広がる賃上げ、介護業界は置き去り… 事業者団体「人材が流出している」 対策を要望・・・という記事の紹介です。
室蘭市にある”ブーランジェリー コバ”というパン屋さんのパンが美味しすぎたので紹介した記事でしたが、ランニング記録のタグをつけていたので(ランニングの記録も記載)頂けたみたいです。
室蘭にお越しの際はぜひお立ち寄り頂けると幸いです。
さて、今日の本題ですが介護職員の処遇改善に関するニュースが出ていたのでそちらを紹介します。
正直な感想を言いますが、遅くない??って思いました。
他産業で賃上げの動向についてはこれまでも報道されてきましたし、もともと介護職全体の処遇が他産業よりも低く、他産業よりも人材獲得が困難な状況で人手不足に対してもすでに手遅れ感のあるこの状況で、他産業のそれがたとえ大手一流企業だったとしても、今後を担う労働人口をできるだけ介護業界に引っ張るには他産業よりも早く、こういう要望を出しておかないとダメだったんじゃないかと思いました。
水面下でこういうやり取りはしてきたのかなぁ、なんて思っていたのですが、11団体が足をそろえて要望を出したようなので、いろいろと調整があったのでしょう。
しかし、介護職員の処遇が低い中で物価も高騰する中で、こういう要望書ってもっと早く出せなかったのかと思ってしまうので私だけでしょうか。
実際、介護報酬が収益のほとんどを占める介護事業ですが、自分たちでサービスの価格を決める事もできないので自民党や公明党といった与党や国や厚労省に訴えていなかいと絶対に改善できませんよね。
5月のこの時期に要望を出すのは、それなりにこの時期じゃないとダメだった理由とかあるんでしょうか。
春闘が終わって統計が出てから・・・というタイミングだったようですね。
ただ、調べるまでもなくわかり切っていた結果じゃなかろうか・・・と思ってしまいます。まぁ、根拠がない要求なんて通る道理もないので根拠を示す事は非常に重要ですけど、これって今回だけじゃなくてこれまでの同じような結果だったんじゃないかと思うんですよね。
介護の仕事は大変で賃金も安い。
長く働いて役職についても責任だけ増えて見合うお給料がもらえない。
他産業でも人手不足で転職のハードルは下がっている。
今後の高齢社会の中で介護職を経験した人材は注目されている可能性。
他産業は賃上げに積極的なイメージ。
他産業は頑張って結果を出せば評価されて賃金も上がる。
介護職は頑張っても結果が出たかどうかわかりにくいし賃金は上がらない。
ざっと考えただけでもこんな状況だと思いますし、もうしばらく前からこんな状況のはずです。
たとえば優秀なリーダー層で、ちゃんと自分の能力と成果を評価してほしい人は、そういう他産業に転職しているでしょうし、他産業でもそういう介護方面の視野やニーズを掴んでいて実践経験のあるリーダー層は確保しておきたいはずですのでマッチングしやすいと思うんですよね。
だから特定処遇改善加算は、そういう有能なリーダー層を介護業界に留めておくためにしっかりと評価した上で差別化して配分すべきだったと思っています。
ただ、これも介護業界団体の反対や意見が多くでてうやむやになってしまった経過もあるので、そういう意味では自業自得だと思っています。
そんな状況だったはずなので、いまさら他産業に人材が流出した!と騒いでも遅い気がしますが、しかしそれを言わなければ伝わらないのでそういうのをちゃんと政権与党に訴えた事は評価できると思います。
実際に厳しい状況です。
職員の処遇をアップすれば運営するための費用を削らなくてはなりません。
例えば、介護事業所で支払っている社保の会社負担分を免除して、その浮いた負担分を賃金に上乗せするとかいう事が可能であれば、割といい感じでの処遇改善になりそうな気もします。
介護職は今後も必要な職種ですから、社保を国で負担するという考え方があってもおかしくはないとは思うんですけど、こういうのも簡単にはいかないんでしょうね。
ただでさえ人材不足ですから、これからどんどん他産業に人材が流出したとして、介護保険制度をどうするつもりなのでしょうね。
もしかしたら他産業の会社がどんどん介護事業に参入してくる可能性もあるかもしれませんね。
だとすると、もしかして国は介護保険の事業一本で経営していて介護報酬だのみの経営をしてきた法人や事業所を淘汰するつもりでいるのかもしれません。
他産業と同水準の賃上げを介護業界でも行えるようにするには、他産業のような大規模な収益を得る必要があります。
一方で国は社会保障費用を削減しようという流れでずっとやってきました。
だとすると、介護保険サービス以外で儲ける事を考えないと生き残れないという事になります。
いずれにしても、介護業界であっても”売れるサービスかどうか”という事について貪欲に研究し実践しなければ生き残れない状況になっていますので、これまでにない工夫や取り組みは本当に重要だと思います。
今注目を集めているデイサービスです。
サービスとニーズのマッチングは重要ですし、これからは多様性の時代ですから様々なニーズに特化して対応できる取り組みが評価されそうです。
あれもこれも対応できるけどサービスの質はイマイチ・・・という事では選ばれないのだろうと思います。
リハビリならリハビリに思いきり尖る。
入浴なら入浴に思いきり尖る。
そういう思い切ったかじ取りが必要そうです。
そう考えると、僕が運営しているヘルパーのサービスは多様です。
個人のニーズにいかにして対応できるか、対応しきれるか。
介護保険で出来る事と出来ない事の線引きと利用者さんに理解してもらうための取り組み(これが難しい)。
出来ない部分については保険外サービスで介護保険のサービスよりも自己負担額は高くなるけど対価を払ってもらって対応する。
介護保険サービスのヘルパーの支援は本当に出来る幅が狭くて工夫の使用がないというか、制度にがんじがらめで使い勝手が悪いですね。
ですので、僕が思った以上に保険外のニーズが多く対応しています。
ここまではいいんです、支払える人に支払ってもらえればそれでいいと思っています。
ただ、支払えない人で必要なサービスがあった時にどう判断するか。
介護保険ではできません、でも保険外サービスの費用も支払えません。
そういう方って結構いらっしゃいます。
まだそういう事例を受けていませんが、おそらく近い将来ぶち当たる壁だと思っていて、そういう所得が低い利用者さんの生活について、どこまでどう支援できるのかを延々と悩むのが自分たちの役割なんだろうな・・・なんて思いながら記事を書きました。