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高齢者宅のゴミ屋敷化・・・という記事の紹介です。

在宅介護の現場で働いていると、必ずゴミ屋敷の問題と直面します。

僕自身の経験談を簡単にまとめると以下のようなゴミ屋敷と出会いました。

マンションの1室。高齢者独居。
ゴミは山積みという状態ではないが、生ごみの放置量が多く悪臭と大量のゴキブリ(大阪時代だったので、ホンモノのヤツ)や虫が発生。
1日かけてゴミを回収して処分して消毒や清掃を実施。
ゴキブリは完全に駆除までは出来なかった。

おおさわの想い出

一軒家。高齢者独居。
玄関の前まで段ボール等が積みあがっている。
所々にコバエが飛んでいて蚊柱のような状態。
人一人が通れるくらいのスペースしかなく、台所のゴミの山の中で生活されている。
訪問時玄関が施錠されていたので、少しスキマが開いていたトイレの窓によじ登って何とか侵入するが、トイレ内は便尿が散らかっていて大量のハエが飛びまわていて、おおさわもハエもパニック状態。
ゴミ処理は業者に任せる事なっていたので、とりあえずトイレの掃除と台所の掃除(主に生ごみの処理)を実施。

おおさわの想い出

市営住宅の1室。高齢者独居。
ゴミはほどほど、床は掃除した形跡なくホコリなのか何かわからないモノが散乱している。
大量のチャバネゴキブリが発生していて、炊飯器の中、テレビの液晶部分の中など、ありとあらゆる場所に侵入している。人間を見ても逃げない、天井から落ちてくるというありさま。
とりあえず掃除機かけのみ。本人が片付けなど拒否するので完全な清掃までは出来なかった。

おおさわの想い出

一軒家。高齢者独居。
ゴミはほとんどないが、家の中の床全体が謎の液体で湿っている。
トイレは謎の液体(たぶん糞尿が混ざったもの)が水たまりのようになっている。
トイレ掃除と床全体の拭き掃除を実施。
本人喜んでくれたが、結構精神的なダメージを負った。

おおさわの想い出

アパートの1室。高齢者独居。
年単位で掃除してない様子。
室内全体に埃が積もっている。トイレやお風呂はカビだらけで、床までカビが生えていてぬめっている。
カビでぬるぬるした風呂の中に裸足で入った時の感触は今でもおぼえている。塩素系洗剤で徹底的に洗浄して時々呼吸困難になって死にそうになったが、どろどろの黒茶色の世界が白く洗浄されていく様は感動を覚えた。

おおさわの想い出

一軒家。高齢者独居。
ゴミ屋敷らしいゴミ屋敷。
あらゆるゴミがネズミに食い荒らされている。
プラスチック製の衣類ケースに穴をあけて、その中を巣にしていたようで、住んでいる住民からはネズミのマンション(3階建て)と呼ばれていた。
出口と入口のような2か所の穴が、各階層に設置されていた。
とにかくネズミの糞だらけ。ネズミが食い荒らすからか生ごみはほとんどないし、ゴミもネズミが細かく千切ってくれているので掃除しやすかった。
出てくる衣類のほぼ全てに穴が開いている。
部屋が片付いて綺麗になってくると、本人もあれこれ意欲がわいてきたようで模様替えなど楽しそうに行われていた。

おおさわの想い出

一軒家。高齢者独居。
家の中はゴミが山積みになっていてホコリも多い。
人一人が通れる通路ができている。
生ごみはきちんと処理できているようで悪臭などはない。
あまりにゴミが多くなりすぎて本人はどう手を付けたらいいかわからなくなってしまっている様子なので、少しずつ一緒に片付けている状態。

おおさわの想い出

あとは浴室がカビだらけとか、そういうケースも多かったですね。

あ、先日なんですけど、認知症で独居の方なんですが、冷蔵庫の中で物を腐らせてしまったりと、台所周りの生ごみ問題があった方で、台所周りは一緒に綺麗に片付けて維持できていた方がおられたんですけど、どうしても冷蔵庫の中を見せてくれない方だったんですが、僕が訪問した際にちょっと体調悪そうにしていたので、ゆっくり休んでもらうようにして、お水を用意すると大変喜ばれたので、何か食べる物取ってきますね、と言って冷蔵庫開けさせてもらると水しか入ってなかったんですよね。
それで、野菜室を開けてみると・・・この世のモノとは思えない光景が野菜室の中に広がってまして、もう茶色と緑色と紫色が混ざった液体と原型をとどめていない物体で満たされているわけです。
本人も、そこはダメ・・・みたいな反応だったんですけど、ちょっと体調悪くなってたのもあって開けさせてくれたんですけど、そんなんになっちゃって見せれないのよ、としょんぼりおっしゃられていました。

とりあえず冷蔵庫の清掃もケアプランに位置付けられているし、この冷蔵庫問題を解消するのも目標の一つだったので、その日は冷蔵庫の掃除を行いました。冷蔵庫から野菜室だけ取り出すと、これまたびっくりしたんですけど、コバエの死骸が庫内の底の部分一面に層になってびっしり。
それも除去して綺麗にすると、本人も大変喜ばれていました。

どうしてこうなっちゃったんだろう・・・と何度も不思議そうにされていたので、やはり手が付けられなくなってからはどうしようもなくなったんだろうな、と思いました。
屋内は綺麗に整理整頓できているので、本人にとって許容範囲を超えてしまうと手が付けられなくなる、というのがゴミ屋敷になってしまう原因なんだろうな・・・・なんて思ってました。

さて、そんなゴミ屋敷についての記事の紹介です。

https://www.minnanokaigo.com/news/kaigo-text/home-care/no486/


ごみ屋敷とは?定義と高齢者世帯での発生率

ごみ屋敷の明確な定義は自治体によって異なりますが、一般的には「ごみや物品が住居内外に大量に堆積し、悪臭や害虫の発生、火災の危険性など、生活環境に著しい影響を及ぼしている状態」とされています。

一人暮らし高齢者世帯で発生しやすい

環境省が2023年3月に発表した「『ごみ屋敷』に関する調査報告書」によると、全国1,741市区町村中661(約38.0%)がごみ屋敷事案を認知しており、その中でも高齢者世帯の割合が高いことが明らかになっています。

また、総務省の調査によると、59.1%が単身世帯であり、そのうち65歳以上の高齢者世帯が54.2%という結果に。高齢単身世帯での発生率が高いことが明らかになりました。

みんなの介護

やはり一人暮らしの高齢者で多いみたいですね。
男性の場合、病気等による障害を受けた方や奥様をなくされた方で自暴自棄というか気力をなくして何もやる気がない状態になってしまっている方も多いように感じます。

ごみ屋敷が高齢者本人と周囲に及ぼす影響

高齢者のごみ屋敷問題は、当事者本人と周囲の環境に深刻な影響を及ぼす社会的課題です。

まず、高齢者本人への影響として、不衛生な環境による健康被害が挙げられます。カビや細菌の繁殖、有害物質の蓄積により、呼吸器系疾患や皮膚トラブルなどのリスクが高まります。

また、ごみの山による転倒リスクの増加も深刻な問題です。高齢者は骨折のリスクが高く、転倒が寝たきりの原因となる可能性があります。

さらに、可燃物の蓄積による火災の危険性も無視できません。電気系統のトラブルや不適切な暖房器具の使用など、火災発生のリスクが高まり、高齢者の生命が危険にさらされる可能性があります。加えて、ごみの堆積は緊急時の避難経路を塞ぎ、救助活動を困難にする恐れもあります。

みんなの介護

不衛生なのは本当に厄介ですからね。
それに、だんだん綺麗になると明るくなる方も多かったです。

住環境が本人に与える影響は大きいと思いますし、そういう環境整備から本人のQOLを高めていくアプローチは、介護の仕事では凄く大切な事だと思っています。

身体機能の低下と日常生活の困難さ

加齢に伴う身体機能の低下は、ごみ屋敷化の大きな要因の一つです。

特に、筋力や柔軟性の低下、バランス感覚の衰えは、日常的な掃除や整理整頓を困難にします。例えば、重いごみ袋を持ち上げることができない、高い棚の物を取り出せない、床に落ちた物を拾うのに苦労するなど、これまで当たり前にできていたことができなくなることで、徐々にごみや不用品が溜まっていきます。

また、視力や聴力の低下も影響します。物の見分けが難しくなることで、必要なものと不要なものの区別がつきにくくなり、結果として物を捨てられなくなることがあります。

厚生労働省の「令和元年度 国民生活基礎調査」によると、65歳以上の高齢者のうち、日常生活に影響のある者の割合は、男性で26.6%、女性で31.7%となっています。このデータからも、多くの高齢者が日常生活に何らかの困難を抱えていることがわかります。

みんなの介護

掃除機持てなくなって以前のように掃除できなくなった、という理由でお掃除の援助に入らせてもらっている方が多いので、そういう出来なくなった事でゴミがたまっていく、部屋が汚れて綺麗にできない事での小さな諦めが、だんだんと感覚を麻痺させてしまって気が付いたらゴミ屋敷になっていた・・・なんて事はありそうですね。

そうそう、米つぶや輪ゴムとか、けっこう落ちてるんですよね。
コバエが飛んでいても気にならない方もいるので、単純に見えてない、というのはあるかもしれません。

認知機能の低下

認知機能の低下も、ごみ屋敷化の重要な要因です。軽度認知障害(MCI)や初期の認知症では、物事の優先順位をつけることや、計画を立てて実行することが難しくなります。これにより、「何から片付けたらいいかわからない」「ごみ出しの日を忘れてしまう」といった状況が生じ、結果としてごみや不用品が溜まっていきます。

また、認知機能の低下により、物の価値判断が難しくなることもあります。「もしかしたら将来使えるかもしれない」という思いが強くなり、不要なものでも捨てられなくなってしまうのです。

認知症疾患医療センターの調査によると、65歳以上の高齢者のうち、認知症の人は推計で約600万人、軽度認知障害(MCI)の人は約400万人とされています。この数字からも、認知機能の低下がごみ屋敷問題に与える影響の大きさがうかがえます。

みんなの介護

一緒に片付けをしていても、これは取っておく、といって明らかに使いそうになさそうなものを大事に取っておかれる方も多いです。
モノに歴史あり、本人には大切な思い出の品かもしれないので、そういうストーリーを妄想したりするのは結構好きかも。

認知機能は病気でなくても加齢にともなって低下していきます。

分析結果グラフ。縦軸が得点、横軸が年齢。 出典:「認知症ねっと」

50代からのこの低下していく様は覚えて置いて欲しいですね。
認知症になると、この低下速度がもっと早くなるというか、一気にガクンと階段を降りるように低下します。

で、問題は僕も含めてほとんどの人が、自分は大丈夫、と根拠なく思っている事なんですよね。基本的に自分が衰えている事は認めたくないわけです。

その辺りの感情と実際の能力の自己覚知の差が、ゴミ屋敷を生んでいるのかもしれません。

孤立感と「もったいない」意識

高齢者の一人暮らしにおいて、社会的孤立は深刻な問題です。家族や友人との交流が減少することで、「誰も来ないから片付けなくても大丈夫」という意識が生まれやすくなります。また、孤独感から物への執着が強くなり、思い出の品々を手放せなくなることもあります。

さらに、特に戦後の物不足を経験した世代には、「もったいない」という意識が強く根付いています。この意識が行き過ぎると、明らかに不要なものでも「いつか使えるかもしれない」と考えて溜め込んでしまいます。

これらの原因が複合的に作用することで、高齢者の一人暮らし世帯がごみ屋敷化するリスクが高まっているのです。次の章では、このようなごみ屋敷問題をどのように予防し、改善していくべきかについて、具体的な対策を見ていきましょう。

みんなの介護

ヘルパーが定期的に来るので片付けをしよう、というのは良い事だと思っています。やはり誰かが家に来る、という刺激や負担は、いい方向の刺激や負担になるはずなので、ヘルパーとして伺っているとしても、そのお宅へ伺うお客さんとして、また来て欲しい、と思ってもらえるような人物であるべきだと個人的には思っています。それが本人への良い刺激につながると思うからです。

高齢者本人の意識改革と生活習慣の見直し

高齢者自身が自分の生活環境に関心を持ち、整理整頓の習慣を身につけることが、ごみ屋敷化の予防につながります。以下のような点に注意を払うことが大切です。

まず、定期的な整理整頓の時間を設けることです。例えば、毎日寝る前に15分間、リビングの片付けをするなど、小さな習慣から始めるのが効果的です。また、新しいものを買う前に、不要なものを処分する「ワンイン・ワンアウト」のルールを意識的に実践することも有効です。

次に、思い出の品の整理方法を工夫することも大切です。すべてを捨てる必要はありません。写真に撮って保存したり、思い出の一部だけを残したりするなど、物理的な量を減らしながら思い出を大切にする方法を見つけることが重要です。

さらに、ごみ出しのルールを再確認し、カレンダーにマークを付けるなどして、収集日を忘れないようにする工夫も効果的です。自分で対応が難しい場合は、家族や地域のサポートを積極的に受け入れる姿勢を持つことも大切です。

みんなの介護

これね、女性だとうまく行きそうですけど、男性は難しいんじゃないかなぁ。特に団塊の世代の男性は、そもそもそういう事は女の仕事・・・なんて思って生きてきた方が圧倒的に多いと思うので、70年近く染みついた考え方を変える方が難しいと思います。

まぁ、適応できる男性もおられるので、こういう提案していくのは良い方法と思いますが、あまり期待しない方がいいかもしれません。

高齢者の一人暮らしを支える家族の役割も非常に重要です。ただし、一方的な指示や強制ではなく、高齢者の気持ちに寄り添いながら支援することが大切です。

まず、定期的な訪問と声かけが基本となります。週に1回など、決まったペースで訪問し、生活状況を確認することが重要です。その際、高齢者の話をよく聞き、困っていることはないか、必要なサポートはないかを丁寧に聞き取ります。

また、一緒に整理整頓や掃除をする時間を設けることも効果的です。ただし、高齢者の意思を尊重し、無理に物を捨てさせようとするのではなく、「どうしたいか」をよく聞きながら進めることが大切です。

さらに、高齢者が興味を持っている活動や趣味を見つけ、それを通じて外出の機会を増やすことも有効です。地域の高齢者サークルや趣味の教室など、社会とのつながりを維持できる場所に一緒に出かけるなどの支援も考えられます。

みんなの介護

無理ない範囲でたまに訪問してこういう取り組みができればいいのですが、一番よさそうなのは友達関係を維持してもらって、伺ったり招いたりする関係や機会を作れていれば、自然と良い感じになりそうです。
こういうの、早い段階で習慣化しておかないとどんどん難しくなるので、日常的に外出する生活やお客さんに来てもらう生活の習慣化は大事だと思いました。

状況に応じて、専門家のサポートを積極的に活用することも重要です。

例えば、整理収納アドバイザーに相談して効率的な収納方法を学んだり、ケアマネージャーと相談して適切な介護サービスを利用したりすることで、ごみ屋敷化のリスクを軽減できます。

みんなの介護

整理整頓アドバイザーなんてあるんだ、と勉強になりました。



介護サービスでいうと、こういう生活援助的なサービスは評価が低く、近いうちに介護保険のサービスから外される可能性があります。

個人的には、こういう生活援助と言われている部分の事を、本人と一緒に取り組んで、本人が意欲的になれるようなアプローチが正しい方向じゃないの?とは思うのですが・・・。
実際、本人とともに行う行為については、身体介護に分類されるのですが、これが中々浸透していない現状もあります。

改正後の「見守り的援助」に関する記載は以下の通り。

ベッド上からポータブルトイレ等(いす)へ利用者が移乗する際に、転倒等の防止のため付き添い、必要に応じ て介助を行う。

認知症等の高齢者がリハビリパンツやパットの交換をする際に見守り・声かけを行うことにより、1人で出来るだけ交換し後始末が出来るように支援する。

認知症等の高齢者に対して、ヘルパーが声かけと誘導で食事・水分摂取を支援する。

入浴、更衣等の見守り(必要に応じて行う介助、転倒予防のための声かけ、気分の確認などを含む)。

移動時、転倒しないように側について歩く(介護は必要時だけで、事故がないように常に見守る)。

ベッドの出入り時など自立を促すための声かけ(声かけや見守り中心で必要な時だけ介助)。

本人が自ら適切な服薬ができるよう、服薬時において、直接介助は行わずに、側で見守り、服薬を促す。

利用者と一緒に手助けや声かけ、見守りをしながら行う掃除、整理整頓(安全確認の声かけ、疲労の確認を含む)。

ゴミの分別が分からない利用者と一緒に分別をしてゴミ出しのルールを理解してもらう、または思い出してもらうよう援助する。

認知症の高齢者と一緒に冷蔵庫のなかの整理等を行うことにより、生活歴の喚起を促す。

洗濯物を一緒に干したりたたんだりすることにより自立支援を促すとともに、転倒予防等のための見守り・声 かけを行う。

利用者と一緒に手助けや声かけ、見守りをしながら行うベッドでのシーツ交換、布団カバーの交換等。

利用者と一緒に手助けや声かけ、見守りをしながら行う衣類の整理・被服の補修。

利用者と一緒に手助けや声かけ、見守りをしながら行う調理、配膳、後片付け(安全確認の声かけ、疲労の確 認を含む)。

車イス等での移動介助を行って店に行き、本人が自ら品物を選べるよう援助する。

上記のほか、安全を確保しつつ常時介助できる状態で行うもの等であって、利用者と訪問介護員等がともに日常生活に関する動作を行うことが、ADL・IADL・QOL向上の観点から、利用者の自立支援・重度化防止に資するものとしてケアプランに位置付けられたもの

赤字(1 2 3 7 8 9 12 13)が平成30年度改正で追加されたもの

立てよケアマネ 〜記入例・文例フリー〜 より

上記は、要介護の方へのサービス提供にて改正があった内容です。

弊社の訪問は、ほとんどが総合事業の方なので、上記のような身体介護に該当するような支援も普通にさせて頂いています。
掃除や片付けを、本人が出来る所は本人が行い、出来ない部分をヘルパーが行う事で、良い循環が生まれているような実感もあります。

少しでも介護予防の取り組みになっていればいいな、と思いながら単に掃除をしに行くのではなく、そういう仕事を通して本人へアプローチをしていく、そういう取り組みを今後も続けていきたいな、と改めて思いました。

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