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シュガーグレーズ、B2B、メタバース...(歌詞考察)
謎が多すぎる楽曲を読み解く企画第一弾(第二弾があるとは限らない)は、アルバム「私立恵比寿中学」収録の「シュガーグレーズ」。
筆者が愛してやまないTORIENA作詞・作曲の名曲です。
シュガーグレーズとは、これのこと。
![](https://assets.st-note.com/img/1675343627150-vyWMa7JS3c.jpg)
"グレーズ"というのはコーティングの技術なのだそうです。半透明で光沢感がある感じ。例えば、クリスピークリームのドーナツはおそらく砂糖で"グレーズ"しているはずなのでシュガーグレーズ。
さて、これはどういう意味なのでしょうか。歌詞全体を考察してみます。
意識をつなぐ電気信号
君と僕ずっと遠い距離で
お互いの目を見つめながら
他愛無い話で夜を明かそう
サビっぽい部分の歌詞です。ここだけを読む感じ、2人が深夜に電話をしている情景が浮かびますね。「電気信号」=「インターネット」を通じて、「遠い距離」で「他愛無い話」をしている。「お互いの目を見つめながら」とあるのでテレビ電話かもしれません。
しかし、ある疑問が浮かび上がります。
ワープ飛びこむ次元
君に会いたくて眠たくても Join
この歌詞の意味です。
最初に気になったのが、電話に「Join」という表現が適切なのかという点。「Join」には、既に作られた(始まっている)何かに入る、参加するというイメージがあるので、2人が接続して初めて開始される電話とはいまいち相容れません。Join ZOOM meetingって言いますが、Join phone callは違和感がありますよね。
「君に会いたくて」で電話するのもよく分かりません。
そこで「次元」という歌詞を見て思い浮かんだのが、メタバースです。
B2Bで深める愛
透けるようなキス
散々語って早朝
人類妬けるような空間事実
B2Bの意味はのちほど考えるので割愛。
メタバースだと考えると「透けるようなキス」もなんとなく想像がつきますね。電話でキスだと意味不明ですが、仮想空間内のアバター同士がキスするのだと合点がいきます。おそらくアバター同士の接触はできないので文字通り「透けるようなキス」になるわけです。
その次の行の「空間事実」も、メタバース=仮想空間を感じさせますね。
前述した「ワープ飛びこむ次元」という歌詞も、「仮想空間という別の次元にワープした」と考えることができます。
思い返せば、サビの「意識をつなぐ電気信号」は相手との接続なのではなく、もう1人の自分=仮想空間のアバターと意識を共有するための「電気信号」なのかもしれません。
ちなみに「意識をつなぐ」が使われているのは最初だけで、それ以降はすべて「二人をつなぐ」になっています。最初にアバターと自分を接続して(VRゴーグルをつける感じ)、それ以降は相手と接続するという意味での「電気信号」、というわけです。
繋がる feeling
加速する spinning
加熱する pining
サビの後半。
「繋がる feeling」はそのままの意味だと思ってもよいでしょう。問題は下の2行。
「加速する spinning」はなんとなく、ロード中の画面の真ん中でずっと回っているアレ(笑)が連想されますよね。メタバースを起動する時でしょうか。電話ではあまり見たことがありません。
![](https://assets.st-note.com/img/1675352024754-RYENutsbG3.jpg)
「加熱する pining」については、「pining=思いこがれる」が「加熱」しているとそのまま受け取ってもよさそうです。しかし、「加熱する」という表現が複数の意味を持っているような気がしてなりません。
例えば、ソフトを長時間起動している影響でパソコン(もしくはゲーム本体)が熱くなっている描写や、「シュガーグレーズ」から連想されるドーナツに熱を通している描写など。
考えてみれば「繋がる」「spinning」もドーナツと連想できなくはないですよね。粉を生地にする工程は"繋げている"といえますし、クリスピークリームのドーナツの製造過程を見てみたら生地をこねる際に機械が"スピン"しています。ダブルミーニングだったら面白いです。
プラトニックでもどかしく
騒ぐ胸の内側のミュータント
知らない誰かに触れないで
優しくしないで
ねえお願い
さて、歌詞も残り少なくなってまいりました。
個人的にここの歌詞で気になったのは「知らない誰かに触れないで」という表現。
"触れる"といえば、「触れ合っている 僕たちだけの関係」と、先ほど紹介した「透けるようなキス」という描写がありました。
もちろんメタバースなので実際には触れていない。だからこそ、現実世界で触れている「知らない誰か」への嫉妬が増幅します。
元々は「プラトニック=純粋」だった心。その中にひっそりと存在していた異端者(突然変異体=ミュータント)イコール"嫉妬心"が"騒いでいる"ということですね。
「ミュータント」自体が仮想世界から生じたと考えてもよいかもしれません。
さて、前述した「B2B」の話題へ移ります。
「B2B」で検索したら「Business to Business」しか出てこないと思いますが、この曲においてそんなわけがありません。では何を指しているのか。
まず、「2」が"to"であることに疑いの余地はありません。問題は「B」。
「B2Bで深める愛」とあるので愛を深めるものだという前提で考えると、まず思いつくのがキス。しかしキスは"Lip to Lip"や"Mouth to Mouth"でしょうから、おそらく違います。
色々悩んだ結果、「Button(ボタン)」が最有力だという結論に至りました。
メタバース空間内のアバターを動かすコントローラーのボタン。お互いがコントローラーを操作して、ボタンを押すことで"愛を深める"という意味なら辻褄が合いますね。正しい気は全くしませんが(笑)。
最後に、全く分からないタイトルの意味について考えてみます。
まずはじめに考えたのはグレーズが「半透明」という点。ドーナツを食べる時、指が実際に触れているのは"グレーズ部分"で、ドーナツには触れていません。
それが"触れているようで触れていない"、メタバースのような感覚に似ているのかもしれません。どれだけ仮想世界が現実に近づいたところで、実際に触れることは絶対にできない。それが現実に触れている人への嫉妬を増幅させる。"沼"ですよね。
「シュガーグレーズ」を触ると手がベタベタします。食べるうちに減っていくドーナツに反比例するようにそのベタベタは増えます。それが"嫉妬心"だとして、食べた後にグレーズがついた指をまた舐めたくなるような中毒性。舐めたらもっとベタベタになるのに。ここで、前述した"沼"と一致します。
もうひとつが、深夜だという点。
「夜を明かそう」、「散々語って早朝」などから、メタバースが起動されているのはおそらく深夜です。
深夜って、お菓子を食べたくなりますよね。なのでシュガーグレーズ。純度100パーセントの砂糖で、とにかく甘ったるいもの。
夜中にコントローラー片手にゲームをしながらドーナツを食べている。そんな情景が浮かびます。
(おわり)