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内なる声に耳を澄ませて 「モキシー」と「トール・ガール」が映し出す、ありのままの輝き

最近、心が疲れていた。誰かが死んだり、騙されたりするようなネガティブな感情が渦巻く作品を見る気力がなくなっていた。そんな中、ふと出会った2つの作品。「モキシー」と「トール・ガール」。この2作品を見て、「これだ!こういうのを求めていたんだ!」と心の底から感じた。

「モキシー」― 内なる炎に火をつける物語

「モキシー」は、自分のことを大切にしていいんだという考えを深く考えさせてくれる作品だった。主人公のヴィヴィアンと親友のクラウディアが内気で目立たないタイプだったことも良かったなぁ。なんとなく、思春期で周りの声をやたらと気にしていた自分自身の姿を見ているみたいで。

社会からの価値観の押し付けや、「気にしすぎだよ」という一見優しそうで実は無責任な言葉。そんな周囲の態度に戸惑う彼女たちの姿に、自分自身の経験が重なった。どう対処していいかわからない、そんな葛藤が見事に描かれていて、「そう、こんな風に悩んでた〜」と思わず頷いちゃう。

特に印象的だったのは、多様なバックグラウンドがさりげなく描かれている点!クラウディアの、親からの移民世代だからこその重圧とか、目立つことへの恐れ。それぞれの登場人物が持つ背景が、さりげなく、しかし確実に彼らの行動や言動、選択に影響を与えている。そして、ルーシーの存在。彼女の「顔を上げて生きていきたい」という言葉に、今もなお、背中を押されるような気がした。強くてかっこいい彼女の姿に、憧れと同時に、自分もそうありたいという思いが湧き上がってくる。

ヴィヴィアンの母親リサの言葉も忘れられない。「やり方を間違えたこともあった」というセリフ。この一言に、人生の真理が詰まっているように感じた。間違えることを恐れすぎてはいけない。大切なのは、間違いを恐れずに、守るべきものために闘い続けること。そんなメッセージを感じ取った。

この作品から、自分らしさを大切にすることの重要性を学んだ。周りの期待に応えようとするあまり、本当の自分を見失わないこと。それが、この映画が教えてくれた最も大事なことだなぁ。一人一人が違うからこそ、世界は豊かになる。そんな当たり前のことだけど忘れちゃいそうなことを、改めて心に刻むことができた。

「トール・ガール」― コンプレックスの受け入れ方

「トール・ガール」も、また違った意味で心に響いた。この作品が教えてくれたのは、コンプレックスの受け入れ方。主人公の背が高いことへのコンプレックス、それは変えられないもの。だからこそ、受け入れるしかない。この単純だけど重要な真理に、はっとさせられた。

パーティーでのスティグの言葉には、人間の多面性が見事に表現されていたなぁ。その場面を見て、人の多面性がすごく出ているし、こいつ最悪だなとも思った。誰しも、一面的な存在ではない。良いところも、悪いところも、すべてひっくるめて自分。(とはいえ彼はちょっと調子に乗りすぎたと思う。ピアノ楽しそうに一緒に弾いてたじゃん。)

コンプレックスの受け入れ方って、誰かの何気ない一言がきっかけのことって多々ある気がする。長年抱えていたのに突然受け入れられるようになる感じ。そんな経験、誰にでもあるのではないだろうか。私自身、ある一定のときまで前髪ぱっつん&横髪(触覚?)必須、ケープで固めて顔のサイドやおでこが出ないように細心の注意を払っていたけど友達の一言で受け入れて、今や前髪センターパートである。そんな経験を思い出し、懐かしさと共に温かい気持ちになった。

この作品から、コンプレックスとの受け入れ方を学んだ。変えられないものは受け入れる。そして、それを自分の個性として活かしていく。その姿勢が、自分にとってちょっとした自信になったり、心無い言葉に対して闘う姿勢をくれるんだろうなぁ。

映画との新しい出会い方

これらの作品を観たあたりから、私は映画との向き合い方を変えた。レビューを見ずに、まず自分の目で確かめること。これが、新たな発見につながってる気がする。

世間で絶賛されている作品が、自分にはイマイチだったり、逆に評価の低い作品に心を奪われたり。そんな経験を重ねるうちに、「もしかしたら、自分にとっての名作を見逃しているのでは?」という思いが頭をよぎるようになった。

「トール・ガール」は、まさにその典型だった。英語圏のレビューサイトでは散々な評価。でも、今の私には心から元気をもらえる作品だった。見る前にレビューだけで判断していたら、こんな素敵な体験は得られなかっただろうな。

日本語のレビューサイトでは中間から高評価が多かったのも興味深かった。文化の違いや、見る人の価値観によって、同じ作品でもこんなにも評価が分かれるのか。そう思うと、映画の魅力がさらに深まった気がした。

結局のところ、映画は個人的な体験。一般的な評価は参考程度に。自分の心に正直に向き合うこと。それが、本当の意味で映画を楽しむコツなのかもしれない。

この経験から、自分の目で確かめることの大切さを学んだ。他人の評価に惑わされず、自分の心に正直に生きること。それが、この2つの映画を通して学んだ、一番大きなことかもしれない。

映画には、私たちの心の奥底に眠る感情を呼び覚ます力がある。「モキシー」と「トール・ガール」は、まさにそんな体験をさせてくれた。自分らしさを大切にすること、多様性を尊重すること、コンプレックスと向き合う勇気。そして、自分の目で見て確かめる大切さ。

これからも、心に響く作品との出会いを大切にしていきたい。そして、その感動を誰かと分かち合えたら、こんなに幸せなことはない。どんな作品でも、きっと見る人の中で特別な意味を持つはず。だからこそ、恐れずに新しい作品に飛び込んでみる価値がある。

皆さんも、マイリストに登録したもののレビューサイトで星3以下で後回しにしている作品はありませんか?もしかしたら自分にとってめちゃくちゃ大切な作品との出会いになるかも。

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