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サウンドバー Sony HT-A5000を買ってみた。

 最近DIYでテレビを壁掛けにした計画の一環で、新たにサウンドバーを購入してこれも壁掛けにしようと目論んでいた。
 最初は手持ちのスピーカーを繋いでそれなりに満足していたのだが、やっぱりどうせなら、もうちょっと音響を楽しみたいという欲求に負けた。
 どうせならのどうせ・・・は何の根拠もないが。

サウンドバーにも色々あって…

 ガジェット系ユーチューバーの動画で様々なサウンドバーが紹介されているのを常々見ていたからそれなりに知識の蓄積はあった。それでも改めて色々なメーカーのサウンドバーを調べてみると、いやぁこりゃ悩む。
 値段もピンキリ、機能も様々。ただ音が出るだけのものからサラウンド出来るものまで、さらには別置きのサブウーファーやサラウンドスピーカーをセット出来るものがあったりして迷う。

 どうせなら音質が良いものがいい、どうせならサラウンド出来た方がいい、どうせならバーチャルなサラウンドでないホンモノのサラウンドの方がいい、という具合に妄想がどんどんエスカレートしていく。
 しかしその一方で所詮サウンドバーという思いもある。

気になった機能

 様々見ていく中で個人的に興味を惹かれるワードに遭遇した。それはソニーが提唱する360 Spatial Sound Mappingというものだ。長いので360SSMと言うことにしよう。
 これはサラウンドスピーカーを置く必要があるが「その外側に存在すると仮定した最大12個のファントムスピーカー(仮想音源)が作り出す音の波面を再現するという仕組み」という独自の技術だそうだ。何だか凄そうじゃないか。
 サラウンドスピーカーが無くてもあるように錯覚させるバーチャルサラウンドとは異なり、スピーカーの存在を感じさせない広い音場を作るところがミソだ。
 使われるサラウンドスピーカーはワイヤレスだから、スピーカー配線は要らず、電源さえ取れれば良い。

 サラウンドの必要性に悩んだ挙げ句、最後はえいやっ・・・・と購入ボタンを押したのは言うまでも無い。散財もいいところだ。
 しかし元々サウンドバーの設置は構想のうちだったし、想定と違うのは予算だけだ。別にいいじゃないかという悪魔の囁きが耳元で聞こえ続けていた。

購入したもの

 最終的に選んだのはタイトルにもある通りソニーのHT-A5000だ。

長過ぎる!

 型番からも分かるように、単なるサウンドバーではなくてホームシアター(HT)用のスピーカーという位置付けのようだ。サウンドバーだと思うとその値段は常軌を逸するものだ。見かけはサウンドバーだがちょっとしたAVアンプと思って良い。 360SSM目的なのでサラウンド用のSA-RS3Sも併せて購入している(サブウーファーは買わなかった)。

設置と設定

 本製品には壁掛け設置のために必要なネジ位置を示すテンプレート紙が同梱されている。これは何気に有り難い。テンプレート紙を壁に張ってネジ位置をポンチでマーキングし、ドリルで下穴をあけた。壁は厚さ12mmの合板なのでネジが貫通してしまうため、裏から2x4の端材を当ててネジを取り付けた。そこに同梱のL字ブラケット金物を取り付けるだけ。ブラケットとサウンドバー本体は付属のネジで固定する。

壁に設置してみた

 さて、無事に設置が終わり、初期設定画面の指示通りに設定をしていく。難しいことは何も無い。サラウンドスピーカーとの接続設定とソフトウェアアップデートに多少待ち時間が掛かったが、サラウンドの調整は30秒程で終わる。
 そして、設定の最後に流れた360SSMのデモを耳にするや思わず感嘆の声が漏れた。もちろん漏らしたのは私自身だ。
 音がふわっと広がって部屋全体を覆う。スピーカーの存在は見事に消えていた。

360SSMの実力

 良い。実に良い。
 音の解像感や迫力は我が家に既にある本物のホームシアターには及ばないまでも、六畳間程度と空間が狭いためか音への包まれ感はホームシアターを超えている。確かにスピーカーは消えていて、音の出元はどこからとも言えない。動きのある音は上下方向も含めてぐるぐると回る。
 強いて言えば、音を出している動くオブジェクトの位置がハッキリと認識できる訳では無い。斜め上のこの位置と特定は出来ないが、斜め上のこの辺り、とまでは言える。それがまた包まれ感を生み出している。
 天井にスピーカーは無いが、上の方からも音が聞こえて来る。通常のAtmosの場合は当然ながらスピーカーのある位置が音の出る場所となるが、360SSMでは天井が取り払われたかのようだ。
 サウンドバーの設置位置より明らかに音の重心は上にあって、それが故に画面から音が発せられているかのように感じる。
 これを書いていてふと思い出したのだが、これYAMAHAのAVアンプがその初期から採用している音場シミュレーションと似てはいまいか。アルゴリズムは恐らくかなり違うが、結果は似ている気がした。YAMAHAの場合は壁の反射をシミュレートするのに対してソニーのこれはスピーカーの位置をシミュレートしている。最終的にはどちらも劇場での聞こえ方をシミュレートすることになるのだ。

機器の接続

 HT-A5000にはHDMI入力端子が一つだけあるので、そこにAmazonFireTVを接続する。上位機種のHT-A7000なら2つのHDMI入力ポートがあるから、ここは悩んだところだ。やはり2つあったほうが良い。でも、価格面での折り合いを考えてしまった。

 接続したFireTVでAmazon Prime VideoやNetflixの動画を再生をしてみる。
 室内の壁が取り払われたかのような広いサウンドステージのお陰で、自然とストーリーに溶け込める。スピーカーが鳴っている感じは皆無で、鑑賞の邪魔にならない。
 もちろん、分析的に音を聞けば様々あると思われるが、音を分析したいのではなく映画を見たいのだから十分及第点だ。
 もっとも、まだ音量をさほど上げてみていないので、音が大きくなったときの挙動については未知だ。単に音量を上げても、映画館のようなパリッとしていて、かつ、ドスンとくる感じは望めなさそうではある。ドスンの方はサブウーファーを追加することで改善されそうだが、それによって本体の余力がどれだけ増すのかは今のところ分からない。

操作性

 Amazon FireTV Stickを繋いでみて分かったのだが、最新のリモコンだとテレビのオンオフから音量の増減までこのリモコンで出来る。つまりテレビ放送を見ないのであればリモコンひとつで済むということだ。これは便利。
 実際テレビを見る機会は少ないから快適極まりない。
 我が家の環境で残念なのは、テレビがeARC非対応なので、テレビにブルーレイなどを接続しても最新のデジタルサラウンドをサウンドバーと連携出来ないことだ。

サラウンド一般について

 映画やドラマのサラウンドは、殊更に音が聞こえてくる方向が分かる必要は無く、場の雰囲気が感じられるかが肝要だ。その点ではDolbyのデモのような音が跳ね回る効果を期待してはいけない。実際の映画では音の移動よりも自然なアンビエンス音による空間再現の方が重要なのだ。

使ってみての感想

 ソニーのサラウンドバー HT-A5000 を使い始めて数日が経過した。
 その結果、映画やドラマの視聴には全く問題無いことが分かった。手軽に使えて潤沢な音に包まれるサラウンドに慣れてしまうと、普通のテレビが出す音には戻れない。また、普通のサウンドバーのように、スピーカーから音が出ている感じが全くしない。実に快適だ。
 ただし、調子に乗って音量を上げてしまいがちなため、就寝しようとしている家人へ配慮を忘れないようにしなければならないのが難点と言えば難点だ。

おわり

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