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12【10年以上続く事業】となるための事業計画作成法⑥~顧客に届く事業となるための分析を簡単にする方法(ペルソナ分析)

「私の住んでいる地域を元気にしたい!」そんなあなたの想いをサポートしたい!Мの行政書士・上杉哲哉です。(福島県会津若松市と栃木県日光市に在住しています)

事業とは、【誰かの課題を解決する】ことです。

前回は、この「誰かの」に注目し、事業のターゲットとなる顧客層を分析する方法について考えました。

今回はさらに、具体的に顧客の課題を想定するための方法「ペルソナ分析」
について考えていきましょう。

(1)ターゲットとなる顧客の痛みと想定した課題が一致していることが事業成功のカギ

前回は、TAMの値を解析することでターゲットになる顧客層を割り出す方法について考えましたが、そこからさらに顧客層の痛みを詳細に分析し、自分が事業で取り扱う課題と詳細まで一致していると、より事業の成功率がアップします。

この顧客の痛みをより詳細まで想定し、設定した課題を磨くこと「CPF(Costomer Problem Fit)」と言います。

CPFをしっかりと実施すればするほど、事業の成功率が上がっていきます。

しかし、CPFをしっかりと実施しないまま事業計画構想を進めてしまう事例も多く存在しています。

前回の事例でも学んだ、Apple WatchとGoogleグラスがまさにこれをせずに事業プランを作成してしまったことで、販売当初は苦戦していました。その後に、CPFを行い、事業プランを変更することで危機を乗り越えました(前回の記事のリンクを参照ください)。

大手事業者でも、事業を実現することを焦るあまり、前のめりとなり、CPFを実施しないまま事業に取り組んでしまうケースがあります。その結果、資金力のある大手事業者でも、事業を失敗させてしまうことがあるのです。

よってCPFを確実に実施しておくことがとても重要なのです。

では、具体的にCPFをするにはどうすれば良いのでしょうか?


CPFを行うために最初にすることはTAMで割り出した顧客層を詳細まで分析することです。顧客がいなければ事業が成り立たないので、顧客と想定する層が、本当に自分の事業で提供するサービスを入手したいか?事業で取り扱う課題を持っているのか?を確認する必要があります。

この顧客層の課題を分析する方法をペルソナ分析といいます。

(2)ペルソナ分析を実施する方法

ペルソナ分析とは、想定した顧客のイメージを具体化するために「30歳、男性、観光客」といった人物像を想定した上で、その人物がどのような痛みを持っているのか?どのような行動パターンをもっているのか?を想定することで、より具体的に顧客層の痛み分析する手法です。

前回学んだ、TAMでは、課題を抱える顧客層を想定する手法です。ここで割り出した顧客層をさらに深堀りし、その心情や行動に焦点を当てていく手法がペルソナ分析です。

TAMとペルソナ分析をすることで、顧客となりうるターゲット層がより具体化していきます。

では、どうやってペルソナ分析をしていけばよいのでしょうか?

まず、ペルソナを想定する上で一番重要なポイントは、よりリアルな人物像を描こうとすることです。

以下のように、設問に応える形で情報を収集・整理を行っていくと、顧客の人物像を描きやすくなっていきます。

★ペルソナ設定の為に必要な情報収集

①住所、名前、職業、性別、趣味、生活スタイル、現在の居住地、出身地など
②普段はどのような媒体から情報を集めているのか?最近気になっている話題は何か?
③どういう性格か?日々の出来事にどういう印象を抱きがちか?
④行動の特徴は?
⑤IT、スマホのリテラシーは?
⑥(BtoBのビジネスを考えている場合)どういった業務・仕事をしているか?

以上の点を踏まえた上で、事業計画策定の初期段階で設定した課題との整合性を取るために、以下の情報収取・整理を行っていきます。

⑦何を課題(不満、不便、不安)に感じているのか?
⑧何を達成したいのか?
⑨心の奥底秘めている想いはどのようなものか?
 (本音ではどう思っているか⇒コンプレックス、承認欲求など…)

以上のような質問に答える形で情報収集・整理をすることで、すでに設定してある事業で取り扱う課題が適切であるかどうかという判断をしやすくなるとともに、より本質的な課題としてブラッシュアップしていくことができるようになります。

ペルソナを想定して成功した事例として挙げられるのは、ホンダ技研を世界的自動車企業へと成長させたバイク「スーパーカブ」です。

【事例】本田技研 スーパーカブ

ホンダのバイク「スーパーカブ」シリーズは1958年に初代が登場し、2017年までに全世界で類型1億台を売り上げた大ヒットバイクです。

スーパーカブがなぜ売れたのか…それは、ペルソナの設定にありました。ペルソナという言葉さえなかった1950年代に、顧客の人物像を詳細まで設定した上で開発しました。

スーパーカブが想定した顧客の人物像…それは、そば屋の配達員でした。そば屋の配達は、オカモチを持ちながらの配達であったので、オカモチの中身がばらばらにならないよう、丁寧に運ぶ必要があったので、バイクでの配達は困難とされていました。しかし、迅速に出前し、体力的負担も減らしていきたいので、バイクを使えるならば使いたいというニーズが市場に存在していたのです。そこに目をつけ、そば屋の配達員のニーズをより詳細に描いたのでした。

オカモチを持つ配達員を想定して開発した結果、簡単にギアチェンジできる設定、またがりやすいデザインとなりました。社員一同が、常にそば屋の配達員の課題を想定しながら開発を進めたので、そば屋の配達員の課題のすべてを解決するバイクを開発することができたのでした。

結果として、そば屋の配達員にヒットしたバイクは、その実用性が新聞配達員などの他の業界の配達員にも口コミで広がっていったのです。バイクを業務用に使うユーザーの課題解決に対して汎用性を持ち始め、気が付けば、様々な業界を席巻しはじめ、爆発的ヒットにつながっていったのです。

このようにペルソナを設定し、ターゲットのリアルな人物像を想定しておくと、今取り組むべき課題が明確になり、課題の検討スピードを速めることにつながり、課題解決のためにするべきロードマップが描きやすくなります
ペルソナを設定しなければ、ターゲットが広くなりすぎて、今取り組むべきことが不明瞭となり、課題の検討スピードが遅くなり、事業を始めることが難しくなっていきます。

特に事業を開始した時は、多くの仮定をしがちなので、まずはペルソナでできるかぎり顧客のリアルな人物像を描き「もっとも確からしい」ことに課題を絞っていくことが成否のカギとなります。


ーまとめー

(1)顧客の痛みと、事業で取り扱う課題が一致しているかを確認することが事業の成否につながる

この顧客の痛みをより詳細まで想定し、設定した課題を磨くことを「CPF(Costomer Problem Fit)」と言います。

CPFをしっかりと実施すればするほど、事業の成功率が上がっていきます。

(2)ペルソナ分析
CPFを実施するための分析方法としてペルソナ分析という手法があります。

ペルソナ分析とは、想定した顧客のイメージを具体化するために「30歳、男性、観光客」といった人物像を想定した上で、その人物がどのような痛みを持っているのか?どのような行動パターンをもっているのか?を想定することで、より、具体的に顧客層の痛み分析する手法です。

ペルソナを想定する上で一番重要なポイントは、よりリアルな人物像を描こうとすることです。

事業を始める時、事業を早くにカタチにしたい!という想いや、成功させたい!という想いから前のめりになり、顧客が見えなくなってしまうことが起こりがちです。

しかし、今回の記事にあるCPFを意識しておけば、前のめりになりがちな気持ちを抑え、顧客を想定した事業を思い描くことで成功にしやすくなります。

次回は、さらに具体的に顧客の痛みを思い描くための手法である「カスタマージャーニー」という手法について考えていきます!

最後までお読みくださりありがとうございました!


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