宿泊行事の部屋決めについて
以前の私は、宿泊行事の部屋決めは、いわゆる「好きな人同士」で決めさせていました。たまたま運が良かったのか、大きなトラブルが起こったことはありませんでした。しかし、最近の私は、やり方を変えています。
まず、4月の学級作りの時期に子ども達に次のような話を繰り返し しています。
「宿泊行事で、もしかしたら、自分と気が合わない人とグループが一緒になったり、仲の良い人と違うグループになったりすることがあるかもしれないよね。
それはそれで仕方が無い、と考えることもできるけど、日頃から誰とでも協力し合えたり、誰とでもそれなりに仲良くできたり、楽しく過ごせたりする関係作りを築いておけば、宿泊行事の時にジタバタする必要が無いと思うんだよね。
『本当は◯◯さんと同じグループになりたかったけど、まあ、いいか』って思えるんだよ。でも、日頃からいつもいつも同じメンバーで固まって過ごしていて、他の子との関係が築けていなかったら、宿泊行事のグループ決めは辛い時間になるかもしれないよね。
だって、普段のメンバーとグループが一緒になれなかった時のショックが大きい訳だからね。それに、いつもいつも同じメンバーで固まって過ごしていて、仮に、メンバー内の人間関係がこじれてしまった場合、宿泊行事は本当に辛いものになってしまうよね。だって、他に仲良く楽しく過ごせる友達が居ないのだから。
でも、それは、自分が蒔いた種でもあるんだよね。だからこそ、普段から誰とでも協力し合える、楽しく過ごせる関係作りをすることが大切だと先生は思うんです。そうすれば、仮にくじ引きでグループを決めたとしても、誰も何も困らないでしょ」
このようなことを4月から語るようにしてきました。2年前は5年担任でしたが、宿泊行事前に、好きな人同士」がいいか「くじ引き」がいいか、で子ども達にミニ討論をさせました。最終的に9割が「くじ引き」を希望し、「くじ引き」でグループを決めました。
「くじ引き」派の人からは、
・「好きな人同士」にしてしまうと、人数の都合上、希望したグループに入れてもらえずに、悲しい思いをする人が出るかもしれないから。
・クラスの仲が良いので、誰とグループになっても、楽しく過ごせると思うから。
・普段、そんなに話をしたことが無い人と一緒になったとしても、仲良くなるチャンスだと考えられるから。
という意見が出ました。
「好きな人同士」派の人からは、
・好きな人同士で過ごした方が楽しいから。
という意見しか出ませんでした。
結局くじ引きに決まったのですが、くじ引きは、非常に盛り上がりました。一緒になりたかった子となれなくて落ち込んだ子もいましたが、グループ決め直後に同じ部屋のメンバーで集まって、カードゲームをする時間を設けたところ、すぐに笑顔になって、楽しく過ごしていました。
翌年、学級を持ち上がり、6年生を担任しましたが、この年度の宿泊行事も、子ども達との話し合いで「くじ引き」に決まりました。そして、今年度5年生を担任していますが、同じく くじ引きに決まりました。グループ決めをどのような方法でするかは、結局のところ学級の状態に依存するのだと思います。
「好きな人同士」だから良いとか悪いとかではなく、「くじ引き」だから良いとか悪いとかではなく、どんなグループになったとしても、協力し合える、それなりに仲良く・楽しく過ごせる学級作りを担任が意図していくことが大切なのだと思います。