「昭和のキックボクシング①」白黒・改訂版を読んで

「昭和のキックボクシング①」
白黒・改訂版
著者 TAKASAN
2024年1月25日

どこかにあるはずの情報、誰かが持っているはずの情報、団体が管理しているはずの情報

確かに探せばあるかもしれない情報

本来、何らかの団体が存在している/いたのであれば、しかるべき手順でその業務/活動内容は記録保管されるべきものだと考えます。

歴史がないという事は、過去がない、自分たちの活動が無かったことにもつながってしまう事です。

しかし、そこに何らかの問題、場合によってはそもそも記録管理の概念が十分ではない、団体の末期にそのような余裕がない、という事などがあり得ます。人間が関与する以上、人間関係上の問題で適切な情報が残らないこともあるのかもしれません。

複数の人間が情熱を傾けて、特に選手がまさに命を削って戦った競技団体の記録が、その選手の記録が、消失することを防ぐためには少しでも早い段階で情報の収集/整理、記録化を進める必要があるでしょう。

キックボクシングと言う、一定の選手数、関わった人間の数がある格闘技のジャンルは、多数の団体が設立されて消えていく、という特徴的な面があると感じています。

統一的な管理機構(コミッション)があればよいのかもしれません、ただ門外漢としてはそこまでの事情は分かりません。

その特徴的な流れ上、既に数十年に及ぶ歴史があるのに、日本国内では十分な情報の整理はなされていなかったと感じています。(私の勉強不足での誤認であればご容赦ください)

本来なら、適切な権利、義務を持った団体が50年史、100年史、を作っていくべきなのでしょう。

そんな中、地方在住の研究家であるTAKASAN氏は、プロの研究家としても恥ずかしくない量の資料、調査結果をもとに、一連の著作を個人で出版されています。

もちろん、誰がやっても同じですが古い情報を収集/整理する過程で、100%正しい結果になるとは言えないかもしれません。

ただ、圧倒的な資料の量、調査量、格闘技者としてのコネクション、そして研究にかける情熱、その情熱が更に広げていく人の輪。

個人の感想としてですが、それらにより国会図書館に残すべきでは無いか、と思う品質の記録がまとめられています。

例えばある団体の設立趣意書。

それが無くても試合の記録は残るかもしれませんが、当時の状況を正しく認識し、より歴史を立体化させるために、このような情報が残っているほうが確実に良いでしょう。

現在活動している各格闘技団体において、このレベルの情報収集/整理はされているのでしょうか。

格闘マスコミがインターネット上に記録を残している現状とはいえ、団体の正史は作成されているのでしょうか。

TAKASAN氏の著作は直接正史にはなりえないかもしれませんが、後世の研究家はこの著作に頼らざるを得ない状況なのでは、と想像しています。

今現在はこれらの研究/出版においてTAKASAN氏は、経済的にも評価的にも十分なものは得られていないかもしれませんが、必ず後世では評価を得られると信じています。

なぜなら、まとまった一定の信頼性がある資料はこれしかないでしょうから。

TAKASAN氏の今後のご活躍が続くことを願ってやみません。

<参考Amazonでの販売URL>
https://www.amazon.co.jp/s?i=stripbooks&rh=p_27%3ATAKASAN&s=relevancerank&text=TAKASAN&ref=dp_byline_sr_book_1

2024/2/12(月・祝) 誤字訂正、文面一部修正

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