どうやら僕は乃木坂のペットになるみたいです
「ただいまー」
もちろん返事など無い。その声は暗闇に消えていく。
○○:今日も疲れたな、金曜だし久々に1杯やるかなー
加藤○○、23歳のフリーター。そこそこの大学を卒業し就職したものの、人間関係を理由に1年で退職。そこからフリーターとして次の就職先を探す日々である。
○○:あ、その前に明日仕事あったっけ?どれどれ…
○○:うわ、明日“これ”かよ…楽なんだけどちょっとめんどくさいんだよな
○○の言う”これ”とは、いわゆるアイドルの握手会の剥がしと呼ばれるものである。以前も何度か経験していた○○にとってそれは楽な部類に入るのだが、ある理由もあり○○は少し面倒と思っていた
○○:まぁ明日の事なんてひとまず忘れて飲むか!
○○:ゴクゴク…プハァ 美味い!やっぱビールだよなー
ーーーーーーーーーー
迎えた当日
○○:あー、具合悪い、調子乗って飲み過ぎたな…😓
○○:おはようございます、今日はよろしくお願いします。
係員:はい、よろしくね。じゃあ君は今日齋藤さんのところお願いね
○○:分かりました…(あの人苦手なんだよなー)
○○が飛鳥のことを苦手なのには理由があった
~〜〜〜〜
「齋藤さん入られまーす」
○○:よろしくお願いします
飛鳥:あ!今日○○さんなんですね、やった!
○○:ははは…どうも ペコッ
飛鳥:ていうか、そろそろ推しメン決めてくれました?
○○:い、いやぁそれがまだで…
飛鳥:え〜、次までには決めてきてくださいね?😊
○○:まぁ、なんとか…
○○が飛鳥のことを苦手な理由、それはメンバーの中でも特に話しかけてくるのである。ファンにとってはこれ以上無い神イベントなのだが、あまり人付き合いが得意ではなく女性に免疫が無い○○にとってそれは神イベント、否地獄の時間であった
○○:(頼む…早く握手会始まってくれ…)
飛鳥:あ、今日握手会終わったらスタッフさんにこの紙渡して下さい、そうしたら後は大丈夫なので!
「まもなく握手会を始めたいと思います」
飛鳥:じゃあよろしくお願いしますね! ペコッ
○○:わ、分かりました。(なんだこの紙?まぁ渡すだけならいいか)
〜〜〜〜〜
握手会が始まると、○○はさすがのトップアイドルぶりを目の当たりにする
ファン1:飛鳥ちゃん釣って!
飛鳥:やだ😄
○○:はい、お時間でーす
ファン2:飛鳥ちゃん大好きです!
飛鳥:ありがと、これからも大好きでいてよね?😊
○○:お時間でーす。(笑顔絶やさないで対応するのしんどいだろうなー、さすがトップアイドルといったところか)
○○:お時間でーす
お時間でーす
お時間……
お……
ーーーーーーーーーー
「それでは本日の握手会は終了となります。ご来場頂きましてありがとうございました」
○○:あ〜、やっと終わった〜!明日仕事無いし早く帰ってビール飲もっと😊
帰ろうとポケットに入れたスマホを取り出した時、飛鳥から貰った紙が一緒に落ちる
○○:あ、そうだった…めんどくせーけど行くしか無いよな…
○○:すみません、この紙スタッフに見せればいいって聞いてたんですけど
スタッフ:あ、あなたが…では私についてきてください
○○:分かりました…(一体どこに行くんだ?)
スタッフについて行くと、どんどん裏の方へと進んでいき、ある部屋へと通された○○
スタッフ:ではここで少しお待ちください
○○:は、はぁ
そこは何の変哲もないただの部屋、しかしどこか嫌な雰囲気を○○は感じとっていた。するとそこへ飛鳥が入ってくる
飛鳥:○○さんお疲れ様です!
○○:さ、齋藤さん!?なんでここにいるんですか?
飛鳥:だって私が○○さんのことを呼んだんですよ?少し○○さんとお話がしたくて
○○:話って、何の話ですか?
飛鳥:その前にさっきお茶買ったのでどうぞ
○○:あ、ありがとうございます。喉乾いてたんでちょうど良かったです
ゴクゴク
飛鳥:ニヤッ😏
○○がお茶を飲んでいる最中、飛鳥の口角が少し上がったことを○○は知る由もなかった
○○:プハァ で、なんですか?
飛鳥:じ、実は……
“私たちに監禁されて欲しいんです!”
○○:…………はい?
飛鳥:監禁っていうか、なんて言うんだろ…ペット?になって欲しいんです
○○:えーと、普通に嫌なんですけど…急にそんな事言われてOKするわけないじゃないですか。
飛鳥:でも普通なら私たちに監禁されるのって嬉しいはずですよ?
○○:(は?監禁が嬉しい?何言ってるんだこの人…)
○○:それはあなたたちのファンの普通ですよね?僕は別にファンじゃないので。それに監禁って犯罪ですよね?俺は帰りますから。じゃあそういうこ…
フラッ ドン
○○が立ち上がった瞬間、急にふらつき気付けば床に寝そべる形になっていた
○○:あれ……?なん…で……俺………😴
そのまま寝てしまう○○
飛鳥:フフッ おやすみ、○○さん
ーーーーーーーーーー
○○:んん……あれ?ここは一体…ん?手足が縛られてる?確か齋藤さんに貰ったお茶を飲んでから俺は…
「ただいまー」
飛鳥:あ、起きたんだ○○
○○:齋藤さん!これどういうことなんですか!?
○○の手足は縛られベッドに固定、スマホや財布なども手元から無くなっていた
飛鳥:ん?言ったでしょ?ペットになって欲しいって
○○:あー、たしかにそんなこと言ってたような……って、なんで俺なんですか!!
飛鳥:仕方ないな…察しの悪い○○のために説明してあげる。
飛鳥:○○って何回か剥がしのバイトしに来てたよね、その時に何人かメンバーと話したでしょ?そこでメンバーが○○に惚れちゃってさ。私達最近忙しくて何か癒しが欲しいって話してたら○○がいるじゃん!ってなったの。
○○:それで俺をこんな目に合わせたと…
飛鳥:やだなー○○からしたらご褒美でしょ?トップアイドル様のペットになれるんだよ?こんな嬉しいことなんかないよ!
○○:く、狂ってますね…
飛鳥:まぁ最初はそう思うよね、だけど安心して?時間が経てばそんなこと考えられなくなってくるから。それじゃあ今日からよろしくね?😊
その日から○○にとって忘れられないような日々が始まるのであった…
to be continued…?
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