オシャレをする贅沢 カニさんと神戸デート2
前回から間が空いてしまいました、カニさんと神戸deデート。
なんだか忙しのと忙しくないのとが交互にやってきて、空いた日は休むことに集中してたら2週間なんてあっという間ですね、もう次の瞬間2025始まってそうでコワイ。
いや。
2024年のうちに書いておきたいこともある。
まず、カニさんとデート。
カニさんと言えばオシャレ、オシャレと言えばカニさん。
で、神戸と言えばオシャレ、オシャレ街と言えば神戸(多分)。
で、とき子と言えば象、象と言えばとき子(違う)です。
この日を楽しみにしていた象は、何を着ていくか迷います。
象の正装と言ったらお坊様の袈裟がいいのではないかと思いますが、それはインド象。
インド綿は大好きだけれど、何せ私は、カニさんとの神戸デートを楽しみにしていたので、ふざけている場合ではない。真剣に考える。
それで、春先に一目惚れしてネットで購入した黒のジャケットをクローゼットから引っ張り出してみた。
このジャケット、スタンドカラーで背中がプリーツ加工になってて、モデル着画がとってもクールだった。
見た瞬間に惚れてしまい、しかも春先で黒がセール対象になっていたため、飛びついてしまったのだが、最大の問題は、私がモデルではなかったことだ。
品よくボタンを留めると、今は亡き料理評論家の服部先生がそこにいた。
料理の鉄人の厳かな雰囲気は醸し出せるかもしれないが、目指す方向が違う。
次にボタンを全開にして着てみる。
なんだこの既視感? と思ったら、中学時代の同級生ヤンキーを彷彿とさせているのだった。
「オシャレにひよってる奴いねえよなー!?」
荒ぶっている場合ではない。
鏡の前で愕然としつつ「春だからだ、秋になったらきっと似合う……」
と、なんの根拠もなくクローゼットにしまいこんだこのジャケット。
返品する気にはならなかった。だってやっぱりクールなんだもの。
秋になって引っ張り出して、黒のスカートと合わせてみると、春先には重苦しさしか感じなかったジャケットが、幾分空気に馴染んでいた。
大ぶりのアクセサリーと合わせてみる。
それから、そうだ! この黒のジャケットには、これじゃない!?
と、4、5年前に、メルカリで一目惚れしたバッグを引っ張り出す。
いらなくなったバッグを売ろうと相場を調べるため他のバッグを検索していて惚れてしまった。ひとつ断捨離するはずが、結果プラマイゼロった代物だ。
だが、後悔はしなかった。だって可愛かったんだもの。
カニさんとの待ち合わせ場所に行く際、コンビニの窓ガラスを覗き込み、鼻歌まじりで自分の姿を確認する。
一目惚れした物を身に纏うというのはやっぱり気分が高揚する。
こんな風にオシャレを楽しみながら、誰かと待ち合わせをするというのは、なんて贅沢なんだろうと思う。
家族と同時に家を出るのとも違う。
動きやすい格好を重視するのとも違う。
やや持ちにくい小さなバッグと、スニーカーじゃない靴、滅多につけない濃いめのリップ。
幾つになっても心躍るのは、行きたい場所と会いたい人がいるからで、それは本当に贅沢なことだなぁと嬉しくなる。
よそ行きの自分をくすぐったく思いながら、やっぱりジャケットは返品しなくてよかったと思った。
そこへカニさんが、鮮やかな色のスカートに、黒のトップスで、にこやかにやってきた。
やっぱりカニさん素敵だわ〜!と思いつつ、まずはおひさしぶりの嬉しい気持ちが止められず、ワーワーはしゃぎながら神戸の街を闊歩する。
うっかり話に夢中になって、デ・キリコ展のやっている神戸市立博物館への道を通りすぎるなどしつつ、美術鑑賞を楽しんだ。
それから、楽しみにしていたパティスリー・TOOTH TOOTHへ向かう。
カニさんに、神戸でお茶がしたいー!とリクエストしたら教えてくれた、憧れのアフタヌーンティーのセットが楽しめるお店である。
アフタヌーンティー。この甘美な響きに憧れつつもご縁がなかった四十数年。
ご縁がないのには理由があった。
①お腹が減りすぎて主食を注文し、計算外にお腹がいっぱいになって諦める。
②思っていた以上のお値段に慄き、通常のケーキセットで妥協する。
③娘と行くと、血をみる争いが予想されているため諦める。(2人分も頼めない)
この3セットを繰り返しているうちに私の目の前を過ぎ去っていったアフタヌーンティーセットたち。
今回は、強い意志でもってお店に到着。
一瞬、パスタを注文しそうになったものの、そこはグッと堪えた。
今注文しなかったら、もう、一生注文しない気がする。
そして、ここで楽しんでおけば、いつか③番で娘と食べる時、心に余裕が生まれるはずだ、譲れる母に生まれ変われるかもしれない。
出てきたアフタヌーンティーセットに興奮しつつ、うふうふとカニさんとおしゃべりしていたら、カニさんは、私のジャケットも、バッグも褒めてくれた。私が言い出したわけではないのだ、カニさんから「素敵〜!」と言ってもらえたのだ、ちょっと自慢させて、カニさんから素敵〜!と言ってもらえた(2回目)のである。
ええー嬉しい!これね、服部先生になるし、ヤンキーにもなっちゃうの、振り幅エグいの!好きな服なのに、困っちゃうの!
と言ったら、一緒に格好良く着るアイデアを考えてくれた。
「ちょっと派手な柄のスカートとかでも合うと思うの、こんな風な」
カニさんの鮮やかなスカートは、実はシャツワンピで、カニさんはそれを、ロングスカート風にアレンジして着こなしていた。流石だ、大胆な色使いもサラリと着こなしている。
「なるほどー!スカートあんまりもってないけど、もし気に入ったの見つけたらやってみる!」
↓カニさんのスカート、このシリーズかもしれない!
私たちは、オシャレの話と、美術館の話、それから創作大賞の話(ちょうど、授賞式翌日だった)で大いに盛り上がった。
カニさんとは、ファッションの話の他にも、今読んでる本の話や、子育ての話もどんどん話せるので、あっという間に時間が溶けてしまう。
「せっかく神戸に来てるのに、他にどこも行かなかったねー!」
となる頃には、もう帰宅予定の時間であった。
名残惜しいが、シンデレラタイムは終了である。
自宅半径3キロ圏内では、スタンドカラーのジャケットなど邪魔に感じるし、スカートなんて履いてられっかよ!ってなチャリンコ暴走族だし、カバンはバンバン物が放り込める布のトートバッグ(ドムゾウくん仕様)が最高だと思って生きている。
それでも。
時々、会いたい人と行ってみたい場所で、ちょっぴり贅沢時間を味わう。
私は、電車の中で、大ぶりのイヤリングの重さを確認する瞬間が好きだ。
かしこまった全身が、心地よく疲労している。
「お疲れ耳たぶ!あんた今日キレイだったよ!」なんて言いながらイヤリングを外すと、しばらくそこがジンジンとする感覚も好き。
楽で疲れない格好が大好きで、それが幸せだと思っているけれど、時々、全力オシャレを楽しみたい瞬間があることも、贅沢で幸せだなと思う。さて、次は何処へ行こうかしら?(などと、はしゃいだこと言ってたら忙しくなってた)
また、おデート行きましょうねカニさん!