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老人ホーム職員の一斉退職 厚労省「誠に遺憾。再発防止を」 通知で指導徹底を要請・・・という記事の紹介です。

すんません、今日は簡潔にいきます。

東京都足立区など全国4ヵ所の有料老人ホームで介護職員が一斉に辞め、サービスを受けられなくなった入居者が急な転居を余儀なくされる事態が起きたことを受けた措置。介護保険最新情報のVol.1321で関係者へ周知した。

厚労省は通知で、体の衰えた高齢者らの心身の健康や日々の生活を守っていく観点から、「有料老人ホームは安定的かつ継続的な運営が当然に確保されるべき」と改めて強調。全国の自治体に対し、「入居率や資金計画、収支、職員配置など、事業の継続性に関することを聞き取り、当初の事業計画との乖離がある場合は、専門家への相談を促すなど注意を喚起し、改善を働きかけること」と求めた。

あわせて、今回問題になった有料老人ホームが開設から1年ほどの施設だったことにも言及した。

「開設後1年以内の、一定の入居が進んだと考えられる時期にも立入調査を行い、事業計画に沿って運営されているかを確認するなど、立入調査の実施時期の見直しを」と要請。「このような事案が発生したことは誠に遺憾。更なる指導の徹底を」と呼びかけた。

JOINT

こういうケース、これが初めてではないと思いますよ、有料老人ホームの倒産件数は年々増加傾向だったので、似たような事は全国で発生していたはずです。ですので、個人的には対応が遅いし、そんなん後から言うくらいなら最初から国でちゃんと管理しとけよ、と思います。

次の記事は、2019年10月の記事です。

利用料が比較的安いことなどからニーズが急増している「住宅型有料老人ホーム」。しかし、昨年度、倒産などの理由で廃止届を出した件数が、全国で少なくとも355に上ることが分かった。 突然閉鎖が決まり、入居者が退去させられた福岡市のホームを取材すると、経営スキルに乏しい業者が次々と新規参入している実態や、介護報酬の仕組みが経営を圧迫している構図が見えてきた。

NHK

もう5年も前から同じような事が起こってるんですよ。
これからどんどん増えますよ、こういう事件。
ここまで放置してきたんだから。

この春倒産した、福岡市の住宅型有料老人ホーム「リリーゆたか」。設立されたのは3年前です。1か月の料金は、およそ12万円。入居者にとって負担が少なく、スタッフの雰囲気もよいと、人気だったといいます。

リリーゆたかが借りていた建物のオーナーです。閉鎖する直前まで、30ある部屋は満室だったといいます。しかし…。家賃をおよそ9か月分、滞納していたといいます。

建物のオーナー
「入居者も皆さん入ってくれていましたし、売り上げ自体も、マイナスどころかすごく伸びていたので、なんで家賃が払えないのか。再三社長にも伝えてはいたけれど、全く答えがないまま、ずっと。」

NHK

満床で利益が出ないとか意味がわからないので、ここでの利益を他の事業の穴埋めとかに使ってんじゃないのかなぁ。

関係者によりますと、福岡市博多区にある住宅型有料老人ホーム「リリーゆたか」で、介護にあたる11人の職員のうち少なくとも8人が一斉に退職することが決まったということです。
施設の経営者と職員などとの間に、給料が適正に支払われていないことをめぐるトラブルがあったほか、施設の賃料もここ数か月、未払いになっていたということで職員の退職はこうしたことが原因になったとみられます。
施設には現在、あわせて31人の高齢者が入居し満室となっていますが、職員の退職により十分な介護が受けられず、全員が転居を余儀なくされる状態になっているということです。

給料が適正に支払われていないということであると、

介護職員一斉退職 入居者転居へ

介護福祉ブログコミュニティ|ヘルパータウン

ちょっと調べたらやっぱりおんなじ事が起っとるやんけ・・・。
しかも職員へお給料支払ってないのであれば、膨大な利益がどこかに消えている事になります。

福岡県行橋市の社会福祉法人「友愛会」が運営する特別養護老人ホームなど2施設で11月、経営難による給与未払いを理由に常勤介護職員10人中7人が退職するなどの大量退職が起きたことが、同市への取材で判明した。市は11月20日、介護保険法に基づき友愛会に職員を早期補充するよう改善勧告した。改善が見られなければ入居者の別施設への移送も検討する。

 2施設は、特別養護老人ホーム「今川河童苑」(定員29人)と介護付き有料老人ホーム「いまがわ秋桜ガーデン」(同29人)。

毎日新聞

こちらは2018年の報道です。
ちょっと調べただけで出てきますよ、同じケースが。

住宅型有料老人ホームとは、どういうものなのか。介護が必要な高齢者が暮らすには、特別養護老人ホームなどの施設に入る場合、そして、自宅などにいながら、外部の事業所から介護を受ける場合とがあります。国は社会保障費を抑えるため、施設を大幅に増やすのではなく、在宅介護の方針を推し進めてきました。

こうした中、需要が高まっているのが住宅型有料老人ホームです。基本的には、入居者に個室と食事を提供します。1か月の料金は、平均およそ12万円。比較的安いこともあり、自宅での暮らしが難しい高齢者の受け皿となっているのです。介護サービスが必要な場合は、自宅と同様に外部の事業者を利用します。自治体に届け出さえすれば設立できるので、さまざまな業種からの参入が相次いでいます。そのため7年で3倍に増えています。

NHK

社会保障費用を抑えるという手段が目的化してしまった事で、こんな無責任な事をする人が介護福祉の業界に参入してきたわけです、利益を得るために。

リリーゆたかの経営者は30代半ばの男性。美容師や宅配寿司チェーン店の店長などを経て、介護事業に参入しました。
会社が自己破産を申し立てた際の、陳述書を入手しました。設立した時の思いについて、こう記されていました。

“お年寄りの方々を自分の理想通りに介護して、老後の新しい暮らしを提供できるということに大変魅力を感じました。”

経営者は、一体どんな運営をしていたのか。閉鎖する直前まで働いていた介護職員が話を聞かせてくれました。

「リリーゆたか」元介護職員
「社長が事務所に来ることは、1日に下手したら10分、15分だけ。一番は社長への不信感。」

設立の理念と実際の運営は、大きく異なっていたといいます。

「リリーゆたか」元介護職員
「面談の時に言われたのは、『年間の売り上げが今これくらいで、来年の今頃にはこれくらいになるように計画してて』みたいなことをバンバン言われて。だけど、利用者のことに対しては何も言っていなかった状況ではあります。」


陳述書には「自らの経営スキルが足りなかった」とも記されていました。

“いきなり経営者となることは、金銭的、能力的に不安があった。”
“人件費について、設立当初の見通しが甘かったのだと思います。”


会社は人件費などが想定以上に膨らみ、6,400万円以上の負債を抱えて倒産するに至ったとしています。

NHK

この経営者の本音は、元職員が証言している『年間の売り上げが今これくらいで、来年の今頃にはこれくらいになるように計画してて』・・・の部分でしょうね、要するに利益を増やせと、そういう事です。

人件費も払ってないのに当初の見通しが甘かったというのはおかしな話なので、元々やってた事業がうまく行ってなかったとしたら、その穴埋めに福祉事業で得た利益(職員にお給料も支払わないで)を使っていた事になるので、もし本当にそうであったなら、本当に悪質です。

今、経営が立ち行かず、売却を検討する介護事業者が増えています。

「背景1つ目が、競争の激化。経営が悪化して、廃業・売却をせざるをえない状況になっている。」

介護事業の売買を支援する会社のセミナーです。最近、異業種から新規参入した企業による売却の相談が増えているといいます。
この日相談に訪れたのは、住宅型有料老人ホームに参入したIT関連会社の経営者です。

売却を検討している経営者
「もう1つの会社が忙しいというのが正直あって、このまま両方とも同時に進めていくのが、今の現状だと難しい。」


介護事業M&A支援会社 常務取締役 速水健史さん
「他業種から参入した方が始めてみて、思った以上に手間がかかるということで、本業ではない中で片手間にやるのであれば、やっぱり利益が出ないので、本業に専念しようということで撤退するケースが増えています。」

NHK

もうね、片手間で福祉事業をやるなよ、と言いたい。
困った人を助ける仕事なんですよ、片手間でやれる仕事じゃないんですよ。
他人の人生に関わるんだからどんな状況であっても全力でやれよ。

事業から撤退した元経営者が、その教訓を生かしてほしいと取材に応じました。もともと保険会社に勤めていたこの男性。29歳の時、住宅型有料老人ホームを設立し、僅か2年で売却したといいます。

住宅型有料老人ホーム 元経営者
「初期投資が一番安く開設できたのが、住宅型有料老人ホームを選んだ理由。『誰でもできる』イメージが根づいて。」

住宅型はさまざまな設備を設置する義務はなく、既にある建物を改修して作ることもできるため、一般的に初期投資を低く抑えられます。そして多くの場合、経営者は介護事業所も設立して、そこから介護サービスを提供しています。収入の大きな柱は2つ。入居者からの利用料と、介護サービスを提供して国や自治体から支払われる介護報酬です。一方、主な支出は介護職員などに支払う人件費です。

住宅型有料老人ホーム 元経営者

「よく、『右手にロマン、左手にそろばん、背中に我慢』って言っているんですけど。ロマンはあったんですよ。高齢者にこんなことしたい、あんなことしたい。ロマンはあったと思うんですけど、そろばんがおろそかで。安易な計算のもとでやっていたので、売り上げは良かったんですけど、出て行くお金も(多く)収益と費用が近いぐらいのもので、利益が出ていなかった。」

NHK

全部の有料老人ホームの経営者がこんな感じだとは思いませんが、参入しやすくハードルも低いので、こういうスタンスの経営者が少なくないという事は覚えておいてもらいたいので紹介しています。

しかもこれだけ物価高騰と人件費高騰が続いている状況で、このような箱ものの事業は本当に経営は難しいです。

どうかんがえてもこの状況、悪くなる方向しか想像できないんですよね。
厚労省も、通知出しただけじゃなくてちゃんとフォローできる仕組みつくっとかないと入居者さんが本当に可哀そうです。

一人じゃ暮らせなくなって誰かの援助が必要になって新しい場所に引っ越したのに、ある日その場所で自分たちを助けてくれるはずの人がみんな居なくなってしまう、もう他に行先もない、という恐怖感を想像してほしいです。

こういう施設では最後まで無報酬で踏ん張って残された方を支えようと頑張っている介護職もいます、そういう人をちゃんと評価してあげてほしいです。

倒産したリリーゆたかの入居者たちは、その後どうしているのか。

別の施設に移った75歳の女性です。

生活に支障が出ていました。脳梗塞で右半身にまひがあるこの女性。リハビリのさなかに退居を余儀なくされたといいます。


「本当に頭に来ていますね。何でもまた一から練習しないといけない。寝起きのしかた、トイレに行くまでの歩く道。覚えるのが結構大変なので。」

「リリーゆたか」元入居者(75)
「もう、ずっと、ずっと、ずっと、居たかったけどね。はがいかね(はがゆいね)。はがいかとよ。」

NHK

75歳になって引っ越す先を終の棲家として考えるのは当然ですよね。
制度はそうじゃないとか、そんな事じゃないんですよ。人生かけて引っ越してる人が大半なんですよ。

武田:どれくらい増えているのかということなんですが、特別養護老人ホームは現在1万件余りあります。住宅型有料老人ホームというのが、ぐぐっと増えていまして、この7年で3倍近くにもなっているんですね。この急増している背景というのは、どういうことですか。

高野さん:特別養護老人ホームの整備をしますと、例えば施設整備費などに関して、本来は行政が作るべき施設ですので、公費、税金で補助金が相当投入されます。その税金の財政負担が大きくなるということもあって、特別養護老人ホームはあまり増やさない。一方で、規制が緩い住宅型有料老人ホームが、結果的にその受け皿となって増えてきている。こういう背景があると思いますね。

さらに、住宅型有料老人ホームが増えているもう一つの理由が、「参入のしやすさ」です。特別養護老人ホームなどの施設に比べ、開設するにも自治体への届け出だけ。設備に関する義務や人員の配置にも、明確な基準はありません。

武田:高野さん、こんなに基準が緩くて、どうしてなんだろうとか大丈夫なのかなっていうふうに思ってしまうんですけれど。

高野さん:住宅型有料老人ホームは自宅なので、自分で選んで入所するものですし、例えば、職員がそこに何人いるかとか、建物がどれくらいの広さでどういう設備がなきゃいけないかということに関しては、国があえて規制をしていない。そこの部分は、間口が広がった、いい部分ではあるんですけども。逆に先ほど申し上げたように、経営が困難になるような事業所も出てきているという意味で、課題にはなっているということですね。

新田さん:でもやっぱり必要だからこれだけ増えてきているっていうのを考えると、まあ不安はあるけれども、どうしてもやっぱり必要だから預けたい。そこで受け入れてもらえるなら、しかたがないのかなっていう気もしますよね。

高野さん:もう一つはVTRにも出ていましたように、月額36万円で、独り暮らしの人が夜間も介護が必要。そうした状態を支えるには、実は足りないというのが介護サービスの実践現場では常識なんですね。在宅でなぜ介護ができているかというと、実際にはご家族が同居されていて夜間の介護をしてくれていたり、ちょっとしたイレギュラーな事態に対応してくれていたりするので、この金額でなんとか収まっている。ところが、住宅型有料老人ホームというのは、夜間は誰もいない。昼間の介護サービスが提供されても、いろんな問題が起こった時に対応できないから、入居している住宅型有料老人ホームがどこからもお金が出ないとはしても、入居を継続するために支援をせざるをえない。

新田さん:何かやっぱりね、自分の親だから夜見ててもいいというか、夜見ようっていう気もありますけど、こういう住宅だと外部の方っていうか、他人が見てくれるわけじゃないですか。それをやっぱり無償でっていうのは、その方々はとっても大変だなって。

高野さん:VTRに出てきて非常に気がかりだったのは、生活保護の人が多く入所されている。住宅型有料老人ホームが引き受けてくれた。それは大変頭の下がることではあるんですが、本来、所得の低い人たちで介護が必要だっていうことになれば、まずはセーフティーネットとして、特別養護老人ホームに入居しやすい仕組みを作る。一方で、所得があったりだとか、もっと自由な生活を自分の選択でしたいという場合に、住宅型有料老人ホームが選べる。こういう順序立て、優先順位にしなければ、その逆が起きると矛盾が。住宅型有料老人ホームに全部しわ寄せが来るってことになってしまう。

NHK

このあたりの詳細は記事を参照いただければより詳しく記載されていてわかりやすいです。

国は完全に高齢者介護福祉の方針を誤ったと思いますね。
そもそもセーフティネットを民間任せにしているのが間違いです。
国が責任もつもんでしょうよ、国民がこまっていたら。そのために税金払ってるんじゃないの?って思ってしまいます。

僕自身も、住宅型有料老人ホーム等がほとんど特養化しているのを目にしてきましたので、こういう住宅型有料老人ホームとかは、老人ホームと名乗らせないのがまず第一じゃないかなぁ、ミスリードしてますよ、きっと。

そんなことを思った日曜の夜でした。

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