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【介護報酬改定】全国市長会、積雪寒冷地の通所介護への支援を要請 「冬季の負担増が考慮されていない」・・・という記事の紹介です。

今日は、こちらのニュースを紹介します。

僕自身、大阪では炎天下の状況や台風の中での訪問や通所の送迎など担当してきましたし、北海道では冬の凍結しやすい地域や豪雪地と言われる地域で勤務もしてきましたので、それぞれの地域で大変さはあるのですが、確かに冬の雪道や除雪については、かなり特殊な自然環境だなぁと思っています。

例えばヘルパーさん(訪問看護やケアマネも含む)ですが、大阪では自転車や電気自転車、中には原チャリを使用していた人もいましたが、基本的には二輪車での訪問でした。

ですので、北海道に赴任してきてヘルパーをはじめ訪問看護やケアマネの事業所では職員全員とはいかないまでも事業所で訪問用の車(公用車)を用意してあることに大いにびっくりした事を覚えています。

雪国の人なら当たり前だと思いますし、僕も今なら車なしで訪問系の仕事は出来ないと思っていますが、当時は純粋に『維持費やばくないか?』と思いました。

それに北海道の多くの地域は、一軒一軒の家の距離が遠いので札幌や旭川、函館といった大都市以外の地域では、車じゃないと逆に非効率になると思います。

そして、その割に北海道の多くの地域は、介護報酬1単位当たりの単価が10円(その他の地域)なんです。

ワムネットより

基本の1単位×10円に対して、1級地から7級地までの地域に該当する市町村の事業所については、20%~3%までの加算が付きます。
北海道は、唯一札幌市が7級地で他の市町村は全てその他の地域で加算はなく1単位10円で計算されます。

ちなみに、僕の出身の大阪府池田市は4級地で12%の加算が付いてます。

なぜ介護サービスの報酬を計算する時にこんな地域の等級を決めて加算が付いているのかは不明ですが、この加算の有り無しは結構大きいです。

北海道のような降雪地では、雪道での送迎や移動があるので一定数の公用車を事業所で整備している事業所がほとんどです。
それだけで固定費がかかるのですが、1単位あたりの価格に加算が付かない地域がほとんどですし、ついたとしても(札幌で)3%しかつかない状況ですので、降雪等がなく公用車を整備しないといけないような固定費があまりかからない上に等級が高い地域の事業所と比べると経営難易度がやや高い傾向にあるとも言えます。

なんでこんな仕組みになったのが調べてみました。

社保審-介護給付費分科会 第172回(R1.11.15) 資料1 より

簡単に解釈すると公務員の基準をそのまま引っ張ってきた感じでしょうか。
資料の最後に指摘があるように、人材不足と人件費の上昇が発生している状況の中で、このような地域差が広がるような仕組みを続けるとなると、特に等級の低い地域で人材の獲得はますます厳しくなるわけで、そもそもの考え方や仕組みを見直した方がいいんでないかい?と思いました。

来年4月の介護報酬改定に向けた協議を進めている審議会の10日の会合 − 。通所介護が取り上げられた今回、自治体の立場を代表する委員が積雪寒冷地などの事業所のコストを十分に考慮するよう国へ要請した。【Joint編集部】

JOINT

積雪寒冷地のコストは本当に配慮してもらいたいものです。
登別市を含む地域の海岸沿いは、雪自体はそんなに多くないのですが道路が凍るんです。ブラックアイスバーンといって凍っているのも見分けがつかないような状態のツルツル道路で毎年交通事故が発生しています。

ツルツル路面でも降雪路面でも同じですけど、スピードが出せない分、送迎や訪問の時間も結構厳しくなりますし、迎えに行ったら玄関まで雪が積もっていて除雪しないと訪問できない、送迎者に乗せれない、といった対応も発生します。

これだけ転倒リスクが言われている中で、高齢者に雪かきをしておけなんて危なすぎて言えません。それでも出来る人は自分でしています。

以前勤めていた法人で、関連会社との合同研修会に参加した時に北陸の豪雪地域でデイサービスの管理者をされている方と話す機会があったのですが、やはり積雪時の送迎が大変すぎて除雪とかそういう苦労が一切評価されない仕組みについて本当に嘆いておられました。
僕自身も、雪道で平常通りの送迎や訪問を求められても無理があると思っています。

ただ、一方で大坂では本当に死ぬかと思うような夏場の炎天下での仕事も経験していますし、猛暑の中坂道を自転車で駆け上がって訪問してくれている職員の姿も見てきましたし(電動自転車を買ってあげたりしました)、台風の中、防風にあおられながら訪問している職員も見てきました。

ですので、全国的にそういう季節的な厳しい状況はあると思うので、バランスよくそういう苦労が報われるような評価がしてもらえると事業所としても、そこで働く職員にも還元しやすいのではないかと思います。

「積雪寒冷地の事業所では、冬季の原燃料費や除排雪費、送迎時間の増加などの負担がかかる。事業者からは効率的なサービスの提供が難しい、サービスを維持する困難さが増してきた、といった声が寄せられている」と問題を提起した。

JOINT

北海道の事業所で勤めてからもう一つ驚いたのが、寒冷地手当、という手当がもらえた事です。

この寒冷地手当ですが、公務員に支給されている手当みたいで民間で支給している所はそこまで多くないみたいなので、以前勤めていた法人のそういう福利厚生の部分は本当に手厚かったな、と思います。

実際、記事で指摘があるように降雪時の効率的なサービス提供は不可能です。

そのうえで、「冬季の負担増が評価されていない実態がある。事業所がサービスを持続的に提供していけるように見直しを」と提言した。

JOINT

個人的には、雪国の冬場の負担を評価してもらうなら、猛暑地の夏場の負担の評価も必要なんじゃないかと思っています。

このほか、全国知事会から参加している長崎県の大石賢吾知事(代理で参考人が発言)は、訪問系サービスなどに設けられている「特別地域加算」に言及。離島や過疎地、豪雪地帯などの介護報酬を増やすこの仕組みを、通所系サービスにも幅広く適用するよう注文した。

JOINT

この特別地域加算ですが、わかりにくいんですよね。
当該地域が特別地域加算に該当しているかどうか、だれも教えてくれないというか・・・そもそもそういう加算がある事自体が知られてない気もします。

訪問介護において特別地域加算を算定するには、事業所が厚生労働大臣の定める特別地域に所在することが必要です。

また、当該事業所またはその一部として使用される事務所の訪問員等が、指定サービスを実施することも求められます。

厚生労働大臣が定める地域は以下の通りです。

一 離島振興法(昭和二十八年法律第七十二号)第二条第一項の規定により指定された離島振興対策実施地域
二 奄美群島振興開発特別措置法(昭和二十九年法律第百八十九号)第一条に規定する奄美群島
三 山村振興法(昭和四十年法律第六十四号)第七条第一項の規定により指定された振興山村
四 小笠原諸島振興開発特別措置法(昭和四十四年法律第七十九号)第四条第一項に規定する小笠原諸島
五 沖縄振興特別措置法(平成十四年法律第十四号)第三条第三号に規定する離島
六 豪雪地帯対策特別措置法(昭和三十七年法律第七十三号)第二条第一項の規定により指定された豪雪地帯及び同条第二項の規定により指定された特別豪雪地帯、辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律(昭和三十七年法律第八十八号)第二条第一項に規定する辺地、過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法(令和三年法律第十九号)第二条第一項に規定する過疎地域その他の地域のうち、人口密度が希薄であること、交通が不便であること等の理由により、介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第四十一条第一項に規定する指定居宅サービス及び同法第四十二条第一項第二号に規定する基準該当居宅サービス並びに同法第四十六条第一項に規定する指定居宅介護支援及び同法第四十七条第一項第一号に規定する基準該当居宅介護支援並びに同法第五十三条第一項に規定する指定介護予防サービス及び同法第五十四条第一項第二号に規定する基準該当介護予防サービスの確保が著しく困難であると認められる地域であって、厚生労働大臣が別に定めるもの

けあスタイル

こんな算定要件ってあります?
せめて該当する地域を羅列して示してほしいんですけど・・・。

積雪寒冷地のデイサービスの経営をめぐっては、事業者が以前から「介護職員が雪かきをしている」「独居高齢者の自宅の除雪も担っている」「移動介助にも時間を要する」などと訴え、相応の支援策を繰り返し求めてきた経緯がある

JOINT

降雪地の事業所では、始業前の雪かきも普通にやってますからね。
前残業として認めてない事業所が多いような気もします。
事業に差しさわりがある作業なので労働に該当するとは思いますが、こういうのも集団指導では一切触れてこなかった経過もあるので誰も触れたくない問題なのかもしれません。

始業前除雪については、いつも率先してやる職員もいれば除雪が終わる頃に出勤する職員もいたりして色々トラブルの火種にはなってました。
ただ、これを職場長が指示でも出そうものなら確実に業務扱いになるので本当にデリケートな問題でした。

僕自身は僕が率先して除雪するようにはしていました。
関西育ちで雪かきってなんだか楽しいので今でも苦にはならないです。

ただ、雪道の運転は本当に怖いです。

雪道での送迎といえば面白い経験を思い出しました。

デイサービスの送迎で、室蘭市(登別市の隣)という山坂の多い所に迎えに行った際の事です。

軽自動車でも入れないような坂道の上にあるに迎えに行ったんです。
軽自動車(送迎者)は、20mほど下の平地の駐車場に駐車しました(いつもの定位置)。

冬場なので僕自身は滑り止めのついた長靴を完全装備して迎えに行きます。
細いアスファルトの坂道がところどころ凍ってましたが、ゆっくりならしっかり歩けたので大丈夫だと思って迎えにいきました。

利用者さんに坂道の崖側にある手すりをしっかりつかまるように声をかけて、実際にしっかりつかまってもらいながら一歩ずつ滑らないように気を付けて坂を下りていきます。

ここでは利用者さんがしっかり手すりを掴んでくれているので、僕自身は利用者さんの前(坂の下側)から半身になっていつでも支えれるような距離感で利用者さんの足取りや全体のバランスを見ながら少しずつ下りていました。

手を繋いでしまうと一緒に転んでしまう可能性があるので、こういう支えがあって自立できる状態の環境では手をつながないようにしています。

滑るから気をつけてゆっくり行きましょう・・・

と言った直後でした。

僕の身体が歩いてもいないのに下にゆっくりと滑り落ち始めました。

一度滑り始めると止まらないんですよね、下手に動くと転んでしまうので・・・

これに似たポーズでゆっくりと・・・

両手でバランスを取りながら、利用者さんに『そこでまってて!動かないで!』と敬語も丁寧語もない正真正銘のスピーチロックの言葉を残して自分だけ坂の下まで滑り下りていきました(ゆっくりと)。

その後、手すりをしっかり掴みながら坂を上って、僕が滑ってしまった場所を避けてゆっくりと無事に送迎車までたどり着けました。

幸い、坂の上の方を向いた状態でゆっくり滑り落ちたので利用者さんの状況を見ながら坂の下の方でゆっくり四つ這いになって止まる事ができましたが、これが坂の下を向いていたらおそらく滑って転んでいたと思います。

一緒にいた職員が目の前で派手に転んだ場合、もしかしたら利用者さんも慌てて転んでしまったかもしれないので、この時は本当に転倒せずによかったと思いました。

冬場の公用車には、雪かき用のスコップや滑り止め用の砂を乗せます。
圧雪や凍結して滑りやすい場所に砂をまくと滑りにくくなります。

職員の転倒防止のために靴に装着する滑り止めスパイクを用意した事もありましたが、これは着脱の手間がかかるので賛否ありましたね。
実際、使う人もいれば使わない人もいたし、下手に付けたままタイル状の地面を歩くとそれはそれで転びやすくなってしまうので。

あと、降雪時で怖いのがホワイトアウトですね。
本当に目の前が真っ白になってどこが道路かわからなくなりますし、まっすぐ走っているのかどうかも分からなくなります。

そんなわけで、いろいろありますけど次の報酬改定ではこのあたりの自然環境が業務に与える影響についても検討してもらえるといいな、と思いました。

地域加算は廃止でいいと思いますけどね、これ本当に人材確保に直結するのでやめてもらいたいです。合わせるなら全て東京に合わせてほしいですね。

田舎でも東京と同じくらいのお給料が出る、くらいの事をしないともう若い人材が過疎高齢化の田舎で介護の仕事しよう、なんて所まで思わないんじゃないかと思っていて、結構この問題については根本的に解消してもらいたいと思っています。

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