日本よりずっとヤバイ中国の介護事情「実家からの電話が怖い」「糞に始まり糞に終わる」・・・という記事の紹介です。

なんか、将来介護サービス不足になった時の日本の状況がそうなるんじゃなかろうか・・・などと思ってこちらの記事を紹介します。

中国政府は10月11日、「第5回中国都市・農村高齢者生活実態サンプル調査基礎データ公報」を発表した。それによると、60歳以上の高齢者人口は2.9億人で全人口の21.1%を占め、65歳以上は2.16億人で15.4%に達している。高齢者世帯は全世帯の60%を占め、その内訳は老夫婦のみの世帯が45%、一人暮らしの高齢者世帯が14.2%となっている。現在の高齢者世帯の子どもの平均人数は2.6人だ。

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以下に紹介している日本の数値は、令和6年版高齢社会白書(全体版)を参照しています。

65歳以上の割合/いわゆる高齢化率。
中国 → 15.4%
日本 → 29.1%(2023年10月)

高齢者夫婦世帯の割合
中国 → 45%
日本 → 32.1%(2022年度)

高齢者独居世帯の割合
中国 → 14.2%
日本 → 31.8%(2022年度)

人口規模が全然違うので、中国の問題と単純に比較はできないのですが、日本の人口構成よりも、まだ中国の方が高齢化は進んでいない状況で、今何が起こっているのかを見る事は、それなりに勉強になると思いました。

まぁしかし、日本の高齢者独居世帯の割合というのが急増している、という状況も結構深刻だとは思うのですが。

中国では従来、「3世同堂」や「4世同堂」という多世代家族での同居が一般的で、お年寄りの面倒は家族でみるものとされてきた。「養児防老」という、親が子を養い、親が老いたら子どもが面倒を見るという伝統的な考え方も根付いていた。しかし経済発展によって核家族化が進み、さらに「一人っ子政策」を長年実施したことにより、家族による介護という従来のシナリオは崩壊しつつある。

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日本でも状況は同じですね。
家族による介護では支えきれない、という事で介護保険制度が始まったとも思いますし、そのために消費税を社会保障の財源にする、という事で24年前に介護の社会化、という事で進められてきた政策ですが、今では見る影もなく、当時想定されていた問題がそのままの規模か、それ以上に大きくなっている状況に見えます。

近年、高齢者人口が急速に増加するのに伴い、介護施設が各地で急ピッチに建設され、介護サービスも多様化している。人々の考え方や意識も変わりつつあるが、それでも「親を施設に入れる」ことは「親不孝」とみられ、世間の目を気にしたり、後ろめたさを感じたりする人は今も多い。また、介護施設への不信感から「こんなところに親を送ったら、どんな目に合うか分からない、親が可哀想だ」と考える人も少なくない。

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施設への不信感は中国ほど高くはなさそうですが、親を施設に入れる事への抵抗感は結構あると思います。

中国人特有のメンツ意識や、高齢者自身が施設に預けられることを「見捨てられた」と感じる傾向もある。また、家族間の密接な関係性から、無理をしてでも在宅介護を選ぶケースが多い。その結果、「老老介護」や「隠れ介護」が増加し、介護者が鬱になったり、日常生活が崩壊したりといった問題が続出している。

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高齢者自身が見捨てられたと思ってしまうケースも多いですよね。
無理をしてでも在宅介護、無理をしてでも外から見えないようにする、そういう現状は、今でも多くのケースがあると思います。

そういうのを少しでもなくしていこう、として始まったのが介護保険制度のはずなんですけどね。違ったのかなぁ。

介護者が鬱になるのは本当に最悪のケースですよね、でも本当にそうなるんですよ、親の介護の過酷さは想像以上だと思います。

僕も昔優しかったおばあちゃんが認知症になって人が変わって別人になったようになってしまったときは、本当にショックでした。
一日中、6畳の部屋の中をぐるぐる小走りで回っているのを見た時の絶望感と無力感は今でも覚えています。

胡教授は数年前に父親を亡くし、その後母親が認知症を発症。かつては「声が大きく、いつも元気」だった母親が、別人のようになってしまった。母親は排便のコントロールができず、どこでも排尿・排便してしまう時期があって、家の中はふん尿の臭いが充満していたという。「人生は糞に始まり糞に終わる」と語る胡教授。

 彼の一日は、母親の着替えや痰の処理、口元を拭くことから始まり、3食の準備、洗濯、投薬管理、車いすでの散歩など、細かな介護作業で埋め尽くされている。夜遅くには母親が床に投げ捨てたものを拾い集める。そうした合間を縫って、睡眠時間を削りながら本や論文を書き、わずかな時間を見つけては自宅で妻や子供と過ごすという生活を送っている。

「体力的に限界を感じるだけではなく、幾度も精神的に崩壊する寸前となった」と胡教授は話す。そして「介護には勝者がいない」とも。

 学者が自分自身の率直な体験談を世に好評したことで、多くの人々が共感し、関心が高まった。誰でも直面する問題であり「明日は我が身」だからだ。

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明日は我が身、という状況、最近の日本も似たような状況なんじゃないかなぁと思います。だから介護の問題がクローズアップされてきたというか、話題になってきているような気もしますし、芸能人の介護の苦労話とかも良く耳にするようになってきた事も大きいと思います。

本当に、誰でも起こりうる問題なんですよね。

だから介護サービスが、介護をする家族をしっかりと支える事が重要なんですけど、現状では明らかにサービスを提供できる事業所が足りません。
介護職も足りません。

冒頭で紹介した公報によると、現在、中国の要介護高齢者は4000万人に達し、4000万の家庭が介護問題に直面しているという。介護者の内訳は、配偶者が45.5%、子どもが47.6%で、施設など家族以外による介護は3.4%しかいない。

中国は社会保障制度が整備されておらず、セーフティネットが皆無に近い。施設への入居費や医療費は高額で、まとまったお金を用意するためには家族の援助が不可欠である。そのため「一人失能、全家失衡」という言葉があるほどだ。一人が病気や要介護になったら、家庭そのものが崩れるという意味である。

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要介護者数
中国 → 4000万人
日本 → 670万人(2022年度)

規模感が全然違う・・・。

でも、かなり驚いたんですけど、中国って社会主義?共産主義?ですよね、そういう国って社会保障とかセーフティネットって充実してるって、勝手に思ってたんですよね。

お金がないと医療や介護のサービスが受けれない、というのは、これからの日本が舵取りを間違うと起こりえる状況で、この中国の状況は、これから日本がたどる道筋である可能性があると思うんですよ。

地方都市に住む45歳の孫さんは、中学校教員として働きながら、アルツハイマーを患う母親の介護に奔走している。母親は何度も家出して行方不明になり、警察に失踪届を出した。ガスの消し忘れによる火災の危険も経験した。母の介護のため一時休職し、現在は妻一人の収入で家計を支えながら子育ても行っている。「今後、妻の親も要介護となったら、どう対応したらいいのか。考えると不安で仕方がない」と孫さんは語る。

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高齢者人口の割合が増えるという事は、支える側の数が減っていくという事ですから、これからどんどん日本も中国のような家族の介護では限界がくる状況がどんどん生まれそうです。

これから経済を上向きにするのであれば、そういう後顧の憂いを無くすための施策は不可欠じゃないのかなぁ。

SNSでは「実家からの電話が怖い」「親の転倒による骨折が最大の心配」といった声が溢れている。専門家は「80後、90後(80~90年代生まれの世代)は、これから親の衰えを経験し始め、私生活と親の介護の間でジレンマに陥る」と予測している。

筆者はよく中国の友人から「日本は超高齢社会だが、社会保障が整備されていてうらやましい」と言われる。確かに日本の病院は24時間看護体制を整えているし、高額医療費制度、介護保険制度も整備されている

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それでも足りてないと思うし、これからどんどん人手不足で現状のサービス量は維持できなくなることは確実です。

24時間体制の維持なんて本当にかなり厳しいと思いますよ。
労働基準法もどんどん少ない人員で回しにくい方向で改正されてますからね。

そんな日本でも「高齢者はみな幸せ」とは言いがたい。親を施設に預けっぱなしで、年に一度も見舞いに来ない家族がかなりいるのが現状だ。中国人からすると、週に1回は見舞いに行くのが当たり前なので、こうした話を聞くとものすごく薄情に感じてしまう。

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個人的には、それはもう家族間の関係なので他人がとやかくいう事はないとは思うのですが、まぁ日頃頑張って介護していた家族の意向を汲んでサービスを組み立てても、遠方でほとんど来ないような親戚や家族が、せっかく段取りしたサービスをひっくり返す、というケースは多いですね。
それで頑張ってたお嫁さんが潰れてしまうという、本当に最悪のケースが結構あります。

それに、死んだときだけ連絡してきてください、というご家族もおられましたね。

冷たいなぁ、とは思うものの、そういう関係性になってしまった歴史もあるので、それはそれ、という感じで受け止めています。

中国の高齢化は今後さらに深刻化すると予測される。次世代の介護者はより厳しい状況に直面するだろう。制度やインフラの整備は必須だが、ほとんど進んでいないのが現状だ。逆に日本は、制度はよくても、人間関係の薄さに寂しい思いをしているお年寄りが多いのではないか。日本も中国も、高齢化は止められない。老後はどちらの国で生きるのが幸せなのだろう?と、考え込んでしまうのだ。

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中国はともかく、日本も下手をすると今の中国のように介護保険はあってもサービスは使えない、という状況に進んでいきそうな感じなんで、結構深刻な問題だと思います。

サービスが足りなくなると、こうなるよ、という先例ですよね。

そうはならないとは思うんだけど、実際サービスの不足は確実なので、本当に日本はどうしていくつもりなのか、この課題に対して何をどうする、という部分が全然見えてこないので結構不安です。


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