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雨、強すぎ
まじの日記。特筆すべき事項なし。
先週、一種の憧れでレインポンチョを買った。僕にとってボンチョを羽織ることは、カッパを着ることよりも傘を差すことよりもかっこいい気がしたのだ。
だから今日は雨が降ると聞いて、とてもわくわくした。ところが雨が強まるのを待ってから家を出ると、これが雨からは大して守ってはくれないのだと知った。風にあおられるうちに、気づくと背負ってる鞄とシャツ以外は全部濡れてた。右ポケットのティッシュは露出してる部分がシワシワになり、左ポケットのハンカチは絞ると水が数滴出てきた。
帰るころには、さすがに雨もぽつぽつ程度に収まったが、今度は飛ばされるかと思うくらいの風が吹いてた。こういうときのポンチョは風にたなびいて、マントみたいでかっこいい。なんて言うと、すごく小学生みたい…。それでもふんばって帰路につくと、その風はウソみたいな大雨になり変わった。
中途半端に強い雨だったら早く帰らなければと思うだけなのだけれど、これほど強い雨の中に放り出されるのは本当に久しぶりなので、観光気分にふと
立ち留まって、あたりを見渡してみた。さながら雨に唄えば。
道が白い。アスファルトにたまった水たまりが、空の雨模様を反射しているからだ。延々と続く道路の先を見渡すと、もはや空と地面の境界なんてないように見えた。
フード越しに、はちきれんばかりのぱちぱちとした音が聞こえる。
思い出したようにスマホを取り出すと、これはたしか、防水だったような、気がする、というあいまい根拠で水たまりにカメラを突っ込んで撮影した。
そのまま豪雨実況と題してnoteを書いてみようと思ったが、雨でろくにスマホのキーボードが打てないのでやめた。
信号待ちのときに、聖母マリア像みたいに両腕を前にかかげてみた。雨粒が重く、大きいので、それが不規則に手にあたる感触は、冷たいとか、濡れたとかいうよりも、「痛い」が先に出た。実際にはそんな痛くない。力強く拍手すると手のひらがヒリヒリすることがあると思うけれど、雨にあたっている間は、そのヒリヒリする感覚が不定期に腕全体のどこかで発生していた。
当然そんな強い雨なので、大きな水たまりがあちこちにできていて、不意に踏み込むと僕の靴はびしょびしょになった。この靴は中途半端に撥水するから、直接靴に雨が当たる分には大丈夫。でも、水に浸かると、隙間という隙間から中に水が侵入してきて、そしてそれはどこにも出ることなく僕の靴にたまっていく。一歩踏みしめると、靴下越しに足の指から水が流れる感覚がする。僕は、ちゃぷちゃぷとした足音を鳴らしながら家に帰ることになった。
結果として、家について、脱衣所で服を脱ぐまで、僕の足、身体、ズボン、靴、ポンチョと、「僕の」とつくその場の物がすべて重たくて、大変だった。もう二度とポンチョは使わないとも思ったが、これほどの大雨だったら傘でもカッパでもびしょぬれになって帰ってきただろうと考えて、やっぱもうしばらく使ってみようかなと、思った。