教員も芸人も、意識して努力しなければ、技量は絶対に高まらない
私は、かつて、お笑い芸人として10年以上活動していました。
都内各地でお笑いライブに毎月10本程度出演し、ほんの、ごくごくたまにテレビ番組に出演していました。
芸人を辞める直前の数年は、半年に1回程度の割合で単独ライブも開催していました。
それらのお笑い芸人としての活動10年と、教員になってからの9年を比べてみて、分かったことがあります。
それは、お笑い芸人と教員には、良い意味でも悪い意味でも、いくつもの共通点があることです。
それらを一言でまとめるならば
「意識して努力しなければ、絶対に技量は高まらない」
ということです。
芸人は、ただ、お客さんの前でネタを披露しているだけでは、絶対に笑いの腕は上がりません。
一流の放送作家にネタを見て貰い、始めはケチョンケチョンにダメ出しされながら、台本作りのイロハを学び、どんなセリフをどんなスピードで言えば自分達のネタの本質が伝わるのかを身につけていきます。
時には、売れている芸人のネタを完全コピーしてやったものを映像に撮ってみて、本物の芸人の映像と見比べて、自分達には何が足らないのかを分析することもあります。
これらの努力があった上で客前に立つのです。
そして、お客さんの反応を見て、更に改善をしていきます。
これらの努力を続けられる人は、たとえテレビに出演するような芸人になれなくても(テレビ出演は多分に運・タイミングに左右されます)、ライブシーンでは確実に笑いを取ることができるようになります。
いつまで経っても充分な笑いを取れない芸人に共通するのは、しっかりとネタを分析できる人に見てもらわずに、客前に立つ人です。
事務所に所属せず、フリーで活動している芸人に多いです。
彼らの多くは、ライブで滑った日は、楽屋で以下のようなことを言います。
「今日の客の空気は重かった」
「俺らの笑いは、全員に伝わらなくてもいい」
「今日のお客さんは、レベルが低い」
などなど。
決して、自分達の責任にしません。
必ずお客さんのせいにします。
芸人同士で傷の舐め合いが始まるのです。
傷の舐め合いは、ライブの打ち上げでも続きます。
居酒屋では、話題が、傷の舐め合いから、売れている芸人への悪口・やっかみ・嫉妬へと変わります。
私自身もその渦中にいたことがあります。
恥ずかしい話です。
ここまでの話を教員の視点で考えてみます。
教員は、ただ子ども達の前で授業をやっているだけでは絶対に腕が上がりません。
一流の人に授業を見て貰い、改善点を指摘され、修正していくことを通して、腕が上がっていきます。
技量を上げるために追試もします。
これらの努力を怠っている教員は、教員になってからの3年程度の間になんとなく培った技量を保持したまま、そのまま定年を迎えるのではないかと思います。
つまり、技量が上がらないまま教員生活を送るのです。
そのような教員が子ども達の前で授業をすると、内容を理解出来ない子どもがいた場合、子どものせいにします。
挙げ句の果てに、親のせいにしたりします。
飲み会に行けば、子どもの悪口、他の教員への嫉妬・やっかみが始まります。
教員生活9年目。
自分を見失うことのないよう、日々精進していきます。