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Netflixドラマ『地面師たち』

 人の土地を勝手に売って売却代金を懐に入れるのは、もちろん簡単ではない。簡単でないからこそ騙しがいがあるし、騙されやすいとも言える。まさかそんなはずが無いと思う買い手の油断の隙を突くのだ。架空の土地売買に絡んだ詐欺師を地面師と呼ぶらしい。地面師は独りで成し遂げるのは難しく、様々な専門家詐欺師のチームワークによって成立するという。

 これまでも逮捕歴がある地面師たち。ハリソンと呼ばれるリーダー格を中心に手を組んだ詐欺師集団が地面師として活躍する。当然犯罪なのだが、人に成り代わって人を騙すことやパスポートを偽造するなど、どこかスパイ映画に似ている。騙しが成功するかどうかハラハラ・ドキドキするところまで似ていて、いつかこの犯罪者集団を応援してしまう自分に驚く。

 最近では某ビールのCMで父親役をコミカルに演じている豊川悦司がハリソン役だ。硬い台詞回しが怖さを演出している。とあることからハリソンの弟子的存在になった辻本を綾野剛が演じる。陰を背負った辻本は淡々と任務をこなす。司法書士役にはピエール瀧、身代わり役を手配する麗子役は小池栄子。標的とする土地を探してくる竹下役は北村一輝が演じる。誰もが一癖も二癖もある詐欺師だから鼻につくくらいの演技は仕方がない。
 一方の刑事には、リリー・フランキーと池田エライザ。引退間際の老刑事とそこに付けられた新米刑事のコンビは、仲が良いでも悪いわけでもないが、相性は悪くない。

 普通のドラマなら、刑事が犯罪者を追う展開なのだろうけれど、このドラマでは必ずしもそうではない。なにせ地面師の踊る舞台は土地なのだ。そしてそれを騙されて購入する不動産業者が標的だ。地面師を立件するのは難しいと、警察は端から諦め気味だ。地面師たちがどうやって騙し、金を奪うか。究極の狙いは何なのか。物語の展開から目を離せない。
 全7話で終わってしまったのが少々残念だったが、こんな詐欺師たちがいつまでも蔓延るのは良くないから、適度な長さと言えよう。
 あ、こんな書き方をすると最後は地面師たちが逮捕されると思うかも知れないが、話はそんなに単純ではないのだ。

おわり


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