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ヘルパーの有効求人倍率、過去最高15.53倍 訪問介護の人材不足が更に悪化 厚労省・・・という記事の紹介です。


今日は、歌志内市での会議に参加する予定でしたが8月に延期となったので割と余裕がある滝川市への移動になりました。
午前に2件の派遣をこなしてからの移動だったので、会議に間に合うかギリギリでしたからちょっとホッとしています。

しばらく滝川市の自宅に戻っていないので郵便物が心配なのと、明日は札幌でCareTEX札幌の展示会とセミナーに参加する予定なので、滝川市から向かった方がちょっと近い気がしていますので、当初予定通りに本日は滝川市に向かう事にしました。

さて今日はヘルパー事業を営む者として外せないこちらのニュースを紹介します。

厚生労働省は24日、来年4月の介護報酬改定に向けて協議を重ねている審議会で訪問介護を取りあげた。【Joint編集部】

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審議会の資料等が公開されているページは以下ですので、興味があればご参照くださいませ。

あとで資料の中で気になった部分をピックアップしてみていきたいと思います。

ホームヘルパーの人材難が更に加速し、昨年度の有効求人倍率が過去最高の15.53倍にのぼったと報告。施設の介護職員などと比べても際立って厳しい現状を明らかにし、「人手不足が大きな課題」との認識を示した。

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ヘルパー不足は本当に深刻ですね。
倍率がここまで高くなっているとは思ってませんでした。
一方で事業所数は増加傾向になるようなデータも見たことがありますので、どんどん人手不足については加速していきそうですね。

ヘルパーとして訪問介護で働くためには、130時間の「介護職員初任者研修」などの修了が必要。こうした負担や責任の重さに対し、給与や労働環境などが見合っていないとの声が多い。利用者の住まいへ1人で行かなければならない、という働き方を敬遠する人も少なくない。

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自宅でのサービス提供が密室化しやすい状況であり、かつこれまでの経過からみても虐待や不適切な対応が発生しやすい介護という業種であれば、こういった必要最低限の事前の専門的な学習や実習は必要と思います。
この状況でも事件や虐待については増加傾向にあるので重要な課題だと思います。

給与については、これは経営のやり方次第という側面があるのと、訪問系の処遇改善加算関係の単価は高いので、きちんとこういう加算の配分をメリハリをつけて配分していればそれなりの給与の支払いは可能だと思います。

それに労働者的にはもらえるならいくらでも貰いたいのは当然の心理ですから、一方でそういう意見になりやすい傾向もあるとは思います。

労働環境についても工夫の余地はありそうですし、仕事自体は簡単で楽な仕事ではありませんが、それは介護に限った話ではないので何とも評価しにくいですね。

一対一の環境でのメリット・デメリットは確かにありますが、僕自身訪問していて感じるのは、個別ケアや自立支援といった内容の実践についてはメリットしかないと思っています。

生活の質を高めるのが我々の目的ですから、それが住み慣れた自宅で、その住み慣れた自宅の環境を活用して自立支援・個別ケアを工夫できるというのは、専門職として腕の見せ所と思っています。

施設や集団でのケアに疲れたなら、訪問介護、お勧めですよ。

まぁ職場によってはピンキリだとは思いますし、訪問介護で一対一のケアだといってもチームケアである事に違いはありませんので、心理的安全性が高い職場かどうか、いいチームかどうかについては職場次第でしょう。

厚労省の調査結果によると、2021年10月時点でヘルパーの平均年齢は54.4歳。他の介護職員やケアマネジャーなど関係職種の中で最も高い。

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高齢化が止まりませんね。
これは何を言っているかというと、完全に若手・後継者の育成に失敗しているという事です。
世代の好循環が生まれず、おそらく入職しても続かずに退職しているケースが多いので全体の平均としてどんどん平均年齢が上がっていっているのだと思います。

それだけ職場環境が困難な事業所が多いという側面もありそうですが、やはり自宅に独りで訪問するという仕事自体にハードなイメージがあるとも思っています。

僕自身、介護の資格をとってどういう事業所に勤めようか、と思った時に訪問介護は全く選択肢にはありませんでした。
男性だからという側面もありますが、訪問介護の一対一のケアの良さや、自宅の本人にとって住み慣れた環境をどう活用するかという介護の専門職としてこれ以上に面白い事はない事を知らなかった・気づけなかった事も大きな理由の一つかと思っています。

ですので、訪問介護の仕事のイメージややりがいについては、どんどんポジティブな情報を発信していく事が重要と思っています。

介護の現場ってどうしても介護側がホームゲームで優位な状況が多いですが、訪問介護は我々介護側がアウェイですので、一人一人の住環境にどこまで対応できるかという応用力が求められます。
この応用力って、人の人生が一人一人違うのと同じで、ケアの工夫も一人一人違って当然なので、そういう個別対応の応用力の力はかなり培われると思います。

また、ヘルパーの4人に1人、24.4%が65歳以上の高齢者。75歳以上も12.2%と1割を超えている。今後、引退するヘルパーの増加で人材不足が一段と加速していく懸念が強い。

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こういう情報については、最近ぽっと出てきたわけではなくて、僕自身がまだ大阪で仕事をしていた10年以上前から言われていて想定されていた事なんですけど、まったく対策が出来てなかったという事ですよね。

国は事業所まかせ、事業所は国まかせ、これではどうにもならないんじゃないかと思います。

この日の審議会では、多くの委員が来年4月の改定でできる限りの施策を講じるべきと主張。介護報酬の引き上げ、処遇の改善、負担の軽減などを求める声が相次いだ。

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確かにこういう対策も必要とは思いますが、世代交代がうまくできていない理由の解消にはならない気がします。
あるいわ、訪問介護に入職する20~30代の職員、または訪問介護にすでに勤めている20~30代の職員に対して、処遇改善補助金を当該職員に対して直接支給し、年収ベースで500~600万円くらいになるような改善ができれば若手が訪問介護に入ってくる可能性はありますが、結局他のサービスの人手不足を加速させるだけなので介護業界全体を見たときのデメリットの方が大きいです。
そして、そういう若手への処遇改善について、ベテラン層が喜んで受け入れて賛成する風土や雰囲気がないともう無理でしょうし、おそらくこういう方策が出たとして業界全体で反対意見が噴出しそうなので、どんな手を打っても無理だと思います。
業界全体で若手や後継者を大切にする、若手や後継者を増やすにはどうすればいいかを真剣に考えないとダメだし、わかりきっていた人材不足についてここまで真剣に考えてこなかったツケが回ってきているんだと思います。

あらためて各事業所で若手や新人がなぜ採用できないのか、採用してもなぜ定着できないのかを考えて、同じ失敗を繰り返さない取り組みを進めていくしかないと思います。

ここからは審議会の資料で気になったスライドのピックアップです。

第220回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料 より

ヘルパーの報酬について図解があったので紹介します。
ヘルパーはデイサービスと違って要介護度で料金や報酬が変わるわけではなく要した時間によって変わってきます。

上図の左側の更に左側が身体介護(入浴や排せつなど)、右側が生活援助(掃除や買い物代行など)の報酬になります。

効率的にサービスを提供できれば割と良い感じの時給を支払っても経営的にはなんとかなる報酬かなぁとは思いますが、結構赤字の事業所が多いのも事実なので派遣調整がなかなか難しいのも事実だとは思います。

あと、こういう報酬なので住居に併設してどんどん効率的にサービスを提供するといったサービスモデルも出てくるわけです。

上図をみてもらえれば一目瞭然ですが、やはり身体介護の報酬が単価が高いのでいかに身体介護のサービス相談をケアマネから受けれるかどうかも死活問題になっていると言っていいでしょう。

ただし、上図は要介護1以上の報酬体系ですので、要支援1と2については全く別の報酬体系になっていてかなり低く抑えられています。

第220回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料 より

事業所数自体は年々増えています。

第220回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料 より

各都道府県ごとに事業所数や10万人あたりの事業所数の図です。
大阪府が突出して多いですね、正確な記憶ではないので間違っているかもですが、たしか大阪はサービス付き高齢者住宅の数も多かったと思いますので、おそらくそういう事なんじゃないかと思います。

こうしてみると北海道も事業所数は割と多めですね。

10万人あたりの事業所数が低くなっている所はちょっと心配ですね。

第220回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料 より

訪問介護サービスを利用されている利用者さんの数も年々増加傾向です。
こちらも要介護1以上の人しか対象になってないので要支援1と2の方については数に含まれていません。

要介護1と2がやはり多いですね。

割合的にはあまり変化なさそうな感じです。

第220回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料 より

訪問介護事業の利益率は6%以上あるようです。
事業としては結構いい感じな気もしますが、出ている利益自体はそこまで高くないと思います。
令和元年で2.6%だったのが令和2年で6.9%になっています。
事業所が増加傾向にある理由かもしれませんね、経営改善等で利益を出せる事業所が増えてきているのかもしれません。

ただし、利益を追求するあまりに併設の住居に不必要なサービスまで提供しているような話も聞きますので、そういう結果が反映されている可能性もあると思います。

第220回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料 より

サービス量は今後も増加していく傾向です。
当然ですけどね。

第220回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料 より

中山間地の事業所を報酬をアップする仕組みはあっても、条件に該当せずに算定できずに経営的に厳しい事業所がある現実についての意見かと思います。
算定要件がややこしいので片道あたりの移動距離などサービスを提供している実態に合わせて判断できるような要件にすべきと思います。

遠方すぎてどこも受けてくれないという相談はやはり来ますし、どこもうけないニーズをウチが受けないで誰が受けるの?という気持ちで相談については受ける前提で全て対応していますが、そういう部分を評価してもらえる仕組みが早めに出来てあると頑張りがいもあるものです。

第220回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料 より

ヘルパーさんの男女比の円グラフです。
個人的には、意外と男性ヘルパー多いな、と思いました。

第220回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料 より

ヘルパー全体の平均年齢は、54.4歳との事。
他の事業と比べても突出していますね。

ただ、他の事業も平均年齢がほぼ50歳なので業界全体でヤバいですね。

第220回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料 より

訪問介護の人手不足については他事業と比較しても突出していました。
ヘルパー不足で新規を受けれない事業所があるので、うちのような後発事業所でも相談を結構頂けている状況があります。
事業所としてはうれしい事ですが、地域全体を考えた時に危機感しかありません。

第220回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料 より

サービスを断った理由の多くがヘルパー不足のようです。
2位が遠いから、というのがちょっとどうなんだろう・・・と思いました。

あとは看取りで技術不足とかも在宅生活を支えるヘルパーの専門性がそれでいいのか、と思ってしまいました。
出来る出来ないではなく、やらないといかんのではないかと。
その為に努力するんではないかと思うのです。

第220回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料 より

現状と課題では、人手不足についてスポットが充てられています。

第220回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料 より

【論点】
訪問介護について、介護サービスの需要が増加する一方で、訪問介護員の不足感が強い状況である中、利用者の 状態に応じて必要となるサービスを安定的に提供するために、どのような方策が考えられるか。

第220回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料 より

訪問介護のニーズが増えるのに担い手のヘルパーが足りなくなるけど、訪問介護事業を維持するのにどんな対策を打てばいいだろうか・・・という論点のようで、こういう内容で来年度の報酬改定の議論がされそうです。

人手不足を解消するしかありませんが、そもそも全産業で人手不足ですから全産業よりも高い給与を支給するのが一番簡単な方法だと思います。

思い切って2023年度以降の訪問介護採用者の内40歳以下の職員については一律年収1000万円にすればいいと思いますよ。
事業所でこういう工夫は無理なので、国や自治体が直接雇用して地域全体を担うヘルパーとして運用するなど、これまでにない工夫や制度緩和が必要とも思います。

いずれにせよ、この数十年間言われ来た危機が目前になって、それまで何も改善できなかった事をこれから改善しようというのですから思い切って振り切った事をしないと無理だとはおもいます。

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