訪問介護の充実を明記 政府、高齢社会対策大綱を閣議決定 介護職の処遇改善も・・・という記事の紹介です。
閣議決定されたという事なので、政府として具体的に予算をつけて対応を進めていく、という事なのだろうと思うのですが、独居高齢者が増える状況に対応できる環境整備の具体策が、必要な介護サービスの確保と介護職員の処遇改善と魅力向上・・・という事なんですけど、もうほとんど手遅れ状態で既に介護崩壊が始まっている段階なんですけど、何を呑気な事を・・・というのが正直な感想です。
ロストケアという映画を観ましたが、映画の内容は実際の事件を参考にしたフィクションだと思うのですが、描かれている在宅介護の現場の状況は、もうすでに何年も10年以上前から見聞きしている内容です。
映画の中の登場人物の言葉でもありますが、安全地帯から抜け出せない穴に落ちた人間を見落として自己責任という言葉で片付けて誰も直視しようとしない状況は、本当に現実に各地域で起こっています。
僕自身は、世界中の誰もが平和で人間らしく生きていける世界になればいいと思っているので、僕の手の届く範囲でその人がその人らしく生きられない状況を見ると何とかしたい気持ちになるのですが、少なくとも僕の身の回りでも介護に限らずその人がその人らしい人生を送れてない状況がある事について強い危機意識を持っています。だって、世界中でそうなって欲しいのに、目の前の人一人でも見逃してたらその時点でもう無理じゃないですか。
何ができるか、出来ない事も多いですけど、自分なりに何かできる事を追求したいですし、出来ない事も多くて無力感を感じる事も多いですけど、自分なりにそこから逃げないようにしたいと思って生きています。
事実、家族の介護で逃げ場がなくなる状況はケアラー問題で取り上げられてきています。現状で、そこに手が伸ばせられる公的な制度は介護保険制度を含めた福祉制度なのですが、それら精度の限界があるから制度から零れ落ちて穴に落ちてしまう人が存在するわけで、そんな人が一人でも生まれないような制度設計をするのが国や行政の役割と思ってきましたが、この状況でこの動きですので、本当に危険だな・・・と思ってしまいます。
地域で高齢者が増えて社会資源が減少する中で、地域での介護サービスを支える訪問介護や通所介護等のサービスは本当に重要な役割を担う事になるはずなんですけど、そういう事業に対して国が示した評価が今回の報酬改正の結果ですので、今更在宅サービスの充実を図ると言われましても、基本報酬をマイナスにして事業撤退を増やしてしまったり、新規開設事業も施設併設型が多いという要は地域の事業所が廃業して、そこのマンパワーが地域に出ない施設併設型の訪問介護事業所に吸収されてしまっている状況がある可能性もあるので、ちゃんと考えて物を言って欲しいな、と思いました。
政府が本気を出すにしても、やるなら速攻ですよ。
少なくとも年内に具体的な対策が実施されないと本当に危ないと思いますよ。人材獲得競争は本当に熾烈な状況になっていますし、最低賃金アップもありますのでやるなら一刻も早くやらないと踏ん張り切れない事業所が多数出る可能性もあります。
人口構造が変わるわけですから、これまで通りが通用しない状況になるわけですよ。いろんなサービスが縮小せざるを得ないし、輸送コストなどもアップするわけです。物価高騰だってもしかしたらまだまだ続いていくかもしれません。要は、今まで通りを維持しようとしたときにコストがかかる、という事なんだと思いますし、そもそも人がいない、という事になるわけです。
頑張れる人は時間外で頑張れるかもしれませんが、それは時間外労働が増えるという事でコストが上がるという事ですし、そもそも時間外労働したくない風潮が高まっている昨今ですから、コンビニが夜中まで開いているという状況も今後は無くなっていく可能性もあります。
自動販売機がなかなか補充されなかったり、バスや電車の便が減ったり、道路の舗装整備が遅れたり、通販で商品が届くのが遅れたり、スーパーの品ぞろえが悪くなったり・・・、そんな今まで辺り前の日常が維持できなくなるのが労働人口の減少ですよ。
そんな状況の中で介護職員増やせるんですか?と思うんですよね。
特に今の現状認識や家族介護があって当たり前という状況の中で、介護よりも他のサービスの維持が優先という考え方が多いだろうと思いますし、そもそもそういう他産業の方が利益を人材確保への投資に回せるので高いお給料を提示しやすいので、優秀な人材ほど他産業で就業できる状況が現状と変わる事はないでしょうし、ますます加速しそうです。
もうそんな状況なんですよ、介護職を増やせますか?サービス量を増やせますか?ヘルパーの平均年齢知ってますか?・・・と何時間でも問い続けたいです。
食糧生産だって今まで通りにならない可能性があるし、こんかいの米不足の騒動だってなんかみんな他人事なんですよね。
お米作ってる農家の人に対してのリスペクトが無さすぎないかと思うようなSNSでの発言も目にしました。
異常気象による不作は今後もあるでしょうし、既に気候変動しているとしたら農作物の育成環境だって今まで通りにはならないはずなので、そこに対しての新しい研究や投資は必要なはずなですよ、今まで通りの生産性や品質を維持するのであれば。
高齢社会対策会議での発言なので介護に関しての発言と思いますけど、岸田首相ももう辞めちゃうし、次の総理が同じスタンスかどうかなんてわからないし、これまで後回しにしてきた問題を最優先で対応できるかなぁ・・・やろうとしても他の業界団体との関係もあるだろうし無理でしょ、そういうの全部ぶった切ってやれる人を総理には選べないでしょう。
それに、支える側にも支えられる側にもなっていく社会を目指すという事ですが、誰も好き好んで支えられる側になりたい人なんていませんて。
具体手に誰がどのように何をして支えるのかを制度として示して必要なマンパワーを確保しないとダメなんですよ、こういうのは。
いずれにしても国の方針が社会保障費用の抑制を掲げている状況ですので、思い切った対策は打てませんから、どうにもならないとは思いますけど、少なくとも自分が出来る範囲で頑張れるようにはしておきたいな、と思いました。
訪問介護の充実、やれるんなら早くやって欲しいです。
一刻も早くです。