(ご近所シリーズ): 予想外の展開
以前から何度も何度も書いている、ご近所さん(認知症または心を病んでいる)だが、今日はびっくりな展開に。
今月前半くらいまで、その人の精神状態はどんどんと悪化をつづけ、夜昼かまわず大声で怒鳴り散らしていた。時間といい、音量といい、内容といい、誰かそのうち警察を呼ぶことは間違いなしのレベルだったのだが、どうやら、「何か」があったらしい。
この1週間ほど、1日1回程度の騒ぎがあっても、うるささのランクが下がっている。「何らかの苦情」を短めに叫ぶだけで、これまでのように何時間もしゃべるようなことがなくなった。今月前半までのレベルをあえて言葉にするなら、腹式呼吸どころではなくマイク3本くらい使っていそうな声で、根拠のない罵倒を、毎日のように数時間ずつ世界に向かって叫んでいたのだった。
で、この1週間。
「さすがに誰かが何かをしたのだろうな(例: 警察がはいったとか)、それで薬を飲むようになったのかな」と、家では噂をしていたのだが。
予想外の展開。
なんと、いきなり今日、ご本人がわが家にやってきた。
わが家のチャイムを鳴らし、おそらくわが家のものと思われるものが、何かのはずみに自分の家まで転がってきていたと、教えてくれた。
とくに罵倒でもないし、用件も普通である。
ここまでなら「へー、わりと正気にもどってきたのかな」で終わりだ。
だが、そうでもなさそうだった。
玄関に出て話をしたのは夫だったのだが、帰ってきたのでわたしが「わりと大丈夫そうになってた?」と尋ねると——
「肩に、大事そうに人形をかけてた」
…なんだろうそれ。
気持ちが落ちつくだろうからと、誰かが勧めたのだろうか。たしかに、何時間も怒鳴るご近所への妄言のなか、小さな子供がいるとは思えない高齢者なのに、若い人なら言いそうな「子供がいるんですっ」という言葉が、聞こえてくることがあった。そういう妄想には、人形を肩にかけることで、効果があるのだろうか。
反対側の手に持っていたのは庭先の掃除でもしそうな道具で(夜の8時過ぎだが)、服装は上下ともちょっと濃いめの色で固めていて、とても普段着には見えなかったという。
わが家は玄関のチャイムが鳴ったときに数秒間の録画がなされるシステムなので、それを聞いてわたしも録画を再生してみたが、赤みの強い焦げ茶のようなフードをかぶっているように見えて(実際には帽子かフードかスカーフか不明)、顔を一度も上げなかったので、表情も、肩の人形も見えなかった。
とりあえず夫は、わが家の屋外に置いてあったものだったと確認がとれたため(自然には転がらないので酔っ払いでも蹴飛ばしたか?)、軽くお礼を言って、別れたのだそうだ。
昼夜を問わず近所や世間の罵倒をしなくなってから、まだ1週間程度。これからまた再発があるかもしれないし、ないのかもしれない。だが「勇気を出してチャイムを押したら、人と話ができた、また用件を作ってチャイムを鳴らそう」的な発想に向かわないでいてくれたら、そのほうがありがたい。
去年の夏くらいまでは、わたしも多少はお気の毒との思いがあったし、道ばたででも出会えば話をしようかと思った。だがそんな時期はとうに過ぎて、1日おきくらいに何時間も妄言を吐かれてきた昨今、気持ちに余裕がない。
このまま、落ちついてくれますように。
…と、これを書いていたら、やはり少し騒いでいるようだ。再発か? なんだかな、う〜む。