フレンドの頭に檸檬を載せる、丁寧な暮らし
檸檬←レモンね。
僕は控えめに言って、他人に人生を侵略されている。こういう言葉を使うとさも人生をめちゃくちゃにされましたみたいに聞こえるが、そうではない。僕の思考の背後には、きっと誰かがいて、僕が何を思おうとも否応なしに命令して、僕はその通りにしなければならないかのような強迫観念に駆られている。その誰かは、具体的に何々さんとかじゃなくて、モヤの形をしている。そこに目を凝らすと、8割くらいは僕のフレンドによって構成されていることに気がづいた。
僕が今こうしてnoteを書いているのは、フレンドの誰かによって感化されたから。僕が行動を起こすのはフレンドの誰かがそうしたかったと言ったから。僕がああ思うのは、僕がこう言うのは、全てフレンドの誰かによって影響されたものばかりであるかのように思える。僕が真にこうしたいのか、あるいはフレンドによってこうしたがられているのかがわからない。考えてしまう。
そうして僕は、映画を見ながら、本を読みながら、花を見ながら、夜道を歩きながら、気づけば考えているのは、目の前の風景ではなく、その後どうやってこの時思ったこと見たことをフレンドに説明しようかについてである。人の目の薄い涙の層よりも、それよりずっと分厚いスマホのレンズの方に信頼を置いてしまう。
それでは、あまり目の前の景色が綺麗に見えない気がした。
だから僕は丁寧な暮らしをしようと思う。きみたちのことなんて、僕は綺麗さっぱり忘れる。自分の感性だけで街を歩く。スマホの数インチ角にカットされた景色じゃなくて、僕のこのFOVが200近い両の目を使って周囲を見渡す。ひっそりと佇むコメダ珈琲を見て、ここに入って何を注文してコメダが好きな誰に報告しようかと考えることもなく、綺麗な鱗雲を見て、誰に共有しようかと写真を撮ることもない。あなたが関与することなしに、僕は僕の世界を回す。地球は僕の歩みによって回っている。
花を一輪買う日。プレゼントですかと聞かれる日。いいえ、自分の部屋に飾るんです。そう答える日。図書館が閉館する時にだけ流れるささやかなBGM。電車で窓の風景を見るために脱がれた子どもの靴。つかめてしまいそうな雲と小学校の近く、通ると香るプールの塩素の匂い。
今日は帰り道の自動販売機でキリンレモンを買った。飲むのは、初めてだ。僕は別に炭酸が好きと言うわけでも、レモンが好きと言うわけではなかった。でも、飲みたくなった(ここでフレンドが話題に上がってたからなんて言ったら趣旨が崩れるから絶対に言えない)。
そういえば僕、本当の檸檬を知らない。見たことは、あった気がする。でも結局一番に思い浮かぶのは、厚さ数ミリにスライスされた檸檬だ。国産レモンの旬は冬らしい。
いつか、僕は檸檬を一つ買おうと思う。そうして、太陽が差したそのままの自然な光にあてるんだ。僕の家は、西日がひどくまぶしい家だ。鋭い光が、カーテンの隙間から漏れる。その下に檸檬を飾れば、きっとカドミウムイエローの反射光が、部屋を満たしてくれるに違いない。世の中の、あまねくすべての美しいものすべてを手のひらサイズに収めたら、それはきっと檸檬の重さをしていると思う。なんて言い過ぎだろうか?
うん。うん。
そうだ!そうだ、載せてしまおう。フレンドの頭に、檸檬を載せみよう。こんなに重いものを載せられたら、きみはどういう反応をするのだろう!とびっきり困らせてやろう。エリザベス2世の戴冠式のように重い重い大きな宝石の詰まった檸檬をきみの頭に乗せる。首が、折れてしまうだろうか。
は?何お前かわいいな。おい。なんだよその笑顔はよ。僕はきみの頭に檸檬を載せてるんだぞ。こんな重いものを頭に載せられて、きみは本来困惑するべきなんだ。僕が突然きみの頭に檸檬を載せて、きみはそれをなんにも疑うこともなく受け入れた!フレンドが頭に檸檬を載せている。フレンドが僕の前では檸檬を載せられる!!その笑顔!かわいいね〜〜!!!!!!ちっちゃな頭にちっちゃな檸檬!かわいいね〜!
それともなんだ!!形が歪すぎて檸檬に見えないってのか、そう言いたいのか!いいよ!かわいいから!!!僕はもっと頑張って檸檬を描くよ!!!
チーズケーキの、焼いて上がったこげちゃ色。こげちゃ。あなたのことを思うよ。
ふん…いいさ。所詮人間は儚い。友達だの恋人だの、各々の関係性に名前をつけることなしには自分達の存在価値に意味すら見出せない哀れな連中さ。こんな無邪気な笑顔も、きっと、いつk
え、やば。かわよ。その表情はなんだ。妖艶だ。素敵だ。えっヤバかわいい。こんな目で見つめられたら僕はどうして平然な心を保てよう、かすかにはにかんだ唇もべりきゅ。本当に同じアバター使ってる?こんな雰囲気。いや良。まるメガネがいいね。いいね。きみと出会った日をまるメガネ記念日にしよう。きみと会うたびに記念日を更新するんだ。
え、きゃ。素敵。なんて綺麗な目してるの。異様にごちゃつかず、謎の反射が書き込まれることもなく、シンプルでありながら確実に顔の中のアクセントになる色遣い。いいねえ。これが目だよ。これはいい目だよ。耳飾りもいいねえ!横から見ると、顔が耳飾りの光を反射してるんだよ!どういう仕組みかまるでわっかんないけど、いいねえ。おしゃんだねえ!あと首にぶら下げてるメモリーカードみたいなやつもいい。何GBかなあ、8GBと8GB合わせて16GBかなあ!大抵のPCが動くねえ!
ワ、ワ
いやデカすぎんだろ檸檬。何度も描いてるうちに面倒になったか?というかデスクトップで動けない人間の頭上に檸檬を載せる背徳感!なんかゾクゾクした。えっえって困惑しながらそれでも僕を信じてWASDを押すことなく結果を待ってる姿勢に、僕は胸が痛むほどの健気さを感じた。かわいいねえ。かわいい。僕はこんなにもあなたを愛しているというのに、あなたは優しい言葉の一つもかけてやくれない。それでもしっかり心の底では僕のことを信じているんだね。きっときみは恥ずかしがり屋なんだ、でも大丈夫、きみの気持ちはよく伝わってるよ、怖がることはない。だから、ねえ、なんで寝るの!ねえ!!!
ふん…いいさ。信じた僕が間違いだったよ。どうせ僕は、世界の最果てでひt
かわいいねえ。あなた、私の夢にも出てきたことあるよ。3回くらい。
これからもあなたの後ろ髪で遊ばせてくれ!!!!!なんか紫のグラデーションが入ってていい感じにウェーブしてて美味しそうだから!!!別に飲みこまないけど口に含むまでは許してくれ!てか初めて見た時から足組む姿めっちゃ好きなの!!眉間を中心に踏んでくれ!それを糧に僕は語学を頑張るから!
いいねえ!酸っぱいかお!!食べてるわけでもないのになんか載せられただけで酸っぱい顔になってる!そのこわばったほっぺにどでかいすき焼きのあちあち豆腐を押し付けてジューってしたい。てか檸檬でっか。
あ!
目を瞑って俯いてただ檸檬を頭に載せられるのを待ってくれる!そうして聞いてくる、whyの三文字。よく聞いた!そりゃそうだ!いやだったのかなぁ。もっとグレープフルーツとかライムとかだったら喜んでくれたのかなあ!フレンドの頭に檸檬を載せる丁寧な生活、僕はただきみの頭に檸檬を載せたいだけなんだ。ワ!困惑してる!困惑してる顔もキュートねー!(その写真撮るの忘れちゃった)。てかあなたの泣き顔なに!めちゃくちゃかわいいの。もっと泣いてほしい。いや泣かないで!心がきゅうってしちゃうから。はあくるしい。葛藤だ。アウフヘーベンだ。
ハア…疲れた。
僕は今日12時間ぶっ続けでVRしてたんだよ。深夜2時くらいから遊び始めて、気づいたらHMD外して2時間くらい気絶してたから厳密には違うけどまあ含ませてくれよ。僕は9時から昼12時の間に仮眠してるフレンドを胸に抱きながら、膝の上にアロマストーンとバニラのアロマを入れた陶磁器を置いて、XSOoverlayのでかめにしたスクリーンでLEGO BATMANを見た。
LEGO BATMANがねえ、意外と面白かった。最初からぶっ飛んでてさ。映画の初めの、まだ本編に入ってないロゴだけ暗幕だけのシーンからバットマンのナレーションが入ってさ。「そうだ。カッコいい映画というのはまず暗闇から始まる」とか「DC COMICS。俺のおかげででかくなった会社だ」とか言っててよかった。
あと、序盤の主人公の孤独に対する描写がすごい。子供映画と思って舐めない方がいい。まず映画の初めに主人公のナルシストっぷりが開示されるのよ。主人公ってのは当然バットマンね。バットマンは孤独だ。でも悪党やっつけるし女の子にモテモテ。お金持ちだからね。お尻はぷりぷりだしこの割れた腹筋を見てみろよ。みたいな歌を歌いながら華麗に敵を倒すんだよ、その後町中で称賛されながらバットモービルであっちこちめぐるの。
今日は気分がいいから孤児院行くか!孤児たち!バットマン・グッズ・ガンだ!くらえグッズポンポンポン!わあバットマンありがとう!ついでに現金もあげちゃうぞシュパン!!わあ!さすがバットマンだ!って言われて、バットマンもわーはっはって家に帰るんだけど、いざ家に帰ると、直前の喧騒とうって変わってすごい静寂が流れるの。初めは元気よくただいま!!とか、叫んでいたんだけど、その声は広い基地の中で反響するだけで、バットマンはただ喋らず自分の家での生活に戻るの。
冷蔵庫にあるロブスターを、レンジで温める。加熱時間を間違えて20分に設定して、「何やってんだ…」って言いながら2分に打ち直す。ボタンを入れると加熱が開始される。レンジのオレンジの光を見つめるバットマン。微かに照らされる室内。その間何も喋らない。何もない、間だけが流れる。そのあとは豪邸の地下にある湖(地下水?)みたいなところでボードに乗って、ロブスターを静かに食べる。食べ終わったからって何をするわけでもなく、少しばかりギターを弾いて、家に戻る。広い広いシアタールームでドラマを見て大笑いはすれど、隣を見渡すと誰もいないことに気がついて、笑うのをやめる。階段の前に飾られた家族写真を見つめる。そこでは少しばかり家族への恋しさが語られたが、その後アルフレットという執事が来ると、え、あー?家族写真?あーこんなところにあったね、うんうん。あー親父ってこんな顔だったんだって強がって見せてた。
この辺りの描写がねえ、あまりにも芸術点高くて。詳しくはネットフリックスにあるから是非とも見てほしい。
ヌクヌクヌクヌクヌクヌクヌクヌク。わァ〜檸檬載せられてる〜!って言いながら、されるがままになってるのがかわいい。ねえ。僕、アロマを始めたよ。知ってるね。バニラのいい匂いがするよ。最初にアロマストーンを買って、匂いしないなーと思ってたら、普通にアロマオイルがいるやつだったって気づいた話をしたら「石を嗅いでたのね🧐」って冷静に言われたのがちょっと僕泣いちゃったよ。
ねえ。本当に申し訳ないこと言うんだけどさ。今時系列順に古い方から写真載せてて。そしてフレンドに檸檬を載せるようになって結構経つから、今まで上げた他にもこういう写真があと10枚以上はあるのよ。
一個一個書いてたら日が暮れちゃうしさ…なんか文字数も5000文字に届きそうな勢いだしさ…残った分…別のnoteにしてもいいですか。
っていうかそうじゃないのよ。僕は今誰に許可取ってるのって話!!!結局気づいたらいつもこうだ!これから僕は、あの人の檸檬にはどういうコメントをつけようかなあとか、あのひとの檸檬の写真を言及しないことによってどう思われるかについて日夜悩むことになるんだ!
なんだかんだと、フレンドのことを考えずにいられなくて困っている。困っているのか?そうではないかもしれない。いやわからない。終わりだ終わり!!!