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同族での医療法人後継者承継で上手くいかない3つの理由とは?
こんにちは、株式会社Tobe-Ruの戸澤です。
当社は人事評価制度をテーマに事業展開させていただいておりますが、
当社のサービスを導入いただく理由は様々です。
その理由の1つとして「事業承継」があります。
事業承継について
承継者側「息子が後継者になる予定だが、上手く承継できるであろうか」
後継者側「自分が後継者となることで、上手く承継できるのであろうか」
と承継者側も後継者側からも相談を受けることがあります。
ともに課題認識を持たれている場合はまだよいのですが、
片一方しか課題認識を持っていない場合は要注意です。
第三者承継はまだよいのですが、医療法人の場合は同族による承継が多いです。
同族での医療法人後継者承継で組織面において上手くいかない理由は
主に3つです。
▼事業承継時に失敗する理由3選
1.権限の移譲が不十分
後継者が決定していても、現経営者や他の家族メンバーが権限や責任を完全に移譲しないことがあります。
この結果、後継者が必要な決定を行う上での自由度が制限され、組織の日常的な運営や重要な戦略的決定において効果的なリーダーシップを発揮できなくなることがあります。
これは組織の迅速な意思決定や適応能力の低下を招く原因となります。
2.組織文化の摩擦
後継者が新しい経営方針や変革を導入しようとする際、既存の組織文化や慣習と衝突することがあります。
特に同族法人では、伝統的な価値観や運営スタイルが根強く残っている場合が多く、これが変化に対する抵抗となり得ます。
後継者と現場の従業員との間で摩擦が生じ、これが組織全体の士気や生産性の低下を引き起こす可能性があります。
3.後継者のリーダーシップ能力の不足
単に家族の一員として後継者が選ばれた場合、その人物が実際に必要とされるリーダーシップ能力や経営スキルを持っているとは限りません。
後継者が組織を適切に導くためには、リーダーシップの訓練やサポートが不可欠ですが、これが不足していると組織の運営効率や目標達成能力に影響を及ぼすことがあります。
▼事業承継を成功に導く3選
1.後継者への権限委譲
一般的に事業承継は3~5年かかると言われております。
その間で元々理事長であった大先生が権限を持ちすぎることで、現場スタッフはいつまで経っても後継者を認めることができず、「私は大先生の下で働いている」という意識を持ちすぎることで、大先生の意思決定しか認めないケースが出てきてしまいます。
そうならないように、大先生はしっかりと権限委譲していきましょう。
裏では大先生が意思決定をしたとしても、現場では発言を控え、後継者が自分の言葉で発信するようにしていきましょう。
2.大先生の現場フォローアップ
経営者が変われば、経営方針や既存の組織文化、慣習が変わるのは当然のことですし、むしろ変化するべきです。
ただこのような方針転換は、先ほどの失敗理由で挙げた組織文化の摩擦、いわゆるハレーションは起きやすいです。
この時に大切なのは、大先生と後継者の意見が一致していることを現場に理解してもらうために、大先生から現場スタッフさん達へフォローアップすることです。
当然、大先生の方が現場との信頼関係は築けているので、現場スタッフが疑心暗鬼になった際、個別で大先生に相談がある場合が考えられます。
その時に「後継者に任せたから私はよく分からない」「後継者と私の考え方は違う」などといったニュアンスが伝わってしまうと、組織の摩擦が強まってしまいます。
3.後継者は現場スタッフとのコミュニケーションを深く取る
後継者(後継者に限らず大半の経営者はそうですが)は誰しも最初リーダーシップ力も経営者力もありません。
ただ誰でもできることとしてコミュニケーションを取ることです。
後継者の潜在的な考え方の中に
「どうせスタッフ達は大先生の話しか聞かないだろう」
「自分がコミュニケーションを取っても無駄だ」
と思われている方も少なくないです。
後継者と現場スタッフとのコミュニケーションが希薄になると、
事業承継は上手くいきません。
まずは現場スタッフの話を聴くことからスタートし、徐々に信頼関係が芽生えてきたタイミングで後継者自身の方針を伝えたり、後継者の色に染めていきましょう。
このように事業承継は、大先生が担うべき役割と後継者側が担う役割があります。
上記3点を実践しないことで
「大先生の方が後継者よりも技術的に上回っている」
「後継者は何も当院のことを分かっていない」
といった声が蔓延してしまいます。
まずは承継者側である大先生と後継者でしっかりとコミュニケーションを取り、事業承継プロセスを決めた上で後継者が法人内に参画することで、
スムーズに事業承継が進められると思います。
まとめ
事業承継は、多くの課題を伴う一方で、未来へと繋ぐ大切な機会でもあります。お互いの役割を理解し、信頼関係を築きながら計画的に進めることで、組織全体が次のステージへ進む力強い一歩となるでしょう。
本日の内容が、少しでも皆さまの参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。