子どもに「当事者意識」を持たせるための3つの工夫
はじめに
ケガをした子どもにリハビリを指導するとき、いかに自分事としてリハビリを取り組んでもらうか?を考えています。自分のことなのにどこか他人事で、前向きにリハビリを取り組まない子どもが非常に多いからです。
これまで中学硬式野球チームや小中学生のサッカークラブ、現在のスポーツ整形外科クリニックで多くの子どもたちにリハビリの指導をしてきました。
どの現場でも共通して大事なことは、ケガをした本人が痛みの原因や自分の体の状態などをしっかり理解し、必要な運動を自ら進んで行うことです。
子ども扱いしない
私が子どもにリハビリを指導するときは、変に子ども扱いしないことを心がけています。「自分の体に責任持って、自分で治す」という当事者意識を持って前向きにリハビリをやってもらいたいからです。
子どもの理解力に合わせて分かりやすい言葉を使ったり、口調を柔らかくしたり、子どもの目線に合わせて話したりして高圧的な雰囲気を与えない工夫をしたうえで、こちらが舐めた態度で指導しないことを意識しています。
当事者意識を持ってもらうために実践すること
①体の状態を本人に聞く
ケガの具合や体の状態をどう感じているか?を必ず本人に聞くようにします。初めはうまく言葉にできず、受け答えに詰まることが多いですが、何回かやり取りを続けるうちに自分の言葉で伝えられるようになります。
子どもだからといって、「どうせわからないでしょ。」と思わないことです。子どもなりに感じることは絶対にあります。なるべく本人の口から症状や体のことを聞き出すことで、体の声に耳を傾けてくれるようになります。
②患者ファイルや必要な書類は本人に渡す
現在勤務するスポーツ整形外科クリニックにおいて、リハビリを終えた後の患者ファイルやエクササイズ用紙は必ずご本人に渡すようにしています。本当に些細なことなのですが、意外とすごく大事なことなのではないでしょうか?
その際に必ず、「自分のことだからね。1日でも早く良くなるようにさっき教えたことをがんばってやるんだよ。」というメッセージを添えるようにしています。能動的な姿勢がリハビリでは特に重要だからです。
③保護者に依存しない環境を作る
保護者が付き添いで来られることがよくあります。保護者の方に「近くで見てもいいですか?」と言われることがあるのですが、極力1人で行ってもらうようにしています。子どもが親を頼ってしまう環境をなるべく作りたくないからです。
保護者との距離感をうまく保って、能動的な姿勢を少しでも引き出すことを意識しています。
最後に
能動的な姿勢を引き出して、子どもに何かを教えることは非常に難しいです。ケガをしたときのリハビリ指導においても、いかに自分事として捉えてもらうか?が大きなポイントだと感じます。
様々な現場での指導経験を通じて、上記に書いた3つが非常に効果的でした。ケガをした子どもとしっかり向き合い、良い方向に少しでも早く進めるように指導の質をさらに上げたいと思います。