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ネットで実名活動することの功罪。ひろゆき勝間論争の行方、あるいは消せないタトゥーについて

はじめまして、Yasutaka Onoと申します。
noteにて、今回初投稿いたします。

あんたなにものよ?

ソフトウェアエンジニアとして活動。ゴリゴリとコードを書くのではなく、お客様との技術的な折衝、品質管理、他のメンバーに仕事を委託したりなど、ITコンサルタント的な働き方。

そして、普段はQuoraというQA式のSNSにて、実名で記事を執筆している。累計PVは33万人、投稿も351件とそれなりにアクティブなユーザーとの自負がある。

また、技術記事をQiitaにて投稿したり、あるいは自前のtech blogを立ち上げて記事を書くなど、それなりに実名を出してSNSをやっている側の人間である。

本題

で、本題は、ネットで実名をかざすことってどうなの?ということについて語りたい。

先史時代の論者

ネット社会が匿名主体であったことには、2chの貢献が大きい。つまりは、その管理人である西村博之氏による影響を大きく受けている。そのひろゆき氏と、2010年に、ネット社会での実名化について、大論争した人物がいる。勝間和代氏だ。
議論はYoutubeにもあるし、AERAにサマリー版が掲載されているので、詳しくはチェックして頂きたいが、

この議論の争点は、

匿名性こそが誹謗中傷や無責任な投稿の温床であり、実名を必須にしたらトレーサビリティの向上や、責任感が伴うことによる投稿品質の向上が見込める

ことの是非だ。かの議論から10年が経過し、ネットでの実名活動する、有名無名を問わず多くの人が登場しているので、実例も多くあるし、答え合わせにはうってつけではないか。

匿名性こそが誹謗中傷の温床である
→間違い。ネット上での誹謗中傷は、ハンドルネームのTwitterでも、また自分の主戦場であるQuoraでも変わりなく存在している。実名でも匿名でも、価値ある投稿する人はするし、無責任なクソリプを投げるユーザーも同様に存在する。実名によるレピュテーションリスクは、存在しているようで、存在しないのかもしれない。

・実名を使用することによるトレーサビリティの向上
→微妙。そもそも、その登録した名前が本当にその人であるかは確かめようがないし(成りすまし)、もし警察や法的機関に相談しようと思ったとしても、コストの総量に変わりはない。
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/smph/sodan/nettrouble/jirei/syozoken.html

上記、警視庁のサイトによる手順指示でも、
1.サイト管理者
2.サービスプロバイダ
3.警察
といった内容である。全く変わらない。

個人の実名活動のメリット

さて、上記は実務家と論者による上段での議論の答え合わせではあった。なので、総体的な議論であって個別の議論ではない。しかし、個人の活動としての実名にメリットはあるのか?フリーランスであれば案件獲得につながり、会社員でも副業に有利なのではあるまいか?

・エンジニアとして

自分は技術者であるから、その技術スタックの方向性と深さを証明するために、そして自己を振り返るためにQiitaや技術ブログにものを書いた。

今現在、Qiitaでは43本、技術ブログには91本の投稿をしている。その結果としては、怪しい業者からの怪しい誘い、自社サービスへの誘導、零細のスタートアップからの誘い、といった形で、見込んでいた成果は得られなかった。まぁ、やり方が悪かったのかもしれないが。

また、最近転職活動を行ったが、その際も別に面接官は個人の名前やブログ内容をチェックしていない。こちらが内容を説明することが多く、思ったほどに成果に直結しているという印象はなかった。もちろん、技術のアウトプットをしていない技術者よりも、熱心さをアピールできる利点があるのは言うまでもないが。

デメリット

やはり、レピュテーションリスクである。昨年の7月には所属会社の上位職の方から、直接的に注意を受け、Quoraでの活動を一時停止した(結局、復帰はできた)

また、実名で炎上した場合は、あることないことを根拠なく書かれてしまう。実際にソレをくらうと、けっこう心に響く。実際のレピュテーションもそうだが、精神のほうが参るかもしれない。

現代のインフルエンサーは「メディアの時代は終わりだ」「個の発信力の時代だ」という。一面事実だし、メリットも大きい。しかし、彼らはデメリットを語らない。物事には両面あるので、そこをしかと見つめる必要もあるだろう。

デジタルタトゥー

こちら、Quoraの名物ユーザーであるmikamiさんの投稿
Kouichi Mikamiさんによる「今日から見て先見性を感じるゲームソフトは何か有りますか?」への回答

文中の引用をすると、

これは正しく上記に掲載された「忘れられる権利」の論拠となっている主張そのものです。

こうしたネット情報による信用毀損を「デジタルタトゥー」と言います。

ネットでは比較的容易に個人の信用が毀損するし、その傷はネット上でずっと漂い続け、忘れ去られることがない。
まさに、体に刻印をつけるタトゥーのようである。タトゥーは物理的に隠しようもあるが、デジタルタトゥーの場合は、電子の海に漂う「情報」が素材なので、隠しようもない。

テクノロジーの進展の早さは目を瞠るものがあるが、その速度に比べるとユーザー側のリテラシーや自衛精神の向上は劣後している、と言わざるを得ない。

まとめ

・匿名と実名での投稿の質的変化は正直ない
・トレーサビリティのコストは下がらない
・実名のメリットは大きい、が育てる必要がある
・メリットは語られるが、デメリットは語られない。
・「デジタルタトゥー」は消えないのだ
・「個の時代」の倫理感・リテラシーが必要

Quoraでも色々と投稿しているので、よろしくどうぞ!

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