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厚労省のスタートアップ労働条件WEB診断をしてみました。

就業規則を作成するにあたって、厚労省からひな形をダウンロードしたりして準備をすすめている中で、このような診断ができるみたいだったのでWEB診断してみました。

結構な質問に答えていくわけですが、内容は労働基準法についてどこまで理解できているか、という内容でした。

途中まで、就業規則にどのように記載しているか、するつもりなのか、という感じで回答していったので、法的にはこうだけど就業規則上はこうしてみたい、という回答もあったので勘違いしていた部分もありましたが、概ね適正な理解ができていると思いました。

スタートアップ労働条件WEB診断(厚労省)

総合何定で、Dの解雇退職の部分で要確認の内容がありましたが、その他の項目では概ね大丈夫、問題点はない、という評価だったので、この内容も参考にして就業規則の作成をしていきたいな、と思います。

ちなみに10人以下の規模の会社なので、法的には就業規則は不要のようですが、あった方がいいし運営指導(旧実地指導)でも必ず職場で自由に閲覧できる場所に就業規則があるかどうか確認されてきた事項なので、10人以下なので該当しないのでありません、というのも職場としてちょっとどうだろう・・・という気持ちもあって作成を進めています。

Dの解雇・退職の部分で厚労省からの講評は以下の通りです。

D-1
どのような場合に労働者を解雇することとしていますか。いずれか一つを選んでください。


あなたの回答
3. 就業規則などで解雇事由を定めており、これに該当すれば解雇することとしている。


評価コメント
運用に注意する必要があります。就業規則などの解雇条項に該当したとしても、その行為が「客観的に合理的な理由」とまではいい難い場合や、その条項が「客観的に合理的な理由」と評価でき、その解雇条項に該当したとしても、解雇理由となった事実が労契法16条(解雇権濫用法理の規定)に照らして「社会通念上の相当性」(具体的事情に照らして解雇をもって臨むことの妥当性や他の労働者との均衡等)が問題となりますので、この観点からの検討も必要です。

基本情報
解雇とは、使用者側から行う、労働契約を終了させるとの意思表示のことです。
労働契約の終了の原因の主なものとしては、①解雇(使用者側からの意思表示により労働契約を終了させること)、②辞職(労働者側からの意思表示により労働契約を終了させること)、③合意退職(どちらか一方が労働契約の終了を申し込み、他方がこれを承諾して労働契約の終了を合意すること)、④定年や期間の定めのある雇用契約の期間の満了といった、時期の到来による終了の4つがあります。ここで「解雇」というのは、①の意味で用いています。


解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効となります(労契法16)。
就業規則にはどのような場合に解雇をされるのかを定める解雇事由を記載する必要があります(労基法89三かっこ書)。なお、労契法16条の解雇権濫用法理の規定は強行規定ですので、たとえ就業規則等で「客観的に合理的な理由」とまではいえないような軽度な理由が解雇事由として記載があったとしても、その記載は無効となり、解雇には、労契法16条のいう「客観的に合理的な理由」が必要となります。
ここで、「客観的に合理的理由」とは、社会の常識に照らして納得の得られるような理由のことです。また、「社会通念上相当」というのは、その労働者の日頃の就労状態や他の労働者との均衡や解雇の手続などの具体的事情に照らして、解雇するのももっともな状況に達していることです。例えば、就業規則の解雇事由に該当する事実があったとしても、「この状況でこの程度なら普通は解雇まではしないよな」と考えられる場合には、「社会通念上相当と認められない」ことになります。

スタートアップ労働条件WEB診断(厚労省)

解雇については、就業規則に具体的な解雇事由があれば、そこに該当する場合は解雇しても問題ないと思っていたのですが、

就業規則などの解雇条項に該当したとしても、その行為が「客観的に合理的な理由」とまではいい難い場合や、その条項が「客観的に合理的な理由」と評価でき、その解雇条項に該当したとしても、解雇理由となった事実が労契法16条(解雇権濫用法理の規定)に照らして「社会通念上の相当性」(具体的事情に照らして解雇をもって臨むことの妥当性や他の労働者との均衡等)が問題となりますので、この観点からの検討も必要です。』

という事で、就業規則に定めた項目であっても、法令上の基準を下回っていた場合は解雇事由に該当しない、という事です。
これは、他の書類関係でも同じ事が言えますが、根拠法の条件以下の独自ルールといくら作ったとしても、それは無効ですよ、という事ですね。

たとえ客観的に合理的な理由であっても、解雇の事由に妥当性やほかの労働者との平等公平な運用・判断がされているかどうか、という部分も大きくかかわってくるので、運用に注意が必要、という評価になったようです。

やはりそれだけ日本の労働者は法的にも守られているという事ですね。
ここはしっかりと気を付けていきたいと思いました。

D-3
有期雇用労働者について、どのような場合に契約期間途中で解雇することとしていますか。いずれか一つを選んでください。

あなたの回答
2. 契約期間中であっても通常の労働者と同様の解雇事由を適用し解雇することとしている。

評価コメント
改善が必要です。通常の労働者に適用される解雇事由は、多くの場合、「やむを得ない事由」よりも広いものと思われますので、通常の労働者の解雇事由が有期雇用労働者にもそのまま適用される場合、それに基づく解雇が労契法17条1項に違反する可能性があります。

基本情報
有期雇用労働者をその期間の途中に解雇するには、「やむを得ない事由」が必要で、そのような事由のない解雇は無効です(民法628、労契法17①)。この「やむを得ない事由」は、期間の満了を待つことができないほどの重大な事由という意味であり、期間の定めのない労働契約の下にある労働者を解雇できる場合の、「客観的に合理的な理由」および「社会通念上の相当性」がある場合(労契法16)よりも、狭いものです。

スタートアップ労働条件WEB診断(厚労省)

この部分は改善が必要との評価でしたので、間違った理解をしていました。

有期雇用の労働者についても通常の労働者と同様に解雇事由に該当すれば解雇できると理解していたのですが、それでは理解が甘かったようです。

有期雇用労働者をその期間の途中に解雇するには、「やむを得ない事由」が必要で、そのような事由のない解雇は無効です(民法628、労契法17①)。この「やむを得ない事由」は、期間の満了を待つことができないほどの重大な事由という意味であり、期間の定めのない労働契約の下にある労働者を解雇できる場合の、「客観的に合理的な理由」および「社会通念上の相当性」がある場合(労契法16)よりも、狭いものです。

やむを得ない事由について、よっぽど酷い違反以外はほぼ該当せず、期間満了まで待てるような内容であれば解雇できないようです。
この内容については、正職員のような期間の定めのない労働者よりも適用範囲は狭くなるようなので、それこそ虐待や事件や不正を行ったような場合でないと解雇する事は出来なさそうな感じですね。
いやはや難しいなぁ・・・いろいろと・・・。

D-9
懲戒解雇はどのように行うこととしていますか。いずれか一つを選んでください。

あなたの回答
2. 就業規則などに、懲戒解雇をできる旨の定めはあるが、その事由は特別には定めていないので、普通解雇と同様の事由によって行うこととしている。

評価コメント
改善が必要です。懲戒解雇は普通解雇と比べて労働者の不利益が大きなものとなることが一般的であり、懲戒処分の性格を持ちますので、懲戒解雇事由も普通解雇とは別に、より限定した厳しいものに基づき行うことが適当です。

基本情報
懲戒解雇は、普通解雇とは違い、労働者の職場秩序違反に対する懲戒処分の一種です。懲戒解雇は通常、解雇の予告をせず、退職金の一部または全部が支払われないなど労働者に大きな不利益を与えます。したがって、懲戒解雇事由は、あらかじめ就業規則や労働契約などに定められていることが必要です。


フジ興産事件・最二小判平15.10.10
https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/08227.html

スタートアップ労働条件WEB診断(厚労省)

懲戒解雇については、通常の解雇よりも重大な事由によって判断されるものなので、就業規則に定めている内容に該当してあれば問題ないと判断しましたが、こちらも改善が必要、との評価でした。

懲戒解雇は、普通解雇とは違い、労働者の職場秩序違反に対する懲戒処分の一種です。懲戒解雇は通常、解雇の予告をせず、退職金の一部または全部が支払われないなど労働者に大きな不利益を与えます。したがって、懲戒解雇事由は、あらかじめ就業規則や労働契約などに定められていることが必要です。

こちらの解説からもわかりますが、懲戒解雇であっても労働者を守る内容の法律になっています。
懲戒解雇だからよほど悪い事をしたのだろうとは思いますが、それでも不利益があるので、それに該当する事由を事前に就業規則に定めておきなさい、という事のようです。

それこそ虐待や事件・不正を行った場合、という事だとは思うのですが、ちょっと懲戒解雇の項目については、他の企業の項目も参考にして作った方がよさそうですね。

9問中、2問が改善が必要で、1問が運用を気を付けましょう、という評価でした。

結構面白かったし、勉強にもなったので事業所の管理者・リーダークラスにはこの診断をしてもらっても面白いかもしれませんね。

しかし、覚える事が多い・・・。

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