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『うかつあやまり』〜江戸しぐさから学ぶ〝粋〟な生き方〜

皆さんは『江戸しぐさ』に登場する『うかつあやまり』といものをご存知だろうか。

江戸しぐさというのは、名前の通り江戸時代に人口の多かった江戸の町で人々が快適に暮らすためお互いを気遣い合うための知恵であり、今風に言えばビジネスマナーのような相手を思いやる作法とされている。(実際に江戸時代から伝承された作法であるかは確かではないようだ。)

その1つである『うかつあやまり』は、対人関係をスムーズに構築するためのとても優れた作法だ。

『うかつあやまり』とは、人混みなどで自分の足を間違って踏んでしまい謝る人に対し、

『うっかりしていた私も悪いのです。ごめんなさいね。』

と、足を踏まれたにも関わらず相手と同じように謝罪し、あなただけが悪いのでは無いというメッセージを送る事で相手の罪悪感を和らげるというとても紳士的な行為だ。

自分の事に置き換えて考えて欲しい。電車の中や、行列にならんでいる最中に、周りの人から自分の足を踏まれた経験は誰しも一度くらいはあると思う。

普通は突然足を踏まれれば、『痛いな!』『ちゃんと見とけよ!』『何するんだよ!』など咄嗟に思うかもしれない。言葉で直接伝える事はしなくても、不満顔や舌打ちくらいは出てしまうかもしれない。なんたって満員電車や行列というものはただでさえストレスを感じるのに痛みまで加えられたら、たまったものじゃない。

逆に、足を踏んでしまった人もきっと『やってしまった!』という思いに駆られ即座に謝る事になる。わざと踏んだ訳でもなく、きちんと謝ったとしても、申し訳ないことをしたという気持ちになる。その上、足を踏んだ相手はその後も目の前にいるのだから気まずい空気は流れ続ける。

気まずい空気が流れただけでもモヤモヤするのにもし、踏まれた人が『どこ見てんだよ。』『ボケっとするなよ。』なんて口に出して言えば、『ちゃんと謝っただろ。』『わざとじゃないんだからしょうがないだろ。』と口論が始まるかもしれない。そうなればモヤモヤするどころの話では無くなる。

実際は誰だってできることなら余計な喧嘩なんかしたくない。他人との揉め事ほど、時間と体力を奪われるものはないだろう。だから実際は足を踏まれたぐらいで文句を言うことはほとんどない。嫌な気持ちも大概が心の内で消化して終わりだ。

だがもし、そのまま我慢して無かった物として終わらせるのではなく、咄嗟に『うかつあやまり』をする事ができたとしたら、足を踏まれた事実は消えないがお互いの気持ちのモヤモヤを晴らす事はできるのではないだろうか。

そして、その行動は第三者から見れば、きっと〝粋〟な計らいに映るだろう。

どうせ足を踏まれて痛い思いをするのであれば、さらにお互いの気分を害すような行動を取るのではなく、サッと相手を思いやれるカッコいい人になりたいものだ。

人が生きて行けば人間関係のトラブルは必ずと言っていい程起こる。そしてそれらの全てを避けては通れない。

だけどみんなが江戸しぐさのような考え方や、行動をとるようになれば、周りの人に迷惑をかけて落ち込みそうになっても『大丈夫!お互い様ですよ!』って笑顔で声をかけてもらえる良い関係を築く事ができるはずだ。









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