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ケアマネの採用が「困難」 居宅で8割弱が回答 協会調査 「人材難は深刻な状況」・・・という記事の紹介です。
日本介護支援専門員協会は26日、ケアマネジャーの人材不足の実態を明らかにする調査の結果を新たに公表した。【Joint編集部】
ケアマネ協会の調査なので事実でしょうけど、調べるまでもなくこれまでもずっと言われてきた事なので・・・問題は、だからどうするのか、という所なんですけど、直近の介護保険制度改正でも特にこの問題を解決するのに有効そうな制度変更はない状況で、見かねた東京都が色々と施策を打ち出している状況なんだと思っているので、ケアマネ協会としてどうするのか方針があるのか気になる所です。
「ケアマネの採用は以前より難しくなったか」とケアマネに尋ねたところ、78.3%が「困難になっている」と回答。主任ケアマネの採用についても、68.1%が「困難になっている」と答えていた。
協会はクロス集計の結果なども踏まえ、「地域の人口や事業所の規模に関わらず、全国各地で人材確保の困難さが生じている」と指摘。「こうした調査結果は、介護支援専門員の人材難が一般に認識されている以上に深刻な状況を示唆するもの」とまとめている。
人材が不足しているのは全産業の問題なので、どこでも採用は困難になってきていて限りある人材の取り合いになってきているような気がします。
この調査は、協会が会員を対象として昨年10月から11月に実施したもの。居宅介護支援に所属する1130人のケアマネから回答を得ている。
気になったのが、このアンケート調査の回答数が1130人しかいないという事です。
ケアマネ協会の会員数ってそんなに少ないの!?って思ってしまいました。
で、調べてみたんですが、ケアマネの総数は去年の調査で約18万人との事。
ケアマネ協会の会員数ですが、2019年のデータしか見つからなかったのですが、約3万人のようです。
で、今回の調査の回答が1130人から得られたデータとの事ですから、ちょっと物足りない感じがします。
会員全体の約3.7%の意見。
ケアマネ全体の約0.6%の意見という事になります。
調査期間も去年の10月~11月という短期間なんですよね。
なんとなく大急ぎでデータを取った気もしますし、この調査結果の報告が5か月後になって発表されるというのもなんというか時間かかったなぁ・・・と思いました。
なんだろう、ウェブ上で入力させる形式ならその場で集計結果とか出せそうなんですけど、紙媒体でのアンケートだったのでしょうか・・・。
協会は人材確保に向けた施策として、ケアマネの業務の専門性や重要性に見合った賃金の改善を主張。「少なくとも民間の平均年収と同等以上の収入を得られる必要がある」と訴えた。
また、更新研修も含めたケアマネの負担軽減も必要と提言。業務の範囲・責任の明確化を図ることも求めた。
少なくとも民間の平均年収以上との提言ですが、ケアマネの年収の平均って既に民間全体の平均値くらいだったと思ったので調べてみました。
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上記のグラフは、2015年から2019年までの過去5年間、各職種の平均年収の推移をまとめたものです。
5年間を通じて毎年増額している職種は、ケアマネジャー、保育士、調理師、福祉施設介護員、ホームヘルパー、理容師・美容師でした。看護補助者は2017年で一度落ち込んでいますが、翌年からまた上昇しています。介護・保育系の職種は、待遇の改善が進んでいるといえるでしょう。
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5年間を通じて増額の傾向にある職種は、薬剤師、ケアマネジャー、歯科衛生士、保育士、幼稚園教諭、栄養士、福祉施設介護員、ホームヘルパー、看護補助者、美容師・理容師、調理師でした。
男性と女性別での調査結果が出ていたので参照しましたが、2019年までの統計なので情報としては古いのですが、おそらく以降も処遇改善は継続されているはずなので、ケアマネの年収についてもこれより下がっている事なはいと思います。おそらく、介護職の年収が更に増加しているのではないかと推察します。
男性でも女性でも、ケアマネの平均年収はそれぞれの中央値と同等かそれ以上の年収になっていますので、いまの時点で平均年収以上の実現を訴えた所で、それでも人材確保が困難である事は既に証明されているわけですから、別の切り口が必要と思いました。
男性ケアマネの場合、民間の平均とほぼ同等の年収ですが、女性ケアマネの場合は民間の平均と比べると約10万円ほど高い年収になっているので、やはり賃金が原因で人材確保が進んでいないと分析するのは無理がある気がします。年収が少しでも高いに越した事はないですが、それが大きな原因ではなさそうで、やはり書類関連の業務など、ケアマネの業務の範囲が広すぎる事も大きな原因になってそうな気がします。
ただ、今後は業務範囲や研修制度についての議論も始まりますので、そういう意味では今後の対策次第では改善できそうな気もします。
いずれにしても、今後の動き次第、という事になりそうです。