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居宅介護支援の集中減算に適用漏れ 会計検査院が指摘 厚労省、確認の徹底を要請・・・という記事の紹介です。

居宅介護支援の特定事業所集中減算が適切に適用されておらず、給付費を過大に算定している事業所がある − 。

こうした問題を会計検査院が提起した。厚生労働省はこれを受けて、減算適用の誤りを防ぐ対策の徹底を改めて求める通知を全国の自治体に
発出した。【Joint編集部】

JOINT

具体的な内容については、厚労省通知を見てみないと分からないので、そちらを引用します。

第三 居宅介護支援費に関する事項
13 特定事業所集中減算について
(2) 判定方法 各事業所ごとに、当該事業所において判定期間に作成された居宅サービス計画のうち、 訪問介護、通所介護、福祉用具貸与又は地域密着型通所介護(以下「訪問介護サービス 等」という。)が位置付けられた居宅サービス計画の数をそれぞれ算出し、訪問介護サービ ス等それぞれについて、最もその紹介件数の多い法人(以下「紹介率最高法人」という。)を 位置付けた居宅サービス計画の数の占める割合を計算し、訪問介護サービス等のいずれ かについて80%を超えた場合に減算する。

(具体的な計算式)
事業所ごとに、それぞれのサービスにつき、次の計算式により計算し、いずれかのサ ービスの値が80%を超えた場合に減算

当該サービスに係る紹介率最高法人の居宅サービス計画数÷当該サービスを位置付 けた計画数

厚労省通知 Vol.1304

まず、上記が集中減算の算定ルールです。
具体的な計算式まで提示されているので普通なら間違いようがないのですが、実際に誤って計算して本来集中減算を受けるべき事業所が受けていない、という状況が発生したようです。

同一法人の事業所へケアマネの紹介率が80%を超えないように、いわゆる囲い込みを制限するための制度なので、その趣旨を理解していれば計算方法についても間違える事はないと思うのですが・・・。

【特定事業所集中減算の適用に係る割合の計算を誤っていた主な原因】
① 訪問介護サービス等を位置付けた計画数(分母)を過大に集計していたことによるもの
居宅介護支援事業所が訪問介護サービスを位置付けた居宅サービス計画を作成した場合 に、訪問介護サービスを位置付けた居宅サービス計画ごとに各月1人1件として数えるべきと ころ、1件の居宅サービス計画で訪問介護サービスを提供する事業所(以下「訪問介護事業 所」という。)が複数である場合に訪問介護事業所ごとに計画数を重複して数えたことにより実 際の計画数を上回る集計となるなど、居宅介護支援事業所が計画数の集計方法を誤認してい たため、判定期間に占める割合が80%を超えていないとして特定事業所集中減算届出書を市 区町村に提出していなかった。

② 訪問介護サービス等に係る紹介率最高法人の居宅サービス計画数(分子)を過小に集計し たりしていたことによるもの
居宅介護支援事業所が訪問介護サービスを位置付けた居宅サービス計画のうち、最もその 紹介件数の多い法人(以下「紹介率最高法人」という。)を位置付けた計画数を数えるべきとこ ろ、紹介率最高法人の運営する訪問介護事業所が複数ある場合に一部の訪問介護事業所に 係る計画数しか集計していなかったり、他の市区町村に所在する同じ法人が運営する事業所 に係る計画数を集計していなかったり、居宅介護支援事業所と同じ法人が運営する訪問介護 事業所があるのにこれを除いて計画数を集計していたりするなどしていたため、判定期間に占 める割合が80%を超えていないとして特定事業所集中減算届出書を市区町村に提出してい なかった。

厚労省通知 Vol.1304

ちなみに、集中減算については定期的に行政にチェックシートを作成して提出していたはずなので、そもそも間違えようがない気がするんですよね、意図的にしないと難しい気が・・・。

僕自身、複数事業所の拠点管理をしていた時にこの集中減算のチェック作業はしていましたし、そもそもケアプランの給付管理ソフトが集中減算用の集計データを自動で吐き出すのでその数字をそのままチェックシートに転記するだけでしたけど。

以下は、大阪市の集中減算のチェックシートの記載例です。

大阪市より

こういう分かりやすいチェックシートがあるので、たとえば訪問介護のサービスを位置付けたケアプラン数のカウント方法について、1つのケアプランので複数の訪問介護事業所が入っているからといって、それを2カウントするなんて事は普通はないと思うんですよね。

もう一つの理由も同じで、意図的に事業所をカウントしない限りは出来ないと思いますし、もう何年も前から始まっている制度なので今更そんな間違いあるかなぁ・・・と思ってしまいました。

会計検査院によると、少なくとも全国19市区などの26事業所で特定事業所集中減算の適用漏れが発覚した。

主な要因は、同一事業者の割合を計算する方法が必ずしも正しくなかった結果、現場が要件を満たすに至っていないと誤認していたこと。事業所が減算のルールを十分に理解していなかったり、市区町村の確認が行き届いていなかったりする背景があると指摘されている。

厚労省はこれらを踏まえ「主な原因は、居宅介護支援事業所が紹介率最高法人の割合の計算を誤っていたこと」と説明。全国の市区町村などに対し、現場の関係者への注意喚起や周知の徹底を促した。

あわせて、国保連が提供している「請求状況一覧表」も参照しながら、事業所の計算方法などのチェックに努めることも要請。「減算適用の誤りをなくし、介護給付費の適正化に努めること」と重ねて呼びかけた。

JOINT

そもそもですけど、この制度自体が大きな矛盾なんですよね。
介護保険制度は民間企業に経営競争をさせてコストパフォーマンスを高めて安価で高品質な介護サービスを提供できるように狙った制度ですが、そのマネジメントの中心に位置しているケアマネを民間事業者に運営させ、公正中立なマネジメントを求めていて、そこでは経営競争を否定しているんですよね。

良い見方をすれば、安価で品質の高いケアを提供できる事業所が評価をされて紹介率はアップしていくのが経営競争の中で自然発生的に生まれるわけですけど、民間でケアマネまで運営できてしまう制度ですから、そりゃ経営者は考えますよね、だったらケアマネも自分の会社で運営するのが一番やん・・・って。それって民間に丸投げしている以上、当然の流れなんですけど、なぜかそこはダメみたいで、こういう集中減算という制度が出来てきたわけです。

だったら、制度設計の段階でケアマネジメントは国営の事業で本当に公正中立の立場で仕事ができるようにすべきでした。

そういう根本的な問題を放置してきた結果、ケアマネのシャドーワークなど様々な問題が顕在化してきているので、どうせ見直すなら根本的に見直した方がいいと思いました。

結局、一般の市場と違って、利用者さんとの契約はケアマネを仲介しないと取れない制度なので、事業者としてどれだけ品質を上げたとしても、それが経営結果に直結しないのも事実で、出来たとしてもケアマネ事業所あたり8割までのシェアしか取れないわけです。
こういう動きも現場レベルでの質の向上や生産性向上の足を引っ張る形になってそうな気もします。

居宅介護支援の特定事業所集中減算は、前6ヵ月間に作成したケアプランに位置付けられた訪問介護などのサービスの提供数のうち、正当な理由なく同一事業者の割合が80%を超えると適用される。▲200単位/月。

JOINT

地域に1事業所しか訪問介護事業所がない場合などは、正当な理由として認められるので、きちんとした理由等を提示できればいいので、本当に不当な囲い込みや過剰なサービス提供を制限するための制度であるは思うのですが、そもそも民間企業の本質がわかっていればもっと本質的な部分で制限かけないとイタチゴッコになるのは分かってそうな気がしますけど。

会計検査院は今回、他の市区町村に所在する同一事業者の事業所を除外して計算していたり、分母のケアプランを重複して組み込んで計算していたりしたケースがあったと報告した。

JOINT

この部分の厚労省通知で示されている具体的な理由の記載と比較してみましょう。どんな文章も徹頭徹尾こんな感じなので、制度理解や要件の理解は本当に難解です。

居宅介護支援事業所が訪問介護サービスを位置付けた居宅サービス計画を作成した場合 に、訪問介護サービスを位置付けた居宅サービス計画ごとに各月1人1件として数えるべきと ころ、1件の居宅サービス計画で訪問介護サービスを提供する事業所(以下「訪問介護事業 所」という。)が複数である場合に訪問介護事業所ごとに計画数を重複して数えたことにより実 際の計画数を上回る集計となるなど、居宅介護支援事業所が計画数の集計方法を誤認してい たため、・・・』

居宅介護支援事業所が訪問介護サービスを位置付けた居宅サービス計画のうち、最もその 紹介件数の多い法人(以下「紹介率最高法人」という。)を位置付けた計画数を数えるべきとこ ろ、紹介率最高法人の運営する訪問介護事業所が複数ある場合に一部の訪問介護事業所に 係る計画数しか集計していなかったり、他の市区町村に所在する同じ法人が運営する事業所 に係る計画数を集計していなかったり、居宅介護支援事業所と同じ法人が運営する訪問介護 事業所があるのにこれを除いて計画数を集計していたりするなどしていたため、・・・』

・・・おそらく読み違いや正確に意味を伝える為の記載方法かとは思うのですが、まずもって読む気が失せるんですよね、この雰囲気。
もうちょっとスルッと理解できるような工夫をしてもらえると助かるのですが、それでも最近は色々解説サイトも多いので、いろんな解説も参考にしながら制度理解を深めるのがよいと思います。

知っている人は知ってると思いますが、赤本とか青本とか辞書みたいな本を引っ張りながら、この加算はどうだ、この運営基準はどうだ・・・と調べていました。

実際、事業所にワンセットあれば便利でしたね。
ああいうのもデジタル化していかないのかなぁ・・・。

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