(エッセイ) 忘れてしまうことは
忘れることは、恐怖と希望が手を取り合っている。
忘れてしまうのだ。最近頓に多い。毎日何かしらの小さなことを忘れている。
出かけるときに持ち物を3つ4つ忘れ、何かをやりかけのまま忘れ、職場に物を忘れて帰る。家に帰れば、鍋に火をかけたことをしばし忘れてしまう。
私の中から、今この瞬間がかけらとなってぽろぽろとこぼれ落ちている。
今はまだ、事なきを得ているがいつ大事なかけらを落としてしまうかわからない。
忘れていたことに気づくたびに、やってしまったというささやかな絶望を