【短編小説】Hour Hands
朝、歯ブラシの手を止めて、kはふと、陶製の洗面器に落としていた視線を上げた。
するとまず、大学入学前に浪人した男と目が合った。それから、工学部の修士二年目で留年した男とも目が合って、電子情報工学で博士号を取った男とも目が合った。彼らは一体の影に、諦めて安住することを受け入れたかのように、絶妙なバランスで集約されていた。
四角い顔に、広い額、痩せた頬。太い眉、細く吊り上がった眼。歪んだ鼻筋に、出っ歯を覆い隠すフグのような唇。電卓やゲーム機本体を分解しまくっていた少年のころから、