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人口3000人の田舎町に、ハレの場をつくるということ。"日常百貨店"をはじめます。

はじめまして!
徳島県牟岐町の駅前交差点で不定期のコーヒースタンドを営む花野と田中です。

写真:牟岐町ウェブメディア『MUGIZINE』より

2025年5月に『日常百貨店 灯閑』をはじめます!

日常にたくさんの「たのしい」をつくることを目的に、 これまでやってきたコーヒースタンドに加えて
・セレクトショップ
・シェアキッチン
・ホテル
の4つの機能をあわせもつ場をつくることへ。

このプロジェクトにたくさんの人にぜひ参加してもらいたい、と思い筆をとりました。 長くなりますが、お付き合いください。


このまちに生まれたから。

わたしたちは牟岐町出身で、高校生までこのまちで過ごした。

牟岐町は有名観光地でも、特殊な産業がある地域でもない。

「何か特別ここが好き!」というところがあるわけではないが、生まれ育った場所だからこそ、この土地やこの場所に暮らす人々への愛情が育った。

私たちが幼少期の頃の人口は5000人程度。市町村合併をしなかった小さな行政区だからこそ、まちというものの輪郭がはっきりしていたのだと思う。

すれちがう人には挨拶をするし、どこに誰が住んでいるかもぼやっとわかる。夏の水泳の授業はまちの中心に流れている川にいく。そんなまちが牟岐町だ。

2人とも高校卒業後は大学に進学し、花野は建築、田中は地域計画を学びながらも牟岐町で何かできたらという思いを共通して持っていた。
たとえば、まちにある離島で図書館をつくる企画をしたり。自分たちのできる範囲で、なにかできないかと動くのが難しいながらも楽しかった。

一方、それらの活動が人口減少やまちの産業に直接的な影響を与えるわけではなく、帰省するたびにまちの人口、お店の数は減っていく。このままだとまずい、という実感が強くなっていた。

まちのツボを見つける

社会人になってから少し経ったころ、花野が「まちの交差点でなんかやりたい」といいはじめた。 

彼曰く、ここはまちのツボらしい。
ここでなにかをしたら、まちにいい影響が与えられる、面白いことになるんじゃないか。そんな想像ができた。

構想当時の資料。赤く囲っている場所が物件がある「ツボ」の場所。

そこからどんな風景を生み出したいか、印象深い「シーン」を起点に何をするかを考え始めた。牟岐の野外でコーヒー飲むのって最高、とか、牟岐町出身ですと自己紹介するとき、とか、ポルト(まちのスーパー)に行ったら誰かに会えること、とか。

最終的に、すぐに実験ができるコーヒースタンドをやってみることにした。

並行して、町に住む仲間で行政職員の中山くんがちょうど交差点にある物件の活用の相談を持ちかけてくれていた。

物件のオーナー・勝瀬さんは、元々旅行業をこの場所で営んでおり、前のオーナーからは「まちのために使ってほしい」と譲り受けたそう。
「使わせてください」とお伝えしたら、こころよく、なんと費用なしで使わせてくれた。

そして、付近のスーパー・ポルトの理事長坂本さんは、駐車場を「好きに使い」と解放してくれた。

「やりたい」と声をあげたら、本当に多くの人が応援してくれた。


挑戦を応援し合う関係

東京・大阪とまちから離れたところに住む私たちがコーヒースタンドを実現できたのは、オーナーやポルトの理事長のほかにも、町に住んでいる仲間の存在が大きかった。

ちょうど交差点でなにかやりたいね、と話し始めたころから、牟岐で挑戦をはじめる若者メンバー5人があつまりお互いに応援し合える仕組みを作りたいという話も並行して進めていた。

牟岐町の仲間たち。「一〇八°」という共助団体をともに立ち上げた。

相談しあえて、応援し合える。そんな仲間のチームの支えもあり、コーヒースタンドの構想から1ヶ月半もかからずにオープンできた。


まちに、ひとときの希望がつくれる

2023年1月3日。
一番はじめのコーヒースタンドの風景は、今でも忘れられない。

帰ってきた同級生たち、二十歳のつどいを終えた振袖を着た子達や、かなり上の世代の方々から、わたしたちがならっていたピアノ教室の先生まで。
ぜんぶで、160人もの人がきてくれた。


「まちの希望やわ」といってくれた、おっちゃん。
「こんな場所があるなら帰ってきてもいいかも、とおもう」と同級生。
ハレの日のひとときをつくることで、まちの変化の種になる。そう確信できた。

もっと、日常をたのしめるまちへ

そこから2年、不定期でコーヒースタンドを開催してきた。1000人を超えるひとが集い、「たまに開くコーヒースタンド」は定着したように思う。

その間、牟岐町に住む若者が増えたり、何かしたいという大学生の関わりも生まれているという良い変化が少しずつ起きてきた。

コーヒースタンドをはじめて2年経った今、改めて牟岐町がどうなったらいいか、腹の底から考えた。

不便だけれど、この町に住んでてよかった。生まれてよかった。
そう思えるようなまちにしたい───。

私たちが幼少期から自然に感じていた町への愛情は、次の世代に引き継ぎたい。

そのためには、もっとたくさんの挑戦があふれていて、たくさんのたのしみを生む仕掛けが必要だ。

挑戦といっても大それたものを指しているわけではなくて、「夏はかき氷屋さんをやってみようかな」とか、「つくったものを売ってみようかな」とか、自分の小さな「やりたい」を気軽にできることを目指したい。

私たちの挑戦ををたくさんの人が応援してくれたように、次は私たちがたくさんの挑戦を応援し、たのしみをつくれたら。そんな思いから業態のアップデートの構想に至った。


日常百貨店とは

日常百貨店という名前には、日常をたのしむためのワクワクお出かけできる場所という意味を込めた。

昔、徳島の場合は徳島駅前の百貨店「そごう」に牟岐町から出向くという構図だった。今ではそごうもなくなり、お出かけ場所はショッピングモールになっている。

百貨店というウキウキした響きに乗っかって、今度は徳島市内や他県から、牟岐にお出かけしにきてほしい。

たのしいは、「出会い」や「変化」だと私たちはとらえている。

関係が固着化したり、出会えるものが限られていたり。まちにノイズがないことはいい意味では落ち着きをもたらす。けれど、その結果「ワクワクの外部化」は避けられないと感じている。

外部化されている場所は都市部のお出かけ場所や、インターネットの世界。
まちの中に一箇所だけでも、「出会い」や「変化」を感じられる場所をつくったら日常に「たのしい」が感じられるのではないか。

そのような出会いや変化が起こるのはこのまちのツボである「交差点」ならではだ。


日常百貨店のそれぞれのお店について

「百貨店」というからには、100のたのしいコンテンツが生み出される場であること目指したい。ここからは、日常百貨店のそれぞれの機能をご紹介。

1.セレクトショップ
牟岐町には飲食店が少なく、お家でご飯を食べるひとが多い。そのため、ショップには普段の食卓がたのしくなるような食品や調味料、器や台所用品を取り揃える。

そして、町には文化活動が根付いており、手工芸を楽しむ方々がいる。自分でたのしむという範囲を少し拡張して、まわりにもたのしいをおすそ分けできるような仕組みとして、ショップの販売棚に商品を置けるようにしたい。また、牟岐町に関わりがある方々のクラフトを置いたり、すてきなものを見つけたらPOPUPというかたちでまちの人にも出会いを共有したい。

町民やまちに関わるひとが店番を変わり交代でやったり、仕入れに口出ししたり。
自分専用の販売棚を持ったり。
「牟岐に行くついでにいっちょイベントやるか!」というくらいの気軽な気持ちでPOPUPもひらけるような、そんな場でありたい。

2.シェアキッチン
シェアキッチンでは、いろんなひとがやりたいことに気軽に挑戦することで、町内外の人もいろんな飲食を楽しむことができる、そんな場になればいいなと思っている。

わたし(田中)は、小さいころにまちのお祭りで「おにぎり屋さん」をしたかったけれど、その当時はできる方法がなかった。こんな場所が当時あったら…と想像する。
小さい子からどんな年齢の方々でも、ほんとうに気軽に「こんなことをやってみたい」ということが思い浮かんだらすぐやってみれるような町だったら、もっとたのしくなるはずだ。

3.ホテル
建物の2階部分・水回りを貸し出す一棟貸しホテルも同時にはじめる。
もともとこの建物は材木屋さんのご家族が住んでいて、いたるところのつくりが素晴らしい。一目みた時から、「宿泊やりたいよね」と話していたくらい、素敵な空間だ。

まちの中心部にあることから公共交通機関でのアクセスも良好。キッチンをつかって、地元の食材を使ってお料理をして食べたり、朝はまちの散歩をたのしめる。

4.コーヒースタンド(バージョンアップ!)
コーヒースタンドではこれまで通りのコーヒーの販売に加えて、牟岐町の山や海にピクニックができる「遊山セット」を販売予定。(徳島県では、遊山文化という山や海に節句になるとお菓子やご馳走を持って遊びにいく文化がある)
椅子とカゴをもって、観光地化されていない場所だからこその、そのまんまの良さをたのしめる。



以上が、まちにハレの場をつくる「日常百貨店 灯閑」の構想です。


資金・もの・パワーを募ります

これらの構想において、重要なポイントは「気軽に挑戦ができる」仕組みにするという点です。シェアキッチンの利用料は無料・小売の棚貸しについても安価に提供することを想定しています。そのため、初期費用を寄付と前売りチケットという形で募ります。(プロジェクトが実現可能な最低調達額:150万円)

寄付・前売りチケットの販売はこちら

使わなくなった什器を提供いただけることや、机や椅子などの店舗什器をつくるDIYに参加することなどで応援いただけることも大歓迎です。


私たちが言い出しっぺですが、いろんな人の手でつくり上げていけたら最高です。

一緒に楽しむ運営メンバーも大募集中
ご興味がある方はこちらからご連絡ください:https://lin.ee/XoBQWpV


最後に

この場所をこころよく貸してくださる勝瀬さん
背中を押していただいたポルトの坂本さん親子
たくさんの灯閑を応援してくれている周りのまちの方々・友人・家族
一〇八のななこさん、りゅうじくん、拓真、大西さん
この場所を一緒に楽しむ仲間の八木ちゃん、えみちゃん、みうちゃん、さんくん、きょうちゃん

本当にありがとうございます。

この構想が実現できるよう、一緒にがんばれたら嬉しいです。

「灯閑」という名前は、勝瀬さんがこの場所で営み、まちに愛されてきた「東観(トウカン)サービス」の名前を継ぎ、「まちにあかりを灯す」という意味でつけました。この活動を通じて、牟岐町にあかりを灯しつづけます。



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