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思えば遠くへ…

#最後の日

享年50歳

漠然と
父と同じ歳まで生きられるのだろうか?
どこか頭の奥でそう思っていた

数えでは49歳だった
現在のわたしだ

正直、まだドキドキしている
23:59分に心臓が止まるか
階段で転ぶかして頭を打って

親の寿命は越えられないのでは?

なぜかそう考えてしまう
でもなんとか追いついた

親より長生きする
親孝行のひとつ

この一日は長い

もうひとつ

それなりに精一杯生きてきたから
後悔したことのないわたしだけど

もう戻ることのない景色に
ほんの少しだけ寂しさがある

一回限りの一秒を
49年分過ごしてきた

もう戻れないから

ほんの少しだけ
抵抗しているのかも

嬉しいような
悲しいような


さて、ここからは
ようやく緩やかな下り坂

よく登ってきたね

足取りは軽やかだし
麓を見渡せる


そう


道はひらけてゆく



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