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瀕死の訪問介護、時給3千円論も 協会が報酬改定で望むこと 伝えたいヘルパーの大きな魅力・・・という記事の紹介です。

さてさて、月末の大忙しな時期ですが、学級閉鎖が相次いでいる状況で派遣調整が大変です。
ただ、子育て世代の方が安心して育児をしながら仕事もできるようにする、という事は、こういう時に事業所としてしっかりとフォローするというのが大前提なので、気持ちよく休んでもらって、戻ってきたら元気に活躍してもらいたいと思います。

しかし、インフルエンザ凄いですね、毎日学級閉鎖の通知が登別市から届きます。

さて、そんな月末追い込みの時期ですが、こちらの記事の内容が気になったので紹介します。

昨年度の有効求人倍率は15.53倍。ホームヘルパーの4人に1人は65歳を超えた。これから一体どうなるのか − 。今の地域の状況を知る関係者にこう問うと、多くが曇った憂慮の表情を浮かべる。

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実は、今日の派遣先でサービス終了後にトドックが届いたのですが、前職で一緒に働いたベテランのサ責さんでした。

お互いにびっくりしましたが、まだまだ働き盛りのベテランがこうして介護業界ではなくて他業種に転職して、そこで活躍しているのを見ると複雑な心境にはなりますが、これが現実だな、と思いました。

ただ、その方もやはり介護職で、トドックを届けているお宅の多くで必要なサービスが受けれていないという事を教えてくれました。
ベテランのサ責の視点でサービスが必要と感じる方にサービスが届いていない状況があるという事ですので、地域にサービスが必要なのに埋もれてしまっている介護難民が既に生まれているという事でしょう。

トドックのサービスが、そういう意味では重要な役割を担っているという事にもなりますので、そういう横の連携というか、つながりは重要だな、と思いました。

結城:まずは改めて、訪問介護の人手不足の状況をどうみているか教えて下さい。

境野:極めて深刻な状況です。サービスの需要に供給が追いついていません。ケアマネジャーや地域包括支援センターなどに利用者さんの受け入れを頼まれても、ヘルパーがいなくて応じられないことが増えました。

特に利用者の希望する時間、混み合う時間に訪問するのが難しくなっています。朝、夕などの人手が足りず、食事を待って頂くことも多々あるのが実情です。

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需要に供給が追い付かなくなるのはだいぶ前から言われていた事で、既にその時からこうなる事はわかっていたのに報酬を減らしてきたツケが回ってきている状況です。

要は、国として何も具体的な対策を打ってこなかったという事ですし、事業所側で経営努力できるように後押しするわけでもなく収入を減らす対策を取り続けてきたわけですから、こうなりますよね。

想定外とは言わせません。

境野:地域によって状況が大きく異なることも考慮しなければいけませんが、やはり新たに入ってきてくれる人が大幅に減ったことではないでしょうか。昔はまだ応募があったのですが、今はもう本当に少なくなってしまいました。

佐々木:弊社では例えば、専門学校との連携や実習生の受け入れ、SNSの活用など様々な手を打っていますが、なかなか十分な人材を確保できません。先日、新たなサービス提供責任者を迎え入れることができたのですが、土日・祝日は弊社でお子さんを預かるという条件でようやく入ってもらえたんです。当然、そうした経費も事業所の持ち出しで賄っています。

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そう、ヘルパーの多くは女性で、しかも働き盛りの年代は子育て世代です。
出産と育児の両立が出来ない限りは、若いヘルパーを確保して育成するのは至難の業になっています。

しかし、これもちょっと考えれば想像出来る事で、全て事業所任せにして、少ない利益からこういう環境整備をしようとしても、報酬改定ごとに報酬を減らされてきたわけですからこうなりますよね。

結城:賃上げ、労働環境の改善を進められず、他産業に遅れを取ったことが大きかったですね。特に訪問介護は、これまで基本報酬を何度も下げられるなど冷遇されてきた経緯があります。トータルでプラスとなった前回(2021年度)の介護報酬改定も、上げ幅はわずか1〜2単位だけでした。

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本当にその通り。
2単位増えても20円です。
2021年のヘルパーの評価は、そんなもんだったという事でしょう。
そりゃ、こうなりますよね。
国から期待されていない業種なんですから、働く人が魅力を感じるでしょうか。

厚生労働省はこの間、医療・介護連携やリハビリ、機能訓練、科学的介護などを重視してきました。もちろんそれは大切なことですが、一方で利用者の生活を支える訪問介護を軽視しました。財政が厳しい中でそうせざるを得なかった、という側面もあるのかもしれません。

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予防に力を入れてきたという事ですが、実態は介護予防の取り組みが進んで要介護状態が改善したケースは少ないです。

生活の基盤が崩れているのに、介護予防を頑張りましょう、というのはちょっと無理があるのではないかと思いますね。

予防を進めるなら、要介護認定を受ける前の段階、それも30代とか40代とかそのくらいの年代から始めるべきです。

財政が厳しい中で色々検討をする必要があったにせよ、すごく雑な対応のように思います。

境野:とにかく基本報酬を上げて頂きたい。人手不足や物価高騰などでコストが大きく膨らんでいます。今のままでは事業運営が成り立たず、サービスを維持することすら難しくなってしまいます。

もちろん、処遇改善加算の拡充や一本化も必要でしょう。ただ、まずは基本報酬を上げないと状況は好転しないと思います。

佐々木:あわせて、ヘルパーの土日・祝日の手当も導入して頂きたい。在宅の介護ニーズは365日で、例えばお盆もお正月も変わりません。

我々の事業所では時給を大幅に高くして入ってもらっていますが、それも全て事業所の持ち出しです。新人や若者には「祝日も入って」と言いにくく、サービス提供責任者らに負担が集中している現実もあります。やはり土日・祝日の介護報酬を増やすべきではないでしょうか。

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実際、子育て世代が主力のヘルパーですし、家庭や家族を重視するなら土日の勤務は厳しくなるのは当然です。

深夜や早朝の時間帯については加算が付くので人件費に反映できますが、土日の営業は事業所の持ち出しになるので厳しいです。
それに、土日に出てもらったら別の平日にお休みをとってもらう必要もありますので、そういう部分でも運営のしにくさはあると思いますし、サ責が無理をして対応していたり、それが原因で過密労働になってバーンアウトしてしまうという最悪の結果に繋がってしまう可能性もあります。

このタイミングでヘルパー業界から退職者を出すのは本当に最悪の結果です。

結城:土日・祝日の評価は重要ですね。思い切って言うと、私は身体介護と生活援助の基本報酬を大幅に引き上げ、ヘルパーの時給を3000円にすべきだと考えます。

そんなの絶対無理、と笑う人に伺いたい。どうすれば飲食や小売など他産業との競争に勝って十分な人材を確保できるのか。今後も賃上げのトレンドが続く場合、それくらい出さないと訪問介護の現場に来て頂くのは難しいのではないでしょうか。

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このくらいのインパクトがないとヘルパー業界に人を呼び込めないとは思います。
ですので、介護報酬改定で出ている5%とか7%とかでは全く足りないとは思います。

ただ、苦しいのや処遇が低いのは介護業界に限った事ではないので、なかなか難しい問題ですよね。

しかし、即効性があるのはやはりお給料でしょう。

ヘルパーで5年勤めたら高級車に乗れる。
ヘルパーで10年勤めたら家を建てれる。
ヘルパーで10年勤めたら1000万円貯金できる。

こんなくらいに判りやすいインパクトは必要と思います。

誰かが支援に入らなければいけない実情もあります。本当に大変な仕事なんです。3000円だと看護師さんや薬剤師さんより高そうですが、それくらい言わないと他産業には勝てない気もします。

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国がそう思ってくれていたらこうはなってないので、今更その考えがひっくり返るとも思いませんが、今ひっくりかえさないと介護難民が増えるのは間違いないし、在宅介護の現場は崩壊するでしょう。

しかし、施設の介護現場だって人手不足です。
医師も看護師も足りません。
他産業に勝てないです。

難しい問題だからこそ、頭のいい偉い人には、もっと真剣に検討してもらいたいです。

少なくとも介護現場では、PDCAを回してより良いケアを提供しなさい、という事で、各種計画書や記録は必須で、運営指導ではその整合性もチェックされています。

そういう制度を作った人たちが、まさか自分たちが設計してきた制度に対して、PDCAを回せてないなんて思いたくないので、ちゃんと真面目に取り組んで欲しいですね。

境野:やりがいの大きさです。いつまでも自分の家で、住み慣れた地域で生活したいと願う多くの高齢者を支援できる、それを本当に実現できることが大きな魅力だと思います。

誰だって最期まで自宅で暮らしたいものでしょう。本人の持てる力を活かしながら希望を一緒に叶えていく仕事ですから、本当に意義が大きいと思っています。

あとは、介護のプロフェッショナルになれるところも重要ですね。それぞれの状態や環境などにあわせて、100人いたら100通りの支援を展開します。困難事例とどう向き合うかも含め、オールマイティに介護を担っていく点も魅力ではないでしょうか。

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これは本当にヘルパーの魅力です。
在宅でのケアは、一つといって同じ環境はありません。
施設のようにこちらの都合のいいように環境が整っているわけではないので、介護職としての地力が問われますし、人間的な応用力、人間的魅力も問われます。

それが大変な事もありますが、自分の人間性が認められてその場でサービスが評価されるというのは得難い体験ですし、そういう経験を通じて、介護職としてのスキルアップはもちろんですが、一人の人間として大きく成長できるのは、なかなか他の仕事では体験できないのではないかと思っています。

佐々木:在宅は施設と違い、利用者さんの住環境や経済状況、介護用品などがひとりひとり全く異なります。その人に合った最適な方法で支えていく創意工夫が必要で、そこにすごく面白みがあるんです。機転を利かせて主体的に判断すべきことが多く、自分の強み、キャラクターを活かせる余地も大きい。すごく個性が輝きやすく、みんなが主役になれる側面があって、そこは魅力として強く実感しています。

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まさにその通りなんです。
こういう事が楽しめる人や楽しみたいと思える人、チャレンジしてみたいと思える人は、ぜひヘルパーになって欲しいですね。

もしかしたら、本当に時給3000円とかになるかもですよ。

結城:魅力は沢山ありますね。国には是非、こうして地域の要介護者を支えている事業所に財源を重点配分して頂きたい。

現在、大手企業を中心に利用者選びのクリームスキミングが横行しています。大規模化は重要ですが、地域包括ケアシステムの理念にそぐわない影響が出がちな側面も考慮すべきです。集合住宅に併設されている事業所とそうでない事業所を、別々に評価することを検討すべき時期ではないでしょうか。

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これもその通りで、集合住宅併設のヘルパーと僕らのような地域のヘルパーでは業種が違うくらい効率が違います。

僕らは片道10分~30分くらいかかる移動時間があります。
今日は片道1時間かかるお宅が2件ありました(職員が学級閉鎖でお休みになった再調整の影響で普段はそんな派遣ルートは中々ないのですが・・・)。

サービス提供が30分とします。

集合住宅なら、その建物の範囲内なのでかかっても5分くらいで次の派遣に入れるわけです。
ですので、1件あたり35分として7時間(420分)の勤務時間で対応したとすると、だいたい1日で12件回れる計算です。

地域だと、移動時間の平均が15分とすると45分なので、同じ7時間(420分)で計算すると、9件くらい回れる計算です。
その中で例えば今日みたいに片道1時間のお宅が2件あれば、7件に減るわけです。

1日12件回れると、単価が3500円として42000円になります。
1日9件で単価が3500円なら31500円。(約10000円の差)
1日7件になると24500円ですので、17500円もの差が出ます。

これを一か月の22日くらいで計算すると、
1日12件の場合、月額で924000円。
1日9件の場合、 月額で693000円。
1日7件の場合、 月額で539000円。

これを人件費率70%で計算すると、
1日12件の場合、646800円が人件費に使えます。
1日9件の場合、 485100円が人件費に使えます。
1日7件の場合、 377300円が人件費に使えます。

単純に考えるとこういう事になります。
もう経営構造が全然違います。

そして、住宅併設型のヘルパーが、じゃあ上記の人件費くらい支払っているかというと、そうではないと思いますので、それだけ利益を出しやすい構造である事も想像ができます。

また、訪問介護事業所の利益率は3.0%だったと思いますので、上記内容だとそれぞれの利益はこんな感じ。

1日12件の場合、27720円。
1日9件の場合、 20790円。
1日7件の場合、 16170円。

ここから賞与とか設備投資とか捻出するわけですし、ヘルパーの人数が多ければ多いほど、掛け算で数字は大きくなるので、大規模事業所で人材を確保できる事業所が圧倒的に有利だという事も一目瞭然です。

ざっくりの計算ですから間違っていたり、実態と違っている部分もあるとは思いますが、だいたいこんな感じなんだ、と思ってもらえればいいかなぁと思って書きました。

ちなみに、弊社の場合は要支援の方が多いので単価がもっと低いので、もっと収益は少なくなりますし、1日平均で5~8件くらいかなぁという所なので、本当に小さな事業所は苦しいです。

お給料引き上げたくても出来ないんですよ。
そこは本当になんとかしてほしいですね。
小さな事業所でも職員の処遇を改善できて経営が安定するような対策を取っていただけると経営者としては安心ですし、いろんな戦略を練れるのですが、こうも細々やっていると先が本当に見えません。

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