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たまに会うお姉ちゃんは僕への愛が深過ぎるんですが…

○○:やっと着いたー…

大阪から東京には新幹線で2時間半から3時間ほどかかる。僕は少なくとも月一、多い時は週一のペースで東京に行っているのでさすがに東京に来た感動も薄れてきた。

え?なんでそんな頻度で東京に行ってるの?芸能活動でもしてるんですかって?

違います、僕はただの高校3年生です。これは僕の姉が原因なんです。

??:あー!○○いたー!!

あー、僕を東京に呼びつけた張本人に見つかりました…

??:やっと会えたー!!1週間ぶりだね!!ギュッ

○○:お姉ちゃん離して…めちゃくちゃ見られてるから……

駅の改札前で男女が抱き合ってるのはさすがに目立つのですれ違う人全員に見られます。恥ずかしい…

??:だーめ!ちゃんと名前で呼んでくれたら離してあげる。

○○:分かったから離れて菜緒姉…

菜緒:ふふふっ、分かった

これが僕の姉の小坂菜緒、2つ上の20歳で日向坂46のメンバーでもあります。

普段テレビで見る菜緒姉は割と大人しめで物静かな印象ですがそれは仮の姿。僕といる時は超ブラコンになります。

菜緒:なぁなぁ…○○と1週間も会えなくて菜緒寂しかった……

○○:いや、1週間もって言ってるけど僕からしたら頻度が多過ぎるよ!まだ3月も上旬なのに2回目だよ!?

菜緒:だって○○高校卒業してお休みに入ったから…

○○:だとしてもだよ…

菜緒:ごめんな…こんなお姉ちゃんで…… グスン

超ブラコンの菜緒姉だが、それは言い換えると僕のことをとても思ってくれてるという事。そんな菜緒姉を泣かせて平気なほど僕は落ちぶれてはない。

○○:な、泣かないでよ菜緒姉…僕も少し言い過ぎちゃった、ごめんね?

菜緒:ううん…私が悪かったの……

テンションが下がりきってしまった菜緒姉とこれからの時間を過ごす訳にはいかないので、僕はある提案をする。

○○:せっかくだからさ、菜緒姉が前言ってたコーヒーが美味しいお店連れてってよ。

菜緒:…うん!じゃあ行こっか!!はいっ

そう言って菜緒姉が僕に手を差し出す。

○○:ん?何の手?

菜緒:仲直りの証!手繋ご…?

○○:…今日だけだよ ギュッ

菜緒:んふふっ、嬉しいな〜//

テンションが戻ってくれたみたい。繋いだ手を菜緒姉はブンブン振り回しながらお店へと向かった。

ーーーーーーーーーー

○○:ここがそのお店?

そこにはやってるかやってないか分からないくらい寂れたカフェがあった。

菜緒:前撮影の合間に1人で来てみたらめっちゃコーヒーが美味しくてね?これは○○が好きな味だ!って思ったの。

○○:自分で言うのもあれだけど、ほんと菜緒姉僕のこと好きだね

菜緒:当たり前でしょ!?私の大事な弟なんだから大好きに決まってるじゃん!!

○○:ふふっ…じゃあ入ろっか。

菜緒:あー!今バカにしたでしょ!!

○○:バカになんかしてませーん。

ガチャッ カランコロン

マスター:あら、また来たねいらっしゃい

入ってみると客はいなかったが、優しそうなおじいさんが1人で店を切り盛りしていた。

おじいさんの発言から読み取ると、菜緒姉は定期的にここに来てるっぽい

菜緒:○○は何頼む?

○○:んー、菜緒姉と一緒でいいよ

菜緒:分かった!マスター、コーヒー2つください!

マスター:はいよぉ

○○:ここの雰囲気落ち着くね。

菜緒:でしょ!!やっぱり菜緒と○○は似てるな〜

○○:そりゃあ姉弟なんだから似るでしょ

菜緒:そーゆーことじゃないの!

マスター:はい、コーヒー2つとサービスでケーキ

菜緒:えぇ!?いいんですか!?

マスター:最近来てくれる人も少なくなってね…お嬢ちゃんくらいしか来る人がいないから最近の私の楽しみになってるのよ

菜緒:そうなんだ…

○○:何かいい案ないのかな…ん!美味しい!

菜緒:んー!このケーキも美味しい〜

マスター:そんなこと言ってくれたら嬉しいなぁ

〜〜〜〜〜

○○:ごちそうさまでした!

菜緒:マスターまた来ますねっ!!

マスター:こちらこそありがとうねぇ…

菜緒:今度ここのお店ブログで紹介しようかな…

○○:いいんじゃない?そしたら菜緒姉のファンの人とか行くようになりそうだし。

菜緒:うん!今度マスターにブログに載せていいか確認してみるね!

その後、マスターから快く承諾を得た菜緒姉はブログでそのお店を紹介し、見違えるほどお客さんが入るようになったとか…

現在時間はお昼をちょっと過ぎたくらい。

○○:この後って何か予定あるの?

菜緒:この後はレッスンがある!

○○:じゃあ僕は先に帰ってるね

菜緒:何言ってるの?○○も来るに決まってるじゃん!!

○○:また〜?

菜緒:○○がいないと菜緒頑張れないもん!

○○:じゃあ僕がいない普段はどうやって頑張ってんの?

菜緒:それはこれ見て頑張ってる!!

そう言って菜緒姉が見せてきたのはスマホ、そのロック画面をよく見てみると

○○:なんで20歳の大人が弟の写真をロック画面にしてるのさ…

菜緒:こうしてたらいつでも○○を感じることが出来るじゃん?私が考えた天才的な案だよ!!

それで菜緒姉が頑張れてるのならいいか、と諦めました。

菜緒:さ、遅刻しちゃダメだから早く行くよ〜!!ギュッ

強引に手を繋がれレッスンが行われる事務所へと向かうことになりました。

ーーーーーーーーーー

菜緒:やっほー!

美玖:菜緒おはよー、なんかテンション高くない?

菜緒:イヒヒ…それはねー、今日は○○がいるの!!

○○:ちょっと、みんなの前で抱きつくのはやめて。

史帆:あー○○君だー!!

美玖:○○君久しぶり!!またおっきくなった?

○○:金村さんお久しぶりです。身長は前よりちょっとだけ伸びましたね。

美玖:やっぱり!それに前よりもっとかっこよくなったね!!

○○:お世辞でもアイドルにそんなこと言われたら嬉しいですね。金村さんも可愛いですよ?

美玖:あ、ありがとう…//

京子:ねー、その名字で呼ぶの慣れないから名前で呼んでよ。

○○:慣れたら名前で呼ぶようにしますね。

史帆:史帆はかとしって呼んで!!

陽菜:陽菜はそのまま陽菜って呼んでね〜

菜緒:こらー!何姉の前でイチャイチャしてんの!!

○○:別にイチャイチャしてない、ただお話してただけ。

菜緒:菜緒がイチャイチャしてると思ったらそれはイチャイチャなの!!

なんて横暴な判断基準なんだろう…

菜緒:とにかく!○○はメンバーと話すの禁止!!

菜緒姉の抱きしめる力が強くなる。そんな禁止命令を出すなら僕を連れてこなきゃ良いのでは…?

先生:はーい、レッスン始めるよー

菜緒:やばっ!準備全然終わってない!!

○○:ほら、菜緒姉早く準備しなよ…

菜緒:私だけ見ててよ?

○○:分かったから早くして?みんなに迷惑かかっちゃうよ

菜緒:はーい!

その後のレッスンは菜緒姉に怒られないようにしっかり菜緒姉だけを見ていました。時々菜緒姉と目が合うと顔が赤くなり、周りのメンバーはそれを見てクスクスしていました。

ーーーーーーーーーー

先生:はい、今日のレッスンは終わりです!

メンバー:ありがとうございました!!

菜緒:○○疲れたよぉ…

○○:お疲れ様。

菜緒:ぎゅってして?

○○:はいはい ギュッ

菜緒:そのまま頭撫でて?

○○:どっちが歳上なんだか… ナデナデ

菜緒:えへへっ

菜緒:菜緒ね、今日先生に褒められたの!○○が見てくれてたからいつもより頑張れちゃった

○○:僕が居なくてもいつもそれくらい頑張ってよね? ナデナデ

菜緒:分かってるよ…//

史帆:何あれ…こさかな可愛すぎる〜!!

京子:写真撮っちゃお!

後日、菜緒姉伝いで僕にその写真が送られてきた時は恥ずかし過ぎて死にそうでした。

美玖:あれ?○○君っていつ大阪帰るの?

○○:明日には帰ろうと思ってます。

菜緒:え!?明日帰るの…?

○○:仕方ないでしょ?大学の準備とか色々あるし

陽菜:そういえば○○君ってどこの大学行くの〜?

○○:あー、それはですね

菜緒:地元の大学だってさ!お母さんから聞いたもん!!

○○:なんで怒ってるのさ…

菜緒:別にぃ〜?○○が東京来てくれるとか私だけが期待してただけだしぃ〜?

○○:……ふふっ

菜緒:な、何笑ってんのよ!!

○○:いや、じゃあ菜緒姉の望み通りになるなって思って。

菜緒:望み通り…?まさか!?

○○:うん、僕が行くのは東京の大学だよ。

菜緒:…○○〜!!ギュッ

○○:ちょっと…死ぬ死ぬ……

史帆:ちょっとこさかな!それ以上強く抱きしめたら○○君死んじゃうから!!

菜緒:このアホは私にそんな大事なこと秘密にして〜!!

○○:そのアホのことが大好きでたまらないのはどこの誰かな?

菜緒:ぐぬぬ…

○○:まぁでも家とかまだ決まってないし1度明日帰るのは本当だからね?

菜緒:家は私と一緒に住む以外認めないから!!

○○:まぁそれも含めてお父さんたちと話し合うよ。

菜緒:よっしゃ!パパに連絡しとこ!!

あ、そういえばお父さんとお母さんどっちも菜緒姉に甘いんだった。こりゃ一緒に住むの確定するやつだな…

美玖:じゃあ○○君が東京に引っ越してくるってことは私たちとも遊べるね!

○○:はい?

菜緒:なんでそうなるのよ!!

美玖:いや、今までなら菜緒が○○君のこと独り占めしてたけどこれからは菜緒が仕事の時でも○○君東京にいる訳だし?

史帆:それ私も思った!今度洋服買いに行きたい!!

京子:私は一緒にカラオケとか行ってみたいなー

陽菜:私は2人でお散歩したいなぁ〜

菜緒:もう!○○は誰にも渡さないから!!

○○:あははは…

姉は誰よりも僕のことが大好きみたい、けど僕はそんな姉が大好きです。

End

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