case03-01 : 道化師からの手紙
2月。時刻はまだ午前中。
窓越しに見える通りには、行き交うサラリーマンの姿が目立つ。
お気に入りのファミレスの、お気に入りの日が差し込む窓際ソファ席で注文が届くのを待つ。浅く腰掛け、背もたれに大きくもたれかかり、足を組み、天井を仰ぎ見る。お世辞にも姿勢が良いとは言えないが至福の時間だ。
店内は暖房が充分にきいており、冬用のコートは少し蒸し暑く感じたが、脱ぐ動作すらしたくなかった。絶妙なバランスで構成されたこの至福の時間は慎重に扱わねばならない。恐る恐る視線だけ目の前のテー