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【絵✕詩】あの杉は


ああ あの杉は
かつて星になりたかった者たちを
かつて星になれなかった者たちを
幾度となく 見送ってきたのだ
木陰に立つ少女は笑う
笑うったら 笑う
太古のその昔から
人はただ流れることだけを
確かな定めとして生きてきた
近づけば不揃いで
遠ざけば没個性の
升目に囲まれた世界
話しても分からない世界
あなたもその一味に加担している世界
目を肥やし 耳を失った
愛することでしか救われない何かを知らぬ
そんな人を見て少女は笑う
時間は弧を描き
余白は孤を深め
あたかも幻の死を我々にもたらす
愉悦に任せて筆を走らせた
首一枚でつながった命を
またしても 手に入れようとする
白熱灯の明かりのような
近代的で それでいて非現代的な喜びを
あの杉と あの杉に立つ少女とから
我々は学びなおすのだ

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