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注目される医療・介護職のタスクシフト 処遇改善の道筋にもなり得る大きな一歩=天野尊明・・・という記事の紹介です。

前回のコラムで、「的確な未来予測を持って備える」ことの重要性をお伝えしました。今回は、その最たる例である「人口動態から求められているもの」について触れたいと思います。【天野尊明】

まず、国立社会保障・人口問題研究所による直近の
人口推計をみると、将来的には65~74歳、75~84歳が減少していきます。それに対して、85歳以上は今後も右肩上がりで増加し続け、2065年頃にはこれら3区分が同数(約1200万人)程度になると見込まれています。

言うまでもなく、誰しも加齢とともに医療・介護ニーズが高まっていくことは避けられません。政府はこうしたことを指して「医療・介護の複合ニーズ」を抱える層の増大という表現をしながら、それに備えた施策を進めています。

介護分野でも例外なく、これまで以上に「医療・介護の複合ニーズ」に応えていかなければならない未来が待っています。介護施設などでは、日常的な範囲の医療的対応が求められていくことは間違いありません。在宅でも例えば、独居高齢者への看取りや認知症のケアが求められるようなケースが増えていくでしょう。

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人口に占める高齢者の割合が増え続ける事は分かり切っている事なのですが、それとこの記事で指摘されているような医療や介護ニーズが高まっていく、という部分はあまり関連づけて考えられていないように感じます。

これらのニーズに備えたり対応するには、単純に現場で医療や介護を提供する医師や看護師や介護職を増やすのが普通の対策だと思うのですが、そのあたりの一番重要な部分を国が国策として主導してこなかったので、ずっと言われてきた医師・看護師不足、介護職不足がどんどん深刻になってきているのが現状です。

ですので、じゃあ足りない人手をどうしようか・・・という検討の段階でタスクシフト等が検討されているという事なんだと思います。

この文脈から筆者が注目しているのは、5月31日に政府の規制改革推進会議がまとめた「規制改革推進に関する答申 ~利用者起点の社会変革~」です。

この中では、「医療職・介護職間のタスク・シフト/シェア等」が掲げられました。

具体的には、血糖測定、インスリン注射、蓄尿バック交換・カテーテルとの接続、爪白癬の爪切り、経管栄養チューブからの薬物注入、褥瘡の処置など、現行では看護師らが行っている行為を例にあげ、「関係法令上、介護職員が実施可能な行為には制限があることから、利用者に必要なケアを適時に提供できない場合があるという点で、利用者の不利益となっている」と指摘。

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これらの医療行為を介護職が提供できない事による利用者の不利益はずっと発生してきましたが、ここまで踏み込んで検討されるのは初めてじゃないかなぁと思います。

基本的に上記の内容は、家族なら行える行為なので、家族が行えるのに介護現場に行くと看護師しか出来ないので対応できません、という事になってしまう変な状況が生まれてきました。

家族が医師や看護師からやり方の説明を受けて対応できる事が、なぜ介護職に出来ないのか、特に介護福祉士という介護に特化した国家資格があるにも関わらず、ずっと医師や看護師にしかできない業務とされてきました。

それはそれで法的な根拠もあるし特定の資格にしかできないルールがあるので仕方ないのですが、そうであれば介護現場で必要な医療が受けられない不利益を解消できるくらい看護師を配置してもらいたいと思っていました。
現実的にマンパワー不足で出来ないのに、そのままここまで放置してきた理由がよくわからないのですよね。

上記の介護職員による実施が制限されている行為には、場合によって家族が行うようなものも含まれます。こうした規制を取り払うことは、利用者が抱える日常的な「医療・介護の複合ニーズ」に応えるだけでなく、効果的かつ効率的な形で医療・介護の多職種連携を促し、限られたマンパワーを最大化する土壌づくりにもつながります。

JOINT

介護保険制度ができて20年以上が経過するんですけど、どうしてもっと早くこういう問題が解決に向かわなかったのかなぁ・・・。

そして、それを担う専門性の高いスタッフについて、より高い評価をもって更なる処遇改善の道筋をつくっていくことも、医療・介護連携のもうひとつのテーマと考えています。

JOINT

実際、介護職の処遇改善は各加算の影響もあって向上していますので、こういう医療行為に対応できる介護職員については更に処遇改善を検討できるかなぁと思いましたし、そういう方向にルールが改正されていけば、そういう処遇改善加算の内容にも変化があると思います。

医療行為なので命に係わる行為ですから、自信が無かったりやる気がなかったり、やりたくなかったり、お給料が上がるからという理由だけて嫌々取り組んだりするような人には任せられない業務内容でもありますので、ここの選別は難しくなりそうですけどね。
なので、これをやればお給料上がりますよ、という形でタスクシフトを進めるのは医療事故が増えそうで怖いですね。

今後のことを言えば、例えばケアマネジャーの方々に対し、医療・介護連携のかけ橋となることが一層強く求められていくことは明らかで、そのために、利用者と現場の双方に必要となるメニューを揃えていかなければなりません。

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ケアマネも研修の中に医療的な知識の内容が多く含まれるようになっているのも関係があるのでしょうね。

医療のタスクシフトについては、結構前から議論されていた感じなので、いろいろ業務範囲の変化はありそうですね。


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