不在
推しのいないライブを見ました。
前日に体調不良で特典会を途中で去り、その後もSNSの反応が無かったので覚悟こそしていましたが。実際にその字面を睨んでみると不安と虚無がぶくぶく膨らんでしまって、そのライブに行く意義は、とか、推しがいないライブを楽しんじゃっていいのかな、とか、考えなくていいことで頭がいっぱいになった雨の目黒駅でした。とりあえず落ち着こうとドンキでお酒を買って、木陰で雨を凌ぎながらなんとなくTwitterを眺めながら、いま思うと言い訳を考えていたのかも。推しがいないのにライブに行って、推し以外の人と「だけ」チェキを撮って、どうせニヤニヤしながら帰路に着くことの推しへの言い訳。私が推しのことを好きな理由に推しが自分の所属しているグループを愛しているからというのは確実にあって、だったら私が愛さないのはおかしいとは確かに思うんです。でも、そんな責任感でグループを好くのはいや。そのグループのライブが見たいから見に行く、という簡単すぎる行動が好きになればなるほど難しくなるのがアイドルだと最近よく感じます。結局行ってみて、無心で完全に楽しめたとは正直言えないのですが、捉え方によっては悪口になるかもしれないのでポジティブな意味だと明らかにした上で、色んな意味で新鮮で面白かったです。面白かったというのは、interestingの方の「面白かった」です。興味深い、という意味の。こうやって保険を掛けてしまう私が嫌いです。
最初の曲の最初のパートから推しのパートで、そのパートを歌っているのは別の子で。でも自然と違和感はなくて。やっぱり同じグループだからお互いがお互いに染まっているのかな、と思い、いつもは濁流のように押し寄せてくる「楽しい」がこの日は細くて、鋭利で、輝いていて、好きな子を応援しているという心を除いた純粋な感情が、アイドルを見るという本来の行動を呼び覚ましてくれたような感覚でした。でも、だからこそなのか、アイドルを見ながら色々考えてしまって、頭が重くて、脳を掴まれて地面に叩きつけられているような、一方的な目眩が少し辛かった。
誰も悪くないんです。体調は誰だって崩す。本人がTwitterで謝っていたのも、マネージャーさんに「体調管理をしっかりするように言います」と言われたのもとても嫌でした。いや、言わなきゃ多分不自然なんですけど、必要悪って感じ?休むことが悪いことだって絶対に思いたくない。本当は前日も体調不良で途中でいなくなるのなら最初から家で休んでほしかったし、当たり前ですけど無理してステージに立つ推しを望むファンなんているわけない。
話がそれましたが、終わってみれば楽しいライブでした。このパートはこの子がカバーするのか、とか、この子絶対緊張してるな、とか、久々に俯瞰で見られた。
でも、悔しかった。特典会で別のメンバーから推しの話をされたり、「来るとは思わなかった」と言われたり、スタッフの人にほんのり同情されたり、きっと向こうはそんなに気にしていないと思うけど、グループのことが好きって気づいてもらっていないのかな、と唇を噛んだ一日でした。
(おわり)