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ジンの香り。

気になったので2020年代のジンとその香気成分に関する論文を調べました。
引用をたどれば、それより以前の年代のDussort, Aumatell, Vichiの論文もすぐ見つかるでしょう、たぶん。
Google Scholarでだいたいokと思います。ここでは割愛。

dussort gin - Google Scholar
https://scholar.google.com/scholar?q=dussort+gin
aumatell gin - Google Scholar
https://scholar.google.com/scholar?q=aumatell+gin
vichi gin - Google Scholar
https://scholar.google.com/scholar?q=vichi+gin

オープンアクセスのものには、タイトル末尾に(※OA)とつけています。
オープンアクセスでないものは、国会図書館(または学生であれば所属の大学図書館)で閲覧・複写してみてくださいね!

・2024年

Assessing botanical compatibility in gin production: A mathematical model and network analysis approach

https://doi.org/10.1016/j.fbp.2024.03.002

ジンのレシピ作りをネットワーク分析でより良いものにしましょうという論文。
ジンに含まれる香気成分について、先行研究がまとまっているのがうれしいですね。
あとMendeley Dataに様々な植物の香気成分とそのソースをデータベースにしてくれてるのが素晴らしいです!
(すべての抽出条件がジンの製造に即しているわけではなさそうですが…)

Gin's Aromatic Palette: A Dataset of 160 Botanicals, Volatile Compounds, and Aromatic Descriptors

・2023年

Analysis of Volatile and Nonvolatile Constituents in Gin by Direct-Infusion Ultrahigh-Resolution ESI/APPI FT-ICR Mass Spectrometry(※OA)

https://dx.doi.org/10.1021/acs.jafc.3c00707

FT-ICR-MSによる市販のジンの分析。
著者がフィンランドの大学所属なのでキュロをはじめとするフィンランドのジンや、ゴードン、ボンベイ・サファイア、ヘンドリックス、さらにノルデスや六といった有名どころが分析対象となっていますね。

・2020年


Characterization of volatile compounds in quality-ranked gins(※OA)

http://dx.doi.org/10.1021/jf058121b

ドイツ農業協会(DLG)による認定で金賞または銅賞を取ったジンについて、官能評価の内容とキーとなる揮発成分およびその量を分析。

受賞した賞によって揮発成分の種類や濃度に差があるかをみていて、金賞を取ったジンは香気成分が複雑で、相対的にリモネン濃度が低い傾向にあるというのが興味深かったです。

Influence of distillation parameters on the extraction of Juniperus communis L. in vapour infused gin(※OA)

https://dx.doi.org/10.1002/jib.607

ベイパーインフュージョンにおける蒸留条件が、ジュニパーベリーからの香気成分の抽出に与える影響について。
日本語で読めるベイパー・インフュージョンの解説は、ジンラボさんが詳しいです。

Quantitative Comparison of Volatiles in Vapor Infused Gin versus Steep Infused Gin Distillates

https://dx.doi.org/10.1080/03610470.2019.1629263

ベイパー・インフュージョンとスティープ・インフュージョンにより製造されたジンに含まれる香気成分の定量比較をしています。
ベイパー・インフュージョンではエタノールが気相で濃縮されているため、一部の香気成分をより効率的に抽出できるそうです。
ただ香気成分を測定しても、レシピの完全な逆解析はできないみたいです(それはそう)
スティープ・インフュージョンについても、ジンラボさんの記事を参照。

Key Aroma Compounds in Two Bavarian Gins(※OA)

ドイツ・バイエルン州のキングジンの香気成分の分析。
GC-MS/Oで官能評価と主な香気成分の濃度の関係を議論しているのが、主観と客観を結びつけてていい感じですね。

2020年代以降のジンに含まれる香気成分をテーマに書いた論文、今のところこのくらいでしょうか。
願わくばまだ出会ったこともないような、素敵なジンが誕生する一助となりますように。

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