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レビュー:ザ・クルー 第9惑星の探索

 ザ・クルー 第9惑星の探索をプレイした。ドイツボードゲーム大賞のエキスパートを取ったこともあり、世間的な評価はすでに定まっていると思うのだが、個人的に非常に良いゲームと感じたので感想を書いておく。
 ちなみにミッションは4つしかクリアしていないので、難易度の上昇などのゲームバランスに関しては考慮していない。ゲームのコンセプトに対しての感想になる。

プレイ人数は3人。
自分:トリックテイキングは数種類プレイ経験あり
S:アナログゲームの経験多数。たいてい強い
K:アナログゲーム初心者。アナログゲームに苦手意識あり

トリックテイキングというジャンル

  ザ・クルーはトリックテイキングというジャンルのカードゲームだ。トリックテイキングについてはトランプを使用したゲームの一大ジャンルで、詳細な定義などはwikiなどにも記述があることだし割愛する。
 ネット上のレビューなどを見るとトリックテイキングは好き嫌いが分かれるジャンルとの記述が多い。また、初心者には何をしてよいかわからないという説明もよく見かける。
 個人的にはこれらの評判に異論はない。自分もここ一年ほどトリックテイキングに興味を持ち、簡単なゲームを何個かプレイしている。周囲にトリックテイキングを嗜むプレイヤーがいないため、人に教えてプレイに付き合ってもらっていた。
 自分自身が初心者プレイヤーだということもあって実力にあまり差はないと思うのだが、1プレイ目ではどうしても、どうすれば勝てるのかわからないという事態が発生する。また、マストフォローのルールのため、ゲーム中に思い通りに行かないタイミングが発生するというのもプレイングの良し悪しがわかりづらい原因に思える。
 先にも述べたように自分も初心者プレイヤーなので、どのようにプレイするのが良いのかアドバイスできないのも難点だった。

※その上で友人たちは楽しんでくれていたが、前提とする我々の仲の良さと、トリックテイキングに対する習熟度の共通した低さが要因として大きいと感じる。

ザ・クルーはトリックテイキングの入門にぴったり

 ザ・クルーはトリックテイキングの入門 ザ・クルーは自分も含めてトリックテイキングの入門者に非常に適しているゲームだと感じた。
 ザ・クルーの基本ルールは「特定のタスクカードがプレイヤーに配られ、プレイヤーたちはそのタスクに書かれたカードを獲得しなければならない」という内容だ。
 例えばミッション1の場合。黄色の4というカードがミッションリーダーに配られたとしよう。トリックテイキングではトリックというゲーム単位を手札が切れるまで繰り返すゲームだが、黄色の4をリーダーが獲得した時点で、ミッション1は達成したことになる。とはいえ、では初手でいきなり黄色の4が確定で手に入れられるかはヒントの情報と、手札運によって左右される。なので基本的には数回のトリックを行って、確定で手に入れられるという状況を作ってクリアすることになるだろう。
 この多少のトリックを経て、1枚のカードを獲得する。という内容が非常に入門としてよくできている。少し考えるだけで、確定でタスクカードを手に入れるためには適切なヒントを出すか、もしくは適切なカードの出し方をしなければならないことがわかるからだ。その上で、その思考自体はそこまで複雑なものでもなく、よほどのことがなければプレイミスもカバーができるだけのゆとりがある。
 ミッションが進むたびにタスクカードが増えたり、タスクを消化する順番が指定されたりするが、基本的にはミッション4まではミッション1の思考の延長線でプレイすることができる。
 なぜこの思考がトリックテイキングの入門として素晴らしく思えたかというと、トリックテイキングはどのカードで勝ち、どのカードで負けるかを手札が配られた段階で一定考える必要があるゲームジャンルだと、今までの自分の経験からだと思えるからだ。基本的にゲーム中で手札が途中で増えるということはないので、計画性が重要だというふうに感じている。この計画が建てられるのかどうか、それが上手くプレイングによって遂行と修正できているか、というのがトリックテイキング初心者には非常に難しいのだ。
 ザ・クルーは「とりあえず全プレイヤーで1枚のカードを特定のプレイヤーに取らせればよい」という、最低限の計画性からゲームが始まっているのが非常に素晴らしい。

協力ゲームとしてのザ・クルー

 個人的に協力ゲームはあまりプレイしない。というのも、自分の友人たちのグループの場合、別なメンバーで遊ぶ場合は未経験者と経験者で奉行問題が生じがちだし、
(揉めるわけではないが、経験者には配慮が求められる)
未経験者同士でも議論を重ねるプレイになりやすいため、長時間のプレイングになりやすいからだ。

※参考までに、アンドールの伝説の基本セットは1プレイ1時間が公称だが、自分らは2~3時間をかけてクリアしている。

 一応補足しておくと、協力ゲームがジャンルとして評価が低いというわけではない。プレイ時間が長引きがちなのと、ゲームのポテンシャルを引き出しづらいというだけだ。遊ぼうというモチベーションがあるときはもちろん遊ぶ。
 ザ・クルーの場合、ゲーム中には会話は基本的に禁止され、ルールに沿ったヒントを出すことしか許されない。そのため、相談のしようがないためプレイの時間が想定以上に伸びるということはなかった。また、会話が禁止のため出されたカードから相手の手札や意図を推理する必然的な状況が発生するため、そもそもアナログゲームに不慣れな友人が自然とそうした思考をしてくれていた。今までトリックテイキングをプレイした際に、わからないのでとりあえず初回は適当にカードを出していく、という事態が起きたこともあるので、これは非常に嬉しい展開だ。
 1プレイがアナログゲーム初心者を含んでも10分くらいで終わるというのも評価してよいポイントだと思う。失敗してもさっさともう一回プレイすれば良いだけだ。
 カードもタスクも毎回変わるので、違うメンバーでミッション1から遊んだとしても経験者の面白さが極端に下ることはないだろう。もし難易度が物足りないのであれば、経験者の提案によってはミッション10からまど先のミッションから遊ぶのもありではないだろうか。もしくはルールにしっかり書いてあるように、全ミッションへのチャレンジ回数を競ってみたりなど。ルールを自分たちに合わせて運用するだけで、経験者も未経験者と同じように何度も遊べるゲームのように思う。

ということで

 しばらくはザ・クルーは持ち歩いて遊ぶと思う。他にもいくつか未プレイでプレイしてみたいトリックテイキングのゲームがあるが、ザ・クルーのミッション50を達成してからで良いだろうと現時点では思う。早くミッション5以降を遊ぶのが楽しみだ。

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