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書評 A3

当時著者が身を置いていたテレビ制作現場でオウム報道に抱いた違和感を、職を辞してまで取材を重ね世に問うたのが『A』という映画。その後制作された映画『A2』も世間にほとんど無視されたことから媒体を月刊誌連載に変更、それをまとめて書籍化したものが本書だ。

その本書もあまり売れなかったらしい。
こんな名著を、初版から12年経った今頃になって、やっと私が発掘できたくらいだ。さもありなん。

ただのその年月のおかげか、私は著者の主張をすんなり受け入れられた。
他の人はどうなんだろう?
拒否反応を示す人が多かったことは頷けるが、風化が進んでいると思われる今は?
その辺り知りたいところではある。

それはそれとして、本書は本筋とは別の部分で唸ってしまったところがある。それは著者の仕事ぶり。
立ち入り禁止区域以外は全部探した、と思わせるほどの取材と資料読みの徹底性には、ただただ圧倒された。
今日日こんな人なかなかお目に掛かれない。

というか、この本もっと多くの人に読んで欲しいと素直に思う。
安いしね。

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