
プロテニスの海外ツアートーナメントに帯同して感じたこと
はじめに
フリーランスのアスレティックトレーナーとして活動する、德田晴宣(トクダハルノブ)です。プロアスリートのケア&コンディショニングや都内の大学パフォーマンスセンター、静岡県の野球振興活動、社会人野球チームなどに携わっています。
7月1日より約3週間、プロテニス選手のパーソナルトレーナーとして海外ツアートーナメントに帯同しました。
トップレベルのテニスを間近で見るなかで、勝ち負けが身体的要素だけではなく、精神的な要素にも大きく関わることを改めて感じさせられました。
テニス競技の難しさや厳しさをとても感じ、アスレティックトレーナーとしてさらに成長できる機会を頂けたことがとてもよかったです。
そこで今日は、3週間のサポートで感じた”マインドコントロールの重要性”について書きたいと思います。

自分から崩れない安定した精神力
どのスポーツにも選手自身で制御できないことが多くあります。例えば、相手選手の言動や審判の判定、天気、グランドコンディションなどは思い通りにいかないことがとても多いです。
もし思い通りにいかなかったとしても、すぐに冷静さを取り戻し自分のプレーに集中することが非常に重要です。
サポート選手だけではなく、各国から集まった選手たちの試合を多く見る中で、審判の判定や相手選手の言動などに腹を立てて、自分のペースを乱す選手を見かけました。
ほんのちょっとしたきっかけでリズムや流れを失い、劣勢に追い込まれるシーンを見たときに、
「自分から崩れない安定した精神力は本当に大事なんだな。」
と感じたのです。

ダルビッシュ選手が話していた、「メンタルはスキル」という言葉
このとき、以前ダルビッシュ選手がYouTubeに出演されたときに話していた言葉を思い出しました。
「メンタルは鍛えるものではなく、いかに受け流すか、というスキルになってくる。ネガティブな声がたくさんあったとしても、それを自分自身の声と思わないようにしています。
自分がどういう人間かを理解することが先だし、どういう価値があるかを理解するのも自分自身。」
自分がどういう人間かを自分自身が一番理解できないと、重要な局面で崩れかけた精神性を取り戻すことは難しいのではないでしょうか。
自分が制御できないことに感情が揺さぶられないことが大事で、そのためには日常生活からの訓練が必要です。
メンタルトレーナーに教わったトレーニング
私は想定外のことが起きたり、日々の生活でストレスを抱えたりすると、気持ちが少し乱れやすいです。
専門学生のときに授業を教えに来ていた東海大学のメンタルトレーナーの先生に相談したことがありました。
「感情が揺さぶられることは全く悪いことではなく、それをいかに早く取り戻せるか、がすごく大事だよ。人間だから、多少の浮き沈みがあって当然。後天的に身につけられるものだよ。」
その当時、このように話していただき、すごく心が救われました。
その先生から当時、教えていただいたトレーニング方法をいくつか紹介します。
①フォーカルポイントを決める
ミスをしたときや集中力を欠いたときにあらかじめ決めた対象物を注視し、気持ちを切り替える方法です。
大事なポイントはどこにでもあり、どのような環境においても注視できる対象物を決めることです。
私の場合、「時計の”6”」を注視することで、自分の心を落ち着かせます。
②気持ちを切り替える所作を決める
一定の動作を行うことで気持ちを切り替える方法です。
例えば、私の場合は
・帽子をかぶり直す(仕事柄、帽子をかぶる機会が多いため)
・靴ひもを結び直す
・トイレに入り、数回深呼吸する
などがあり、そのときの環境や状況に応じて使い分けします。
イチローさんは現役時代、塁に出たら必ずバッティング手袋を一度締め直して、気持ちを切り替えていたそうです。
あらかじめ所作を決めて、「心を切り替えるためのスイッチ」を作ることをおすすめします。
③そのときの感情を記し、内面と向き合う
そのときの感情をありのままに書き記し、なぜそのような感情を抱いたのか、向き合うことがとても重要だそうです。
先ほどのダルビッシュ選手の言葉にもあったように、自分自身の内面と向き合うことで自分がどういう人間かを理解できます。
自分がどういう人間か、を理解できるようになってからは、腹を立てたり、冷静さを失ったりする機会が圧倒的に少なくなりました。
まだまだ訓練が必要ですが、相手を知る前に自分自身をよく理解することがとても重要です。
おわりに
私の専門は体のコンディショニングであり、機能的な体を作り上げることが求められます。
その一方で、それだけではなく、必要に応じてメンタルサポートが必要になるのではないか、と強く感じさせられました。
世界を舞台に戦うアスリートにとって必要不可欠で、サポート選手が日々の練習や試合にどのようなメンタリティーで臨むか、をもっと観察しなければなりません。
精神的なことや物事の考え方も含めて、さらに抽象度を上げたサポートができれば、さらにいい方向に向かうのではないでしょうか。
今後の自分自身にも期待して、今回学んだことを次のサポートに活かせれば、と思います。

*
メールマガジンを始めました。毎月5日と20日に発行し、トレーナー活動で感じたことや学んだことをシェアしながら、少しでも実りある情報をお届けできればと思っています。
*
静岡県の三島市もしくは長泉町でケア&コンディショニングを行っています。
体の痛みや不調に悩むアスリートや一般の方々などで体を診てほしいという方はTwitterのダイレクトメッセージもしくはGoogleフォームよりお問い合わせください!
Instagramで日々のトレーナー活動などを発信しています。こちらもよければフォローしてもらえるとうれしいです。