教員と芸人の相違点
今回は、教員と芸人の相違点について考察します。
教員も芸人も、目的こそ違いますが「対象者の前に出て何かをする」という点では共通しています。
しかし、教員と芸人とで、大きく異なる点があります。
それは、教員の場合は「こちら側の努力が無くとも対象者が集まって来てくれる」のに対し、芸人の場合は「こちら側が何かしらの努力をしないと対象者が集まって来ない」ということです。
どういうことか。
教員の場合、対象となる相手は、子どもです。
教員は、決められた時間に教室で待っていれば、決められた人数の子ども達がやってきます。
何かしらの事情がない限り、安定した人数の対象者が、毎日のように教室に足を運んでくれます。
言わば、一定数の対象者が毎日来ることが自動的に担保されているのです。
そこに教員の努力が入り込む余地はありません。(私立の学校は異なると思いますが、、、)
芸人の場合、対象となる相手はお客さんです。
売れている芸人ではない限り、劇場に足を運ぶお客さんは、芸人自らが連れて来なければなりません。
どういう風に連れて来るのかというと、多くは、街中でのチケ売りです。
私も数多く経験しました。
原宿や渋谷、新宿などの街中で、見知らぬ人達に話しかけ、時に笑わせ、時に道化師を演じ、時にその子達をいじるなどして、「この人達、面白そう。ライブで観てみたい」と思わせるのです。
そういう泥臭い営業活動をして、やっとの思いで、チケットを買ってもらうのです。
しかし、そう上手くいくものではありません。
それは、そうです。
見知らぬ人に話しかけられて、その場で1000円、1500円のお金を払う人が、世の中に何人いるでしょうか。
お金を払ったとしても、その場で対価を得られる訳ではないのです。
その値段分の価値があるのかどうかは、ライブに行ってみるまで分からないのです。
チケ売りがかなりハードルが高い営業活動だということをお分かり頂けるのではないでしょうか。
今は便宜上「買って貰えるか、買って貰えないか」の話をしていますが、そもそも、話を聞いてもらえないことの方が圧倒的に多いのです。
怪しいキャッチセールスだと思われることもあるのです。
話しかけた途端
「邪魔なんだよ!!」
と怒鳴りつけられたことも、1度や2度ではありません。
渋谷のセンター街で声をかけていると、暴力団の人がやって来て
「だれの許可を得て、やってんの?」
と言われ、一気に青ざめたこともあります。
売れていないお笑い芸人は、そのような劣悪な困難をくぐり抜けながらお客さんを集めているのです。
ですから、せっかくチケットを買ってもらってライブに来てもらったのに、つまらないネタを披露するということは、簡単には許されないわけです。
物凄く滑った日は、それはもう、居たたまれない気持ちになります。
特に、自分達のチケットを買ってくれたお客さんに対しては、本当に申し訳無い気持ちになります。
一方で、若手芸人は(特に、売れていない芸人は)、お客さんを本当に大事にします。
ライブの後に出待ちするお客さんがいれば、長い時間、お喋りに付き合ってあげることもあります。
次のライブに足を運んで欲しいからです。
ライブを盛り上げて欲しいからです。
芸人は、このような事情を抱えながら舞台に立っているのです。
以上が、教員と芸人とで大きく異なる点です。
(相違点の話、続きがあります。内容を整理したら更新します)