【地方創生】国土の均衡ある発展-理想的な目標が上手くいかなくなった理由と問題
この5年間で地方創生がうまくいかなかった理由の一つ「国土の均衡ある発展」と言う前近代の発想の開発は一体何を目的に始まり、なぜやめられないのかということを深掘りする。
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1.始まり
とあるサイトでは
と、説明されていた。
「東京一極集中」と「地方の疲弊」はバブル後の産物では無く、そもそも太平洋ベルト構想の頃からあったのでないかと疑問に思い調べたところ、第二次世界大戦真っ只中の1940年、「国土計画促進に関する意見書」に均衡ある発展という単語が出てきていた。既にこの頃から、都市部と地方の格差が問題となっていたのだろう。
更に終戦後、三大工業地帯が急激に発展したが、その他の地域との格差が生じ、それを埋めるため、1960年に太平洋ベルト地帯で分散しようという発想が出てくる(※2)。そこでも地域間の均衡ある発展を図るという表現がある。
戦前から、地域格差を埋めようと時代毎に施策や対象を変えながら70年以上格差是正というものをやり続けてきている。
2.問題点
問題はその是正の方法。とにかく公共事業よる社会インフラの整備に集中した。
インフラ整備は需要予測をしっかりして、受益者負担で行われる分には問題ないのだが、国も国で、需要が満たされてもなんだかんだ目標値を引き上げ、他の地域と比較し、まだ足りていないところがあるなど延々と事業を続けるている。
地域も地域で、真に必要なインフラなのかという検討なしに空港、新幹線しかり、他にはあるのにウチにはないからという、需要予測に基づかない、不公平感で要求をする。
戦災以後、高度成長期に満たされたインフラ投資をその後も思考を変えず、要否では無く、足りないものがないという公平感を求め続けた結果無駄な投資が増え続けているという構図に陥る。
国も結局、国土開発という本来目的と程度があるはずの事業を、地域に関与して影響力を維持するための利権の口実として使い続けようとしており、地域も国からお金が落ちてくるのを待っているという、お互いの甘えの構図。
この手の問題点は以前より散々言われ続けているが、地方創生もこの利権問題を超えて解決できるものではないことを、東京一極集中の是正というキーワードで再び掘り起こした。
3.現代の地方創生において
地方創生は社会構造問題だから、一担当大臣が解決する様な話ではなく、地方自治、国土開発計画、税制、経済振興計画、人口計画、福祉政策、これらを改革していって、その結果改善するものであることを改めて明確にした状況。
国費を補助金としてばらまいて、民間企業の短期的なビジネスとして解決する様な話ではないことは言わなくても明らかだ。
均衡ある発展は美辞麗句で聞きざわりが良いため広く使われた結果、国・自治体両方に財政悪化をもたらし、地域の国依存を強めるという悪循環に陥った。
財政の自立に基づく地方分権が進まず、結果的に東京一極集中を加速させるという当初の目論見の真反対の結果を招き、国全体の衰退に拍車をかけるという目も当てられない惨事を生み出している。
地方自治体の破滅をもってして甘えの構図の限界に気づくというのでは、北海道夕張市の如く、国民が悲惨な犠牲を払う事になるのは明白だ。
そうなる前に明治時代からの中央集権型国家経営モデルから抜け出すべきであるが、その勇気を今の日本人は持ち合わせているか。
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格差の是正についての分析は、以下の投稿を。
この5年間の地方創生事業の失敗の理由の詳細は、以下の投稿を。
また、公務員から見た国土の均衡ある発展の弊害については以下。
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