄積しやすく、それを基に経営判断を行なっていくことで、より効果的な施策や運営が実現可能となります。

例えばカスタマーの行動と品揃えについて、極端な例でこんなことが言えるでしょう。

リアル店舗では店頭でカスタマーの来店者数をカウントし、POSを通った商品でどのカスタマーがなにを買ってくれたのかがわかります。
一方ネットスーパーでは、何人のカスタマーがアプリを使っていて、どれだけの流入があり、どの商品が見られて(Impressionがついて)、どの商品が欠品していて、どの商品がどの順番でカゴに入れられて、買われていったのか、ということまでわかってくる。ネットスーパーでは、これらを適切に分析し、品揃えやプロモーションに活かしていくことができます。

上記は一例ですが、このようにリアル店舗の運営の延長ではなかなか実現できない難しさがネットスーパーにはあります。(もちろんその逆も然り)
実際に僕がお話させていただく小売の経営者の方々も「ここ数年ネットスーパーを実店舗の運営の延長でやってきましたが、やはり全然違いますね」とおっしゃることを度々おっしゃっていただけます。

10Xでは様々な業態やフェーズの小売パートナーに伴走させていただいていて、日々彼らが直面する事業課題やベストプラクティスが蓄積されています。
だからこそ、ネットスーパーのビジネスを成功させるためには、ここは外してはいけないというポイントがいくつかあると考えていて、これを専門に解くチームを組成しました。

🧭 Mission of Retail Strategy
”リテールビジネスおける課題抽出/知見集約を行い、10Xで価値提供できる機能・サービスの武器化・提供を行う(短期的にはパートナー企業のNS事業立ち上げ/継続的改善におけるボトルネックの特定と打ち手の開発を中心領域とする)”

一部の具体例を紹介すると、例えば冒頭のFlywheelのAccessibilityが該当します。

戦略ファームなどで小売系のプロジェクトをされたことがあると馴染みがあるかと思いますが、小売店舗を出店する場合には、ほぼ必ず商圏分析を行います。
ただし、ネットスーパー事業の場合、既存の店舗を前提にスタートすることが多いため、改めてどの店舗で、どれくらいの商圏で、どんなカスタマーセグメントを狙って、ネットスーパーをやっていくのか、ということを定量的に分析することが少ないのではないかと思います。
これを適切に実施することで、より効率的な店舗拡大や優先順位の決定材料にもなりますし、不調店舗と好調店舗を定量的に比較することが可能になります。

リテールストラテジーでは、この”商圏分析”という武器を10X内で創り上げ、小売パートナーの事業戦略策定のための判断材料の一つとしています。

メンバーのご紹介
前職ではアパレル企業の社長をされていて、長年小売の戦略コンサルティングに従事されていた石戸さんがご担当くださっています。
石戸さんは、以前僕も在籍していた小売専門の戦略ファームにも所属されていて、豊富なコンサルティングのご経験と、アパレル事業の社長業としての小売事業運営の知見を基に、小売パートナーの事業戦略の策定に伴走してくれています。

リテールオペレーションズについて


リテールオペレーションモデル(旧)

リテールオペレーションズについてはそれぞれのポジションを説明する前に、特にECやネットスーパーのオペレーションを構成する要素を前提としてお話します。

特に消費財ECやグロッサリーネットスーパーは、そもそも利益率がそこまで高くないシビアなビジネスであることと、カスタマーの購買頻度が高く、一度の購買数量が多品種で、かつ賞味期限が短く、温度管理も必要、という難易度Maxのオペレーションをカリカリにチューニングして実現しなければなりません。

上記を成り立たせるために、 昨年2021年9月にチームを立ち上げる際に描いていた小売事業のオペレーションモデル(旧)がこちらです。

  1. 過去のトレンドや、今後のセール情報やカレンダーイベントから物量を予想し定量化し、

  2. 現在店舗やセンターに保管している在庫量を把握し、

  3. 上記の予想される物量と在庫量をもとに必要数量の発注をかけ、

  4. 発注された物量と販売される物量を店舗やセンターで捌くためのオペレーションを構築し、

  5. 上記のオペレーションのスループットを最大化させるための店舗バックヤードやセンターのレイアウト、及びマテハンを絶えまなく最適化させていく。

上記の流れがWorkして、初めて適切にサプライチェーンが繋がり(”Supply”がちゃんと”Chain”になって)、最大のキャパシティーを最小の工数で実現でき、最高の顧客体験を実現するのです。

これがトップラインの継続成長とボトムラインの改善には必要不可欠となるため、リテールオペレーションでは、下記のミッションと共に、パートナー事業に伴走します。

🧭 Mission of Retail Operations
”小売パートナーのネットスーパー事業立ち上げ/継続的改善におけるオペレーショナルエクセレンスの実現”

さて、ここで現在リテールオペレーションズのポジションとそこで働いてくださっている方々を紹介しましょう。

①Supply Chain Manager

上記のオペレーションモデルの中で最初に出てくるS&OPをメインにご担当いただいています。

S&OPとはSales & Operation Planningの略で、ECのSupply Chainを成り立たせるために重要なポジションです。
具体的には、現在予測されている物量を捌くために、サプライチェーン上のどこがボトルネックとなって(ネットスーパーのケースだと、店舗の従業員、バックヤードのサイズ、保冷剤の数、配送トラックの数、配送トラックの駐車場所などが挙げられる)いて、それぞれのボトルネックの定量化とスループット最適化のための施策を構築します。
多くの小売企業でこのS&OPがしっかりできているところはまだまだ少なく、最大のキャパシティー実現のためにはこのファンクションがなければ不可能だと思います。

また、上記に加え、小売パートナーのセンター内の在庫の可視化と適正在庫数量の測定、ラストマイルの深掘りと配送費削減のための分析など、サプライチェーンの上流から下流まで幅広く担っていただいています。

メンバーのご紹介
前職楽天BooksでSCMをリードされていた月岡さんがご担当くださっています。
月岡さんが参画してくださるまで、10Xの中でSupply Chainの可視化はほとんど進んでおらず、現在そこの解像度が毎週のように上がっていて、可能性を感じずにいられません。

②Operation Manager

10Xのオペレーションマネジャーは、それぞれの小売パートナーのオペレーションが正常に回っているのかの担保と、継続的な改善を伴走してくれます。

これは事業のフェーズでも異なり、

  • 新規でネットスーパーを立ち上げるパートナーへは、現場作業員の作業効率を最大化させるためのオペレーションプロセスを設計し導入します。

  • 既存でネットスーパー事業を実施しているパートナーや、新規で立ち上げてしばらく経ったパートナーへは、適切なオペレーションKPIの確認、それを改善させるためのブロッカーの特定、適切なオペレーションの導入まで伴走します。

一概に理論上の最大キャパシティを実現するだけでなく、現場の作業員の方々の習熟度や業務負荷も考え、よりサステイナブルなオペレーションの設計を実現してくれます。

メンバーのご紹介
前職オイシックスでセンター長をされていた野地さんがご担当くださっています。
流石元センター長だけあって、オペレーションの細やかな部分まで配慮でき、その上現場作業員の声をしっかりと拾い上げてプロダクトへのフィードバックにつなげてくれるなど、非常に心強いメンバーです。

③Logistics Engineer

店舗やセンターのオペレーションの生産性を最大限に高めるためには、最適な設計が不可欠です。

これは文字で説明するよりも絵を見た方が早いですね。
こんな感じ。

10Xでは、専門のロジスティックスエンジニアが、店舗のバックヤードのレイアウトや什器の選定や、センター内の図面のAuto-CADで作画、オペレーションパスの設計、マテハンの選定まで実施しています。

もちろん勝手にこちらで設計してもうまくいかないので、実際に店舗のバックヤードやセンターに入り込んで、小売パートナーや現場の方々と一緒に作り上げる楽しさがあります。

また、ロジスティックスエンジニアはオペレーションマネジャーと共にフィールドワークとして小売パートナーの現地調査に赴くことが多いです。

メンバーのご紹介
前職Amazonで倉庫の設計や立ち上げ、マテハンの選定などをされていた柳田さんがご担当くださっています。
柳田さんは倉庫立ち上げの幅広いご経験をお持ちの方。
彼の描くAuto-CADの図面を見ながら、こういうオペレーションにした方がいいんじゃないかと議論するのは最高にエキサイティングです。

リテールオペレーションモデル(最新版)

この1年間、さまざまな小売パートナーの現場訪問やStailerのProduct機能への解像度を深める中で、上記のリテールオペレーションモデルを改めて見直すセッションを実施しました。

このプロセスで刷新したオペレーションモデルがこちら。
ドンっ!

たった1年での凄まじい進化に震えがとまらない。。。

オペレーションのそれぞれの分野のエキスパートが現場に飛び込み、解像度を上げまくり、この先実現しなければならないことを言語化し、構造化することで、リテールオペレーションズとしてこれまで見えてきた部分と、この先やらなければならない部分がしっかりと浮き彫りになりました。

この先2~3年は少なくともやることに困らないだろうなと思いつつ、1年後にはさらに進化していることでしょう。

現在募集中のポジション(2022/10時点)


現在RS&Oでは下記のポジションを募集しています。

上記のポジション以外でも、自分こんな経験あるんだが、フィットするところないですか?という相談も大歓迎なので、是非Meetyでお話しましょう。

Retail Strategy & Operationsでは、実際にパートナーの経営陣と共に事業の戦略を議論して、それを実現するためのオペレーションを組み立てるために現場に入り込み、10XのStailerというProductへのフィードバックにもつなげるという、かなり幅広い経験を積むことができるチームです。

既にローンチした小売パートナーと、この先ローンチする数多くのパートナーの成長を支えるために、共に闘ってくださる方々をお待ちしております!

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