17【10年以上続く事業】となるための事業計画作成法⑪~価値提案のためのインタビュー方法【インタビュー相手の弟子になる】
「私の住んでいる地域を元気にしたい!」そんなあなたの想いをサポートしたい!Мの行政書士・上杉哲哉です。(福島県会津若松市と栃木県日光市に在住しています)
前回は、事業のターゲットが欲しているものを知るためのインタビュー方法、①インタビューのターゲット選定法について学びました。
今回は、インタビューする視点②「インタビュー相手の弟子になる」という視点について考えていきます。
自分が持っている先入観を捨てて相手の話を聴かなければ、相手がどんなに有益な情報を話していたとしても見過ごしてしまうことがあります。とはいえ、意識していても、自分の内にある先入観は簡単に捨てきれるものではありません。
そこで使う手法が「インタビュー相手の弟子になる」という手法です。この手法を用いれば、先入観の影響を最小限に抑えることができるといわれています。
それでは、相手から有益な情報を得るための視点ともいえる「インタビュー相手の弟子になる」という視点について考えていきましょう!
(1)「インタビュー相手の弟子になる」とは?
「インタビュー相手の弟子になる」とは、自分の持っている想定や思い込みをいったんわきにおいて、インタビュー相手に素朴な疑問や”そもそも論”とも思えるくらいの基本的な質問をし、相手に学ぶことです。
(「そもそも、なぜこの業務が必要なのか?」、「そもそも、なぜ業務が非効率なのか?」、そもそも、なぜ業務が非効率のまま放置されているのか?」など…)
そのような質問をする中で、「特に理由はないが、業界の慣習でそうなっているので仕方がない。」とか、「業界を牛耳っている大手事業者がいるから仕方がない。」など、その業界特有の状況や課題などが見えてきます。
このような基本的な慣習や常識は、実は何年もその業界にいなければわからないことが多いのです。というのも、その業界では当たり前になりすぎていて、だれも言及することが特にないからです。よって、新規参入者にとって、あえて聞かなければわかりにくい情報ともなっているのです。
こうした情報を得るためには、相手に教えを請うくらいの気持ちでインタビューしなければならないのです。
具体的には、以下のような流れで聴くことで、自らの先入観の影響を押さえ、相手から業界の常識ともいえる情報を手に入れることができるようになります。
「教えを請う」⇒「根掘り葉掘り聞く」⇒「確認する」⇒「話の中から質問を見つける」
(2)インタビュー相手の弟子になるためのステップ1「教えを請う」
言語化されていないところも含めて、師匠から学ぶような思いでインタビュー相手から学ぼうとする姿勢が大切です。
特に、インタビュー相手は、「日々の活動」、「業務(タスク)」、「作業(オペレーション)」の専門家ですが、それを言語化することには慣れていません。
そこで、言語化することはインタビュアーの仕事であることを意識しておく必要があります。相手が言語化できるように質問を準備してインタビューに望む必要があります。インタビュー相手が教えたくなるような質問であればあるほど、有効な回答を得ることができるようになります。
(3)インタビュー相手の弟子になるためのステップ2「根ほり葉ほり聞く」
インタビュー相手から情報を聴きだすためには、相手のペースを崩させないようにすること…つまり、聴くことに専念することが大切です。
そのための技法として、イエスかノーで答えられない「オープン・クエスチョン」を投げかけて、インタビュアーがしばらく黙るという手法があります。
相手が答えられないと、間を埋めようとしてしゃべりだしてしまうことがありますが、これをすると、相手が考える余裕をなくしてしまい、必要な情報を引き出せなくなります。
インタビュー相手は、自分の業務で行っていることを言語化することになれていないことが多いので、相手の考える時間を持てるように余裕をもっておく必要があります。
もし相手が、質問内容がわからなければ、質問内容に関する質問をしてくることが多いので、そこで初めて回答することがベストです。相手に考える余裕をもってもらえれば、より深い回答を得ることができるようになります。
また、さらに話を引き出すための手法として「適度な相槌」があります。「なるほど、それは興味深いですね。もっと詳しく教えてもらいますか?」と、相手がさらに話したい気分になる答えを返すと効果的です。
相手が話しやすい環境を作ることができれば、インタビュー相手は普段、自分の行動や業務について深堀しているわけではないので、話している中で、自分の行動や業務に関していろいろと気が付くようになります。
「今、こうやって話していて気が付いたんですけど、実は…」というような話をどれだけ引き出せるかがポイントです。
(4)インタビュー相手の弟子になるためのステップ3「確認する」
インタビューしているうちに、相手の発言を自分なりに解釈してしまい、自分勝手な解釈を基に、事業を組み立ててしまう一人合点をしてしまう間違いがよく起こります。
そのような間違いを防ぐためには、傾聴しながらも、要所要所で相手の話している内容を確認する必要があります。
方法としては、相手のいったことをそのまま繰り返して発言をさらに引き出す「リピート」、要点をかいつまんで確認する「要約」、相手の言葉を自分の言葉に置き換えて確認する「パラフレーズ」などがあります。
確認作業をすることでインタビュー相手は自分の話をしっかり聴いてくれていると認識するので、より効果的なインタビューになる可能性がアップします。
(5)インタビュー相手の弟子になるためのステップ4「話の中から質問を見つける」
事前に質問を準備することも大切ですが、さらに大切なことはインタビュー相手の話をじっくり聴き、新たな質問を見つけることです。
じっくりと話を聴いていれば、おのずと新しい質問がでてきます。その中から次の質問をして、またじっくり聴くという繰り返しをすることで相手がより自分の内に秘めている想いや経験を言語化しやすくなっていきます。結果としてより有効な情報を集められるようになります。
インタビュー相手が内面に目を向け、それを言語化できるようにするための質問スキルは、限られた時間を最大限に生かすために重要です。質問力を向上させることが、インタビューをより効果的にするための鍵となります。
【次回は、特別回として、質問力をアップさせるための4つのポイントと質問リストを学びます】
ーまとめー
今回は、インタビュー相手から有効な情報を引き出すたに、「インタビュー相手の弟子になる」という視点について考えました。
インタビュー相手が当たり前に考えている行動や業務が、実は新たに参入する者にとっては有益な情報であることが多いのです。常識となっている行動や業務を言語化させるために「インタビュー相手の弟子になる」という視点が重要です。
「教えを請う」⇒「根掘り葉掘り聞く」⇒「確認する」⇒「話の中から質問を見つける」
このプロセスを通じて、相手から聞く姿勢を大切にすることで、有益な情報を引き出せるようになっていきます。
相手が自分の思いや行動、業務を言語化しやすい環境を作るためのプロセスです。
次回は特別回として、今回の記事で出てきた有効な情報をひきだすための「質問力」について考えます。
最後までお読みくださりありがとうございました。