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ソフトボール部で学んだ仕事のスタンス|とべちゃんのレシピ

今思えば「学生時代の経験が仕事の姿勢にめちゃくちゃ影響を与えているじゃないか!」と思うことを書き残す。

中学時代、私はソフトボール部に所属していた。その部活の顧問の先生に言われたいくつかの言葉を、大人になって思い出すことがある。


01 「やる前から、嫌だ嫌だ言うんじゃない」

努力しなくてもそこそこできた私は地域の選抜チームに入ることができた。各校の学生数、ソフトボール部人口が少なかったからというカラクリもある。それでも”選抜”に選ばれるのは誇らしかった。

学生不足とはいえ、選抜チームと名がつくからには同じ地域の学校のエースが集まっていた。選抜チームにおける私は補欠の補欠くらいの存在で、各校に割り振られた枠を埋めるための要員にすぎなかった。

練習メニューも甘くない。自分の学校のゆるい練習メニューしか経験していなかった私は、どの練習にもついていけなかった。そうした現実を目の当たりにした私の口から出るようになったのが「あー、嫌だなぁ」だった。できないこと、しんどいことをやると思うと憂鬱で無思考で「嫌だ」を連発していた。それがエスカレートして、これからやることに対してとりあえず「嫌だなぁ」と言うようになっていた。そんな私の態度を見かねた先生が一喝した時の言葉。

そう言われてハッとした。と言うのも、当時の私は自分が「嫌だ」を連発していることに気付いていなかったからだ。真剣にそう言われて急に自分が恥ずかしくなった。自分はやる前から気持ちで負けていたことに気がついた。

02 「空振り三振はよし、見逃し三振は許さない」

バッターボックスに立つからには必ず出塁してチャンスを作りたい。自分がアウトにはなりたくない。それでも三振でベンチに戻ることもある。そんなときによくみんなが言われていた言葉がこれ。

バットを振らなきゃ出塁できない。だから「これだ!」という球に、思いきりバットを振った三振はそのチャレンジを称賛される。でもバットを振らずに見逃すということは自ら勝負を放棄したことになる。だから同じ三振でも見逃し三振は許されない、という教え。これは非常にわかりやすく、納得感があった。

仕事では「打席に立つ回数が重要」と言われるけど、それと同時にバットを振る回数も重要だと思う。豪速球にビビってバットを振らずにベンチに戻っているくせに、「打席に立った」ことで満足していないか?

03 「頭50%、足50%で走れ!」

ランナーで出塁したときの話。いつも言われていたのが「状況判断」という言葉。ピッチャーの手からボールが離れたら、バッターが打ったら、無条件で次のベースを目指せばいいかと言えば、そうではない。進むべきときもあれば戻るべきときもある。誰かの指示を待てば手遅れになる。常にボールの動きを視野に入れて、自分で状況を判断して動かなくてはならない。だから頭(思考)50%、足50%でどちらも動いていなくてはいけない。

仕事でも同じことが言える。じっくり検討することもとにかくやることも大切。状況を見ながらバランスを変えたり、やり方を変えたりする必要がある。だから仕事をしているとランナーになって出塁したときのことを思い出す。

04 「黙って立ってるんじゃない。球を呼び込め!」

ファーストを守っていた時期があった。正確に球を投げることに苦手意識のあった私は、どんな球でも受けることでバリューを発揮できるファーストがお気に入りだった。大体のシーンで打球をキャッチした内野手はファーストに球を送る。待っていても必ず球は送られてくる。そんな環境にいたので私は球が送られてくることが当たり前だと思って黙っていた。しかし、それではすまないシーンもある。ランナーがいるときの内野ゴロや絶妙なバントに対処するとき。そんなシーンの守備練習で言われたのがこのセリフ。

守備においても状況判断は重要。それもキャッチャーやキャプテンといった特定の誰かの判断ではなく、全体が見えていて判断できる人が声を上げること。球を受けるべき自分の判断が重要。

フィールドの全体、状況を見ながら、チームが勝利するために自分が球を受けるべきであれば声を上げること。誰かが気付いてくれるのを待つのではなくて、自ら名乗り出て呼び込むこと。仕事でも同じだ。

05 「守備範囲は半径5メートル以上!」

いろんなポジションを転々とした私は、ショートを守っていた時期もあった。センターとショートの間、レフトとショートの間、サードとショートの間…いろいろなポジションとの「どっちの球?問題」が生じる悩ましいポジションだった。自分より上手い先輩が守っていると、すぐに譲りたくなってしまう。打球の初動を見て無意識に見送ることを決めてしまっていることも多々あった。もちろん、そうした消極的なプレーを先生を見逃すはずがない。そこですかさず飛んでくるのがこの言葉だった。

現実的には、さすがにそこは私じゃないでしょ?という場所も含むけれど、それくらいの気持ちで取り組め!ということだったのだと思う。

06 「地面に足がくっついている。いつでも動ける準備しておけ!」

守備においては、一瞬の間に物凄い速度の打球が飛んでくる。半径5メートル以上を守るとなれば、物凄い速度の球が自分の両サイド、頭の上に飛んでくる場合も瞬時に対応しなくてはならない。そのために重要なのが、すぐに動ける体制を作っておくことであり、常に足を動かしておくことである。

長い間地面に足をべったりとつけて立っていると、まるで足が地面と一体化したかのようになり、初動が遅れる。だから常に足を動かして、いつでも対応できる状態を作る必要がある。

仕事においても初動は重要である。何か新たなタスクや業務が生じたときに、ためらいなく最初に動ける人はそうでない人に比べて周囲に気持ちいい印象を与える。これは才能の差ではなく、「いつでもやる」という心がけや準備の差ではないかと感じる。だから初動が遅れたと感じるときは、その仕事に対して腰の引けていた自分を情けなく思う。


当時は、「先生に注意されるからやる」くらいにしか思えていなかったことも多い。でも大人になって、仕事をして、振り返ってみると、先生が教えてくれたことは、ソフトボールや部活の域を超えた仕事のエッセンスだったと感じる。

人生何事も学びになるんだなぁ〜

おしまい。