雨と遊ぶ
晴れわたる空で雨と遊んだ
眩暈がするような幼稚な朝を
透明に覚えているから
震えるまま立っている
私は
私に逢いにいく
ああ こんな人生じゃなかった
薬なんて無縁だった
君が教えてくれた歌が好きだった
人間らしく はにかんだ秋
すべてが水泡に帰して
変わる現実に溺れる
親と 金と 命を
受け入れたくないんだよ
天から零れ落ちた伝言を受け取って
英雄的に
大きくなろうとした喜劇
夢を語る自分という印象が
絶対的に
立派だと信じた悲劇
傘の使い方を知らない
雨が咲く言い訳ばかり思いつく
過ちを繰り返すって責めないで
どうにもならないんだよ
生きるか死ぬかばかり考えてしまうのは
おかしい人なのかな
元気ですと臆面もなく言えるのが
社会で上手く笑える人なのかな
みんなが美しく思えてポエム
独りで籠もる休憩タイム
私だけ ささくれ立って迷夢
できないままに増えてく債務
雨天決行の遊戯は止まらないんだ
晴れわたる公園で独り濡れていた
吐き気がするような荒んだ日曜が
紅く染みついているから
寒いまま縛られた
私は
私を殺しにいく
ああ 仕方ないことで苦しむ
綴れない手で空を掻いた
君が去った場所の香りが好きだった
人間らしく 恥を隠した春
すべてを吐き出せないままに
変えられない現実を穿って
今と 性と 私を
突き放したいんだよ
地から抜け落ちた力を求めて
芸術的に
紡ぎ直そうとした次元
愛を捨てる自分という結末が
反動的に
諦められなかった事件
仇の討ち方を知らない
雨の後の虹ばかり想像して
過ちを繰り返すのは辞めたいんだ
どうにかしたいんだよ
生きたいか死にたいかさえ忘れたら
きっと本気になれるかな
やさしい小糠雨に晒されたら
社会の不器用さを洗えるのかな
情愛に飢えてペシミズム
気づけば重なる黒い秘密
髄まで 刃向かったエゴイズム
できることだけ信じた未来地図
雨天決行の遊戯は止まらなくてもいい
もしも願いが一つ叶うなら
君のこと呼んで雨で遊びたいな
降りつづく雫を白い詩に更えて
一緒に小さな傘を差していたいな
晴れわたる空で雨と遊んだのは
時間に抗った証拠だから
君しか知らないひずみを
怖いまま歌っている
君は
君に逢いにいける
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