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夢の樹

                      夢
                      そうよ
                    わずかな道
                   わたしだけの光
                  剛情で愚鈍な正義へ
                 知ったかぶりの鼻を出し
                目の前の存在を見向きもせず
               独りよがりの宇宙を映す片眼鏡を
              わざわざ用意して体裁ばかり気にする
                    ああ壊れた
                   とめどない暗闇
                  押し寄せるサイレン
                 あの人はどこへ行ったの
                どうしてわたしだけ残ったの
               止まらない怒りの旋律を頭に叩き
              美しい古典のテキストを命綱に例えて
             拙い文章ばかり綴りつづける日々のなかで
            わたしの鼓動はあなたのみぞ知る世界を描いて
           昏い歴史さえも明日の桜の肥やしになると祈ったよ
                    さあこの先
                   飛び出す玄関の
                  握りしめる鍵の形を
                 その眼に焼きつけたなら
                夢を追いかける自分を夢見て
               一歩、二歩、三歩と呼吸を連ねて
              今日の孤独はアカウントに捨て去って
             安穏と芳醇な精神を詩文に残そうと決めた
            エンタメは現実を離脱した海に待つ水先案内人
           ラブストーリーは天涯孤独の日常を破壊する起爆剤
            レクイエムは未来の悲しみへ備えるための花束
              歩みは牛のごとく遅くてもいいからね
               樹幹から溢れる夢を叶えるために
                     あなたの
                     いのちで
           あの夜に見た地平が誰かを笑顔に変えられるように
            


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